第二節 妖精の夢


まどろんだ土曜の昼下がり


あおみどりを散らした黒い髪と 黄色い瞳


どこかで見たような配色で


目覚めた先 少女はふわりと笑んだ


夢を見ているような お伽話のような


だって気付いたら部屋に、なんて


そんな非現実。



「私、切菜せつなというの」



あなたは?



「……、……ゆう」



こんな非現実


よくわからないことをいくらか喋って


やがて彼女は いずれ外に出してくれる? と


愛らしく首を傾げた



「だって、羽が生えたらあそこは窮屈すぎるわ」



羽と言われて急に思い出す


黒い翅に碧い波紋。




「わたし、蝶になるのよ」




彼女の髪が、部屋に引き込まれた風に揺れた




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る