第7話『Worldeye』
う、うまい!
このお肉めっちゃうまい。
噛む度に肉汁が溢れだしてくる。
いやー焼いて正解だったわ。
一度そのまま食おうかな?とか考えてたけど、『火属性魔法』を練習した甲斐があるってもんよ。
なんだか『火属性魔法』はいろいろな魔法の詰め合わせであって技の名前ではなかった。
今習得している『火属性魔法』はプチファイア、フレイム、ファイアボール、バーンアウト、火砕流、だ。
火砕流はどちらかというと『土属性魔法』に分類されるべきだと思うのだが『火属性魔法』らしい。
ちなみにお肉は火砕流で発生した火山岩らしき物の上に『フレアリザードの鱗』を敷きそこに乗せた肉をプチファイアで焼いた。
魔法の威力は使った魔力量に依存するらしくMP10000くらい使った『ファイアボール』はもはや太陽。
もちろん慌てて消したので被害はなかったが作った本人も焼けてしまいそうな勢いだった。
それ以来、魔力のコンントロールに気を付けはじめて『火砕流』を発生させた。
かなり抑えたつもりだったがそれでも『火砕流』の温度はとんでもなかった。
そして思った。
これ絶対異常な魔力量が裏目に出てるわ。
元の魔力総量がバカ高いため普通に使っても威力が桁違いになってしまう。
なので極端に魔力を抑えなければ普通の魔物相手では使えない。
なんせ素材や肉が木っ端微塵になってしまうからだ。
その為最も威力の低い魔法で対処する事になった。
基本6属性と言っていいのか分からないが火、水、風、土、闇、光属性の魔法は全て試した。
全て説明しようとすると長くなるのでまたいつか使う時に説明しよう。
そして、まだ試してなく最も興味のある謎のスキル『Worldeye』。
直訳してしまえば世界眼、と言ったところだろう。
このスキルだけ鑑定してもまともな説明が出てこないのでこればっかりは使って検証してみるしかない。
どうせ他の魔法と大差ないだろう。
軽い気持ちでスキルを発動させた。
ウグッァ!?
脳内に直接焼き付けられてる感覚がする。
それも処理しきれないほどの情報が入ってくることによって。
激痛が走る。
制御だ、制御しろ。入ってきているのは地形データだ。そんな広範囲じゃなくていい。一旦この辺りだけに抑えろ!
俺は必死に制御を試みた。
どうにか制御し範囲をこの周辺だけに絞ることができた。
暫くしたところで痛みは退いていった。
ハァ...ハァ...
危うく初めてこの世界に来た時の二の舞になるところだった。
あのままいってたらあの時と同じ様に意識を持っていかれてただろう。
危ないところだった。
全裸のロリが息を切らしてハァハァ言っているこの状況も危ないがそんな事どうだっていい。
どうせ人などいないし。
さて、これで『Worldeye』の機能が大体分かった。
効果はその名の通り「世界を見る」だった。初期の効果範囲が広すぎて自爆しそうになっが。
今はこの辺りの情報が入ってきている。
まるで空の上から望遠鏡で覗いているかの様な画像である。
さしずめ空中写真といったところだろう。
『Worldeye』が映し出す画像に自分が見える。
今俺が向いている方向は崖の方だが、どうやらそちらは南らしい。
そしてその方角には何やら馬車らしき物が走っていた。
もしかしたら人が乗っているかもしれない。
第1異世界住人発見、といくだろうか?
初めて人間に会えると心躍らせる彼女は霧化で崖をすんなりと登って行った。
崖の向こうも大して地形は変わらずちょこちょこ木々が生えている程度の草原だ。
『Worldeye』によるとこのまま真っ直ぐ南に進めば見つかるらしい。
『Worldeye』の表示する画像の対象を選択すると対象までの距離が表示された。
便利な機能だ。もう『Worldeye』じゃなくてマップとかに変えてしまえよ。
そんな彼女はまだこのスキルに秘められた機能を知らない。
その機能が彼女を救う事になるのは知る由も無い。
気付くのはもう少し先の事になる。
俺は霧化状態のまま対象まで一気に移動した。
暫くすると例の馬車が見えてきた。
吸血鬼だからかかなり遠い筈なのにはっきりと目視できる。
馬車は動いていない。
その周りで3人が魔物と戦っている。
まあ『Worldeye』でくっきり見えるから知ってたけど。
馬車を襲っているのは『ファイアリザード』だった。
『Worldeye』で得た画像に鑑定が効くのかどうか気になって試したところしっかり鑑定できた。
やべぇ。これ範囲を狭めれば覗きたい放題じゃん。
俺が変態じゃなくて良かった。
もし変態だったら躊躇うことなく覗きをしてただろう。
『ファイアリザード』の肉は美味くないらしいので消し炭にしても大丈夫だな。
馬車との距離が縮んできた所で俺は霧化を解除し『フレア』の準備をして駆け出した。
さあ!!俺の練習の成果を見せてやる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます