2#風船が欲しいシカ
「よっこらしょ。」
カモシカのゲンタは、緑色の風船の紐をくわえて木の上から堕ちないように、しずしずと降り立った。
「ゴム風船・・・確か、俺の父ちゃんと母ちゃんがプロポーズで吹雪の中見付けた、赤いゴム風船が縁結びになったと言ってたっけ。
そん時は、父ちゃんがゴム風船を俺とおんなじように『木の実』と間違えてプレゼントしてそんなエピソードがあって、俺が産まれたんだな・・・
こうやってゴム風船を見付けたとたん、誰かこのゴム風船が縁で、可愛いメスが・・・」
「あーーーーーーっ!!この風船!!初め僕が見付けたんだぁーーーー!!ずるいぞぉぉぉぉぉぁ!!!」
「え?メスカモシカじゃなくて、シカが来ちゃった!!」
カモシカのゲンタは、紐を口にくわえていた浮力が無くなり垂れ下がった緑色の風船を蹄で指差して半ベソをかいている、1匹のニホンジカの子の姿に唖然とした。
「やだよぉーー!!俺が見付けたんだから、俺のものだよ。」
「やだい!やだい!やだい!やだい!風船は僕のもの!僕のもの!僕のものだーい!!」
「このゴム風船は俺のもの!!」
「いや!この風船は僕のものだい!!」
「俺のもの!!」
「僕のもの!!」
「俺のもの!!」
「僕のもの!!」
「俺のもの!!」
「僕のもの!!」
「俺のもの!!」
「僕のもの!!」
「俺のもの!!」
「僕のもの!!」
「俺のもの!!」
「僕のもの!!」
「俺のもの!!」
「僕のもの!!」
カモシカとシカは、緑色の風船の紐の取り合いになった。
「俺のもの!!」「僕のもの!!」「俺のもの!!」「僕のもの!!」「俺のもの!!」「僕のもの!!」「俺のもの!!」「僕のもの!!」「俺のもの!!」「僕のもの!!」「俺のもの!!」「僕のもの!!」「俺のもの!!」「僕のもの!!」「俺のもの!!」「僕のもの!!」「俺のもの!!」「僕のもの!!」「俺のもの!!」「僕のもの!!」
ぷつん!
「あ、」
「あ、栓が取れた。」
ぷしゅ~~~~~~~~~しゅるしゅるしゅるしゅるしゅるしゅる・・・ぽとん。
「ゴム風船萎んじゃった!!」
「あーあ・・・お前のせいだぞ!!」
「いや!あんたが風船を引っ張ったからだ!!」
「違うっ!!お前が引っ張ったからだ!!」
「何をっ!!」「やる気か?!」
ぽかっ!!ぽかっ!!ぽかっ!!ぽかっ!!ぽかっ!!ぽかっ!!ぽかっ!!ぽかっ!!ぽかっ!!ぽかっ!!ぽかっ!!ぽかっ!!ぽかっ!!ぽかっ!!ぽかっ!!ぽかっ!!ぽかっ!!ぽかっ!!ぽかっ!!ぽかっ!!ぽかっ!!ぽかっ!!ぽかっ!!ぽかっ!!ぽかっ!!ぽかっ!!
とうとう、カモシカのゲンタとシカはお互い大喧嘩してしまった。
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