第五節 ゆりかご
あれから切菜はほとんどずっと、ひとの姿で部屋にいて
はじめはぎこちなかったけど 徐々に何もなかったみたいに振る舞うようになった
――なにも見つかっていない
宿った蜂の名や姿までは本を漁れば出てきたけれど
彼女を助ける方法は、なにも
「……ねえ、お星様がみえるわ」
俺は静かに身体を起こす
切菜はじいっと窓の外を見上げていて
「…どうしてそんな落ち着いていられるの?」
たおやかな動作でこちらを向く、その表情にちらつく
母性のようなもの。
「怖く…ないの?」
「……自然なことだわ」
「…自然、な…?」
「命が繋がっていくの。」
でもそれは
きみの子供じゃないのに?
そんな優しい目をして
穏やかな目をして
夢みた空はもう、手に入らないのに
「それに、ユウはずっと守ってくれたでしょう?」
そう、彼女は言うけど
「私をあいしてくれていた、それだけで充分なの」
そんなこと、言うけれど、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます