4話 サボリ

 王の執務室に召喚された6人とセリアが集まり魔王討伐を請け負うかどうかの答えを王に言う事になった。


 「ふむ、集まっているようだし早速聞かせて貰おうか。」


 6人が集まった後、最後に入ってきた王が答えを聞きに回る。ここでも真っ先に手を挙げたのが正義であった。


 「俺たち4人は魔王討伐を受けようと思います。なので基本的な知識や戦闘の基礎を教えて下さい!」


 正義と他3人もそれに頷く。それをみた王は笑顔になりありがとう。此方からも宜しく頼む。と、言うと正義の肩を叩いた。


 「俺たちは参加しませんのでそこのところ宜しいですか?」


 突然日高の言った言葉に周りは一瞬だけ固まる。すぐに王が聞き返そうとするが2人のステータスのことを聞いていたのか少しためらっていた。


 「…うむ、2人は確か旅に出たいのだったな。すぐにとはできんこの国の治安はとても良いとは言えんのだ。せめて身を守れるくらいになるまで訓練を受けてくれんか?」


 召喚されたときセリアにも言われたことを再び2人に言うと2人は渋々と言った表情で了承した。


 「…それではすぐにでも訓練を始めよう!外に騎士達を用意している。そこで一人ずつに担当の騎士をつけたのでそいつらに従ってくれ。」


 王はそう言うと手を二回叩く。すると扉からノックをする音が聞こえ王もそれに入れと言うとメイド長のセルビアが入ってきた。


 「…それでは騎士達のいる場所へ案内致しますので私についてきて頂けますか。」


 セルビアは昨日と同じように6人を案内し始めた。6人が出て行った後執務室に残った2人はその後しばらくたった後に出て来たという。


 


 「…此方が騎士達の普段訓練を行っている広場になります。ここから見える奥の休憩所にて担当の騎士達が待っておられます。」


 そうして見た先には小屋が建っていた。見た目はそこまで綺麗でも無くかなり前からたっているのかボロく見える。


 騎士達が訓練している横を通りその小屋に着くと案外大きくかなりの人数が入れるものだった。


 「それでは皆様中へどうぞ。」


 そう言って開けたドアの先には6人の騎士と6人の藍色のローブを着た魔道士らしき人達もいた。


 「セルビア、ご苦労だったな。ここからは俺たちが引き受ける。訓練後に再び呼ぶから通常業務に戻って良いぞ。」


 騎士の一人がそう言うとセルビアは一言かしこまりました。と答え城のほうへ戻っていった。


 「さて、君たちには俺たちが訓練の指導役として選ばれた。一人一人に騎士と魔道士がつき午前と午後に別れて訓練する。午前は魔道士と魔法について、午後から騎士と体術や肉体強化だ。今日は基礎を少しやって解散だな。それでは魔道士と騎士は担当の子について訓練を始めてくれ。」


 騎士がそう言うと周りにいた魔道士と騎士がそれぞれ担当の子につく。勇者達4人に計8人がつき合同で訓練を始めたが残った2人に付いた騎士と魔道士はあまり乗り気では無いようだった。


 「よ、よろしくな、おれは騎士のケイルこっちは魔道士のマリンだ俺たちはショウに付くことになった。」


 「それで俺たちがリュウキに付くことになった騎士のバドスと魔道士のリリーだ。」


 「…宜しくお願いしますね?」


 「従う訳では無いからな。」


 2人は素っ気ない返事をすると担当になった4人は顔を引き攣らせた。実を言うとこの4人は昨日、食堂で勇者達6人を見ており最後にこの2人が放った圧力を感じている。あの圧力はただ魔力を放っただけだが放たれた魔力よりも自身の魔力が少ないと魔力酔いを起こす。ステータスでも今の騎士と魔道士のほうが高く普段訓練している彼らなら圧力を感じるわけが無いのだ。それでもかなりの圧力を感じたと言うことはこの2人が実力を隠していると思っているのだろう。


 「…あ、あぁ、恐らく俺たちじゃお前達を止められないだろう。だが一応出てくれないか?」


 ケイルが言うと翔と龍忌は少し悩み


 「…考えておくよ。」


 とだけ言いその日は解散してしまった。会話の内容を知らずたまたま眼に入っただけだった裕志達は翔と龍忌に対し悪い印象ばかりが強くなっていった。


 


 それから数日後のこと、翔と龍忌は訓練に来ることは無くなった。食堂にはご飯をたべに来ているらしいがそれ以外は本を読んで過ごしているそうだ。これを聞いた王や他の貴族達、姫はこの2人に腹を立てる。どの道ステータスに勇者と無くやる気も見受けられないのだから居なくても問題ないだろうと言うことになり追い出すことが決定した。


 勇者4人も流石に腹を立てる。せっかくこの世界で生き残るために世話をしてくれているのにだらけてばかりに見えるからだろう。


 

 







 追い出すことが決まった翌日に2人は王に呼びだされた。王の執務室には王と姫、何人かの貴族と騎士、魔道士が控えている。

 


 この時2人は軽く嗤っていたという。

 

 

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