Wraith:15
「これからお二人には
「通信機器を何も持たない状態で、楓さんの指示はどうやって聞くんですか」
陽奈の疑問に、楓がにやりと笑う。
「雨岡の魔法の『魂の共振』というものを使います」
一息置いて、陽奈と文成の頭の中に楓の声が響く。あたかも短距離電脳通信のように。
『このように、相手の魂に直接声を伝える魔法があるんです。これならばあの世とこの世ほどの距離があったとしても問題ありません。これは伝える相手がどこにいても聞こえるものですから。ちなみにこれは余談ですが、ソフィアさんの通信網にも引っかからないものですよ。私たち霊媒師の陰口の味方です』
「こちらからの声はどうやって伝えるんですか?」
今度は文成が質問をする。
「これを使います」
楓は再び口を使って話しながら、人差し指ほどのサイズの木製の小さな剣を二人に渡した。首にかけるのにちょうどいい程度の紐が通されている。かなりの年代物のようで、細かい傷が無数についている。
「それはあの世の通行許可証兼『魂の共振』の通信端末兼あの世にとらわれずに済む帰りの切符兼私があなたたち二人の居場所を知るためのアンテナです。雨岡以外には持っていない『剣の護符』というものです。通信端末のように話しかけてくれれば私に聞こえます。なくしてしまうと帰れないので、肌身離さず持っていてください」
楓から渡されたそれを、陽奈は首にかけ、文成は左手首に巻き付けた。
「ブンセー、なんで手首に巻いたの?」
「戦闘になったとしても切られにくいんだ。経験上ね」
「そんなに激しい戦闘になるかな」
「念のためさ。ハルは首にかけておくといい。戦う時になったら僕がやるよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます