13話 Bランク
ギルドにつくなりメリッサは大声で
「シュリル様は先程無事に保護した!よってこれからいつも通りの業務に戻るように!」
それを聞いたギルド職員と冒険者達は一瞬固まり、次の瞬間全員が歓喜した。ギルド内は翔が以前きた時よりも数倍騒がしくなっている。
「そこぉ!!暴れてモノ壊すんじゃねぇぞ!!」
といった怒号まで聞こえてくる。
そんな騒ぎの中メリッサ達5人はそのままギルド長の執務室に案内される。
「さて…と、先ずは礼を言う。シュリル様だけでなく他の住民も救ってくれてありがとう。」
メリッサは執務室のソファに翔が達4人を座らせ自身の席に着くとそういった。
ソファの前には長方形のテーブルがあり中央に茶菓子が置かれ紅茶の入ったカップが4つ置いてあった。それをラフィは食べ始め翔もそれに手をつける。そんな様子の中龍忌とヴァニタスはメリッサの方を向くとメリッサが口を開く。
「それでだあんた達4人はランクをCまで上げると言ったがこれからその上のBランクまで上がれるように手配しとくよ。あんたらいつまでこの町にいるんだい?」
「そうですね…明後日には出るつもりですね。」
龍忌の答えにメリッサは直前まで飲んでいた紅茶を気管に詰まらせむせた。
「ゴホッ…ケホッ…失礼した。…いくら何でも早くないか?」
「そうでもないですよ。元々立ち寄った程度のつもりでしたし。」
「そ、そうか…ならこれからどこに行くんだ?」
「…そうですね、とりあえずアルバトス王国まで行こうかと、その先はまだ未定ですが飽きるまで気ままに旅をするつもりですよ。」
「そうか、なら手紙を渡そう。向こうギルド長にその手紙を渡してくれればBランクに上がる手続きをして貰えるだろう。」
「それなのですがランク別でなにデメリットとメリットはあるのでしょうか?」
「ん?…あぁ、異世界からきたならそういった基本なんかはしらないか。先ずはな…」
冒険者の各ランクにはCとBの間に明確な線引きがある。Cランクまでは大抵の冒険者が経験や実力、実績を積めば上がる事ができる。しかしそれは各ギルドのみでありBランク以上となると2つ以上のギルド長に認めて貰う事が必要になりAランクには4つ以上のギルド長に認めて貰う事が必要になる。そして、そうして2つ以上のギルド長に認められた冒険者はその町の領主等に名前や経歴が送られ、それは国全体に広まっていく。そうなると上位の貴族から指名で依頼がかかることもありギルドにある上級の依頼を受けることができるようになる。
メリットは格段に報酬が増える、多少受ける依頼に融通が聞く、ほとんどの国で自由に活動できるようになってくる。
デメリットは危険な仕事が増える、貴族からの面倒ごとに巻き込まれやすい。
「…と、こんな所かな。質問はあるか?」
メリッサの説明が終わると龍忌が質問する。
「指名依頼は強制ですか?」
「いや、そうでも無いぞ。まぁ断ることはできるがたちの悪い貴族だと反感を買って面倒ごとに巻き込まれる可能性は高いな。」
「分かりました。では、Bランク上がる事に関してはお願いします。自由に動けるなら願っても無いので。」
そう言うと龍忌とヴァニタスが立ち上がる。それにつられ翔とラフィも立つ。
「それでは僕たちはこれで失礼しますね。また明日に伺います。」
「む…、そうかならこれを持っていけ今回の報酬じゃかなりの金額じゃから当分はこまらんだろ。」
「あぁ、これはありがとうございます。それでは失礼しますね。」
翔達5人はそのままギルドを出て宿屋を捜すことにした。
ノクタムの町北部にある商業エリアに来た4人は観光を明日にして真っ先に宿を取ることに決め、探すこと15分…周囲に様々な土産品を売っているお店が並ぶ中1つだけ人気の少ない建物を見つけた。
その建物は入り口の上に【新月亭】と書かれた看板があり入り口の両脇には木彫りの小さな猫が2匹ずつ並んでいた。
4人が中へ入る。4人とも中を見渡しているとテーブルが数台規則的に並び椅子が4脚ずつ置かれていた。奥にはカウンターがありその右には2階へ上がる階段が設置されていた。
「いらっしゃいませー。」
と、カウンターの奥から声が聞こえるとカウンターの横にある扉から5歳ほどの女の子が出て来た。それも真っ白い毛並みに赤い瞳を持ち頭には犬っぽい耳をつけた少女だった。
それに続きその姉と思われる犬っぽい耳をつけた15歳ほどの少女がでてくると、
「いらっしゃいませ。泊まりですか?それとも食事ですか?」
…と、とても良い笑顔で問いかけてくる。
それに翔が「泊まりでお願いします。」と言うと、姉と思われる方が
「何泊なさいますか?あと、お食事は朝と晩の2回になっていて一食銀貨1枚になりますので、ご了承下さい。」
と、言い終わりお辞儀をしてきたので続けて翔が
「それじゃあ二泊でお願いします。食事は4人分4回でお願いします。」
「かしこまりました。お部屋は個室で宜しいですか?」
「個し…「2人部屋2つで!!」…でお願いします。」
翔の言葉にヴァニタスが口を出す。それに対して少女は笑う。
「かしこまりました。では205と204の部屋鍵を渡しておきますね。そちらの階段から上がってくださればすぐですので。…申し遅れました私はキクリこの宿で一応女将みたいなことをしています。それでこっちが妹のフェイです。それじゃあフェイお部屋に案内してあげてね。」
「はーい!お客様どーぞこちらへー。」
フェイと呼ばれた少女が案内を始めると、
ドッ!!!!
という大きな音が建物内に響き渡る。
「立ち退きの件は決まったかぁあ?」
といいながら入り口から巨漢の男達が入ってきた。
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