白雪文成の事件簿:妖刀月影
白雪文成と妖刀:1
†新暦40年10月8日 朝
「ハル、今日の僕は義体のメンテナンスがある。君はどうする?」
「困ってる人がいないか傷痍軍人恩給施設に顔を出すつもり」
「じゃあ恩給施設で一緒にお昼にしよう。迎えに行く」
「了解」
†同日 昼
「一緒にお昼」とは言っても
「ねぇブンセー。刀が欲しいって言ったらソフィアさんくれるかな」
「そりゃあくれるだろうね」
「NE用の分厚い奴だよね」
「そりゃあそうだろうね。彼女が融通できる品物はNE用のパーツしかないもの。それ以外のものも頼めば調達してくれるとは思うけれど、迷惑はかけてしまうだろうね」
現在、人間がNEと戦う事態は起こりえないので、武器――特に、刃物や鈍器――は需要がない。そういう事態が起こったとしても人間よりも力の強いNEや
「普通の、でも折れたり欠けたりしない刀って手に入らないものかな」
「それはつまり妖刀が欲しいという旨の発言と受け取っていいのかい」
妖刀ならその要望にも応えることができるだろう。普通、”妖刀”などという選択肢は一番先に出て来たりはしない。だが、ついさっき聞いたばかりだ。
「妖刀?妖刀は折れたり欠けたりしないの?」
「そうだよ。さっきメンテナンス中に面白い話を聞いたんだ」
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