第二節 目にうつる青


目が覚めてはじめに見えたのは青い髪


空に透ける様な 蝶の羽の様な




一度目は出逢い



“誰? ドロボウさん?”


“えっ…と…”



二度目は別れ



“どうして……戻ってきたの…?”





三度目は――





目が覚めてはじめに見えたのは青い髪


どこか黒を帯びた まるで蝶の様な


それは


私が錯覚に陥るのに充分な青だった



「果楽…?」



瞳に映る 彼にそっくりな顔


その人はきょとん、として。



「そう。僕の名前、夏羅っていうんだ。どうして知っているの?」



彼とは違う笑みに少し戸惑う



「カラって…いうの? 貴方は誰?」


「ふふ。ごめんね。勝手に入って」



見つかっちゃったから帰ろうかな、なんて悪戯めいていた


何も残さずに行ってしまおうとするあなたのかげに


私は




「待って……!」




三度目なんてなかった


作ったのは私


彼はカラだけど


“果楽”じゃなかった



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