第十節 翌


夏なのに優しい陽射し


風も心地よくて


揺れるレースのカーテンと


あなたのかげ


どこか見覚えのある夢




僕じゃだめなの、と また問う


私は


いま


その答えをもっていた




「いいよ」




最愛の人とは違っても


違うからこそ





「あなたのための、愛をあげる」





ひとは様々な愛の色を知っているのだと。







目が覚めても青は見えない


季節は冬で


私はほんの少しだけ器用になった




空を透かす水浅葱と


影を写す紅碧


どちらも私に大切な色だって


今はいえるの




夢のさいご


笑って泣いたあなたのことを


この部屋でなつかしく、いとおしんでいる。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る