Wraith:11

11月1日 朝

「おはよう、ツバキちゃん。よく眠れた?」

「おはようございます、陽奈さん。陽奈さんはどうですか?」

「ちょっとベッドが固かったかなー」

そんな会話を二人がしていたところ、カラメルXXXIIIと呼ばれた自律型MPFが朝食を運んできた。食パンとジャガイモのスープ。トマトのサラダもついていた。

「あ、優しい。いただきます」


朝食を食べて、食後に紅茶も飲んで一息ついたころ、文成とぷでぃんぐの二人が現れた。

「いやぁ久々に思い出話に花が咲いたよ。懐かしい友人と会うのはいいものだね」

さて、それでツバキについての情報だが。と、文成が一呼吸置いて、話を始めた。

「結論から言うとツバキは30年前に死んでいるらしいことが分かった。交通事故によるものだった。さらに言えることとして、幽霊というものは肉体ないし、元肉体のある場所に行くことで記憶を取り戻す可能性がかなり高いそうなんだ。この事実はぷでぃんぐが独自につかんだことでソフィーも知らない事実だ。もっと良いニュースとして、ツバキの墓の場所が分かった。ここからはかなり遠く一日かかるが、どうする?」

「早速行ってみる」

「私も行ってみたいです」

陽奈とツバキの二人の反応に満足そうな顔をする文成。

「そう言うと思ってね。もう飛行機のチケットは取ってある。早速出発しよう」

「チケットを取ったのはおれだけどな」

「ぷでぃんぐ、ありがとう」

ぷでぃんぐに礼を言った文成に合わせて、陽奈とツバキも礼を言う。

「なぁに、親友のためには安いものさ。車も準備してある。陽奈もツバキも忘れ物はないな?」

「ないです」

「大丈夫です。ありがとうございます」

二人がカラメルXXXIIIに導かれて車のところへ歩き出すのを、文成はどことなく険しい表情で見ていた。

「どうした?忘れ物か?文成」

「ぷでぃんぐ」

「おう」

「ソフィーはプライドが高い。特に知らない情報に関してはどんな手段を使ってでも奪い取ろうとするところがある」

「知ってる」

「息災でいてくれ」

「ありがとう。じゃあまたね、智絵」

「うん」

文成は、速足で先を行った二人を追いかけた。

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