第三節 とけこむ日常


どうして彼女はここにいるのか


そんな疑問はふと浮かんだだけだった



「お話ししてみたかったの」



そう微笑む切菜を見ながら、なんとなく、ケースの中のと同一人物だと確信する


腑に落ちないこともない


彼女は本当に好奇心旺盛だったから



もう沢山話をした


取り留めもないことだけれど くるくる変わる切菜の表情


奇抜なことを言って 現実は遠くに追いやられる


話してて楽しいのは確かで


あまり疑問は抱かなかった



「そういえば、」


「なあに?」


「ケースの中って狭い…よね。大丈夫?」



きょとんと、無知な顔をして


へいきよ、と。



「ユウがいて、楽しいもの!」



彼女はそれでいいらしいのだと


わずかな靄を見失っていく


腑に落ちないこともなかった


彼女は本当に好奇心旺盛だったから。



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