二人はあまりにも

 棲む世界が違いすぎて


 分岐した別の道を歩きながら

 そのまま手を繋いでいたら

 引き裂かれてしまう


 きっと知らないうちに

 心と身体 現在と未来

 夢と日々の暮らし


 バラバラになって

 抱える腕の隙間から


 零れ落ちて 迷子に

 拾い集めて 後悔に


 捕まえた鳥を空に帰すように

 思いきり腕を広げた あの日


 全て失ったと思ったけど

 腕の中には温もりが残った


 遠い水辺で生きていたら

 舞い戻って来た鳥たちが


 大切なものは何ひとつ

 失くしていないと

 知らせるように

 この腕に降りてきた


 もう無理に抱きしめたりしない

 いつまでも居られるように

 そっと力を抜いて

 手を休めて

 何もない空の下で

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