第244話 アルとベルト
「どうして、わざと負けるような真似をしたの?」
「わざとじゃねぇよ。単純に俺よりソフィアの方が強かっただけだ」
試合を終え、僕の控室へと戻ってきたダンテ。
僕は、そんなダンテに対して不自然な試合内容の理由を問い詰めていた。
「嘘だよ……あのまま試合を続けていたら恐らくダンテが勝ってた。
魔人化の奇襲も成功させてたし、その後の試合運びにも目立った粗は見つからなかった。
なのになんで? わざとソフィアの攻撃を受けて降参するような真似をしたのさ?」
「だから言ってんだろ? わざとじゃねぇって。
正直、運が悪かった――いや、優勢だったから気を抜いちまったのが失敗だったのかもしれねぇな」
「それも嘘だよ……最後の一撃を貰った瞬間、ダンテは不要な体勢の入れ替えをして見せた。
ダンテは……ダンテは勝負事に真剣で、手を抜くような真似をするのが大嫌いな人でしょ? なのにどうして?」
「だ、だから手なんて抜いてねぇよ!」
「何度でも言うよ……それは嘘だって」
正直、問い詰めるべきか僕は悩んでいた。
勝負は時の運とも言うし、ダンテが言うように運が悪かったという可能性も充分に考えられたからだ。
しかし、あの試合内容は明らかに不自然であり、見る人が見れば手を抜いたことがバレバレの試合内容であった。
加えて、ダンテという人物は試合で手を抜くような真似を嫌う――それが友人相手であれば尚更で、ダンテという人物の人間性を知っているからこそ手を抜いた理由が理解することができず、問い詰めるような真似をしてしまった訳なのだが……
「嘘じゃねぇよ。俺もまだまだだな。
つーか俺の試合のことよりも自分の試合をを気にしたらどうだ?」
ダンテは手を抜いたことを認めようとせずに、別の話題へ移ろうとする。
それは、「話すつもりはない」という意志の現れであり、話すつもりが無いのであれば、無理に聞き出そうとするのはきっと間違いなのだろう。
「誤魔化さないで……何か理由があるなら話して欲しいな」
それでも、友人であるからこそ理由を知っておきたい。
可能性は限りなく低いとは思うのだが、僕がランドルやコールマンに嵌められた時のように何かしらの不正が――ダンテを脅し、負けるように指示を出す者が居るのであれば、どうにかして力になってあげたいと考えた僕は、そのような想いからしつこく答えを求めてしまう。
「ねぇダンテ? 僕達は友達でしょ?」
そして、話しづらいのであれば――少しでも話しやすい空気をつくろうと考え、笑顔を浮かべながらダンテの右手をギュッと握るのだが……
「ヘラヘラしてんじゃねぇよ……誰の為に降参したと思ってんだ!」
「へ?」
ダンテを想っての行為は裏目に出てしまったのだろう。
ダンテは僕の手を振り払うと、肩をドンと押して睨みつけた。
「ど、どうしたのさダンテ? 誰の為に? 降参?」
「チッ、今のは忘れろ……」
「わ、忘れろ? 忘れろって言われても……や、やっぱり誰かに指示されて……誰かの為にわざと降参するような真似をしたの?」
「は? お前なに言ってんだ? そんなんじゃねぇよ」
「じゃあ! 何で降参擦るような真似を! わざと負けるよう真似をした――」
「お前の! お前達の為だろうがッ!!」
「ぼ、僕達の……為?」
「ああッ!! 格好つかねぇな! クソッ!」
そう言ったダンテはガリガリと頭を掻き、再度僕のことを睨みつける。
「もういい! ヤケクソだ!
なぁ、アル! お前はソフィアのことをどう思ってんだよ!?」
「ソ、ソフィア? な、なんでソフィアの話に?」
「いいから答えろよ!」
「き、急にそんなこと聞かれても……」
僕は質問の意図を汲み取ることができず、ちょっとした混乱状態に陥ってしまう。
「好きなんだろ!?」
「え、えっと……」
「えっと、じゃねぇ!
俺の目が濁ってなければ――アル! お前はソフィアに対して間違いなく恋愛感情を抱いてる筈だ!」
が、混乱する僕に対してダンテは容赦をしない。
あまり触れて欲しくない部分に。踏み込んで欲しくない部分に遠慮なく踏み込んでくる。
「なぁ? いつまでこんな関係を続けるつもりだ!?
お前もソフィアの気持ちは分かってるんだろ? いつまで鈍感を演じ続けるつもりなんだよ!?」
「つッ……」
ダンテの言葉を聞き、僕の胸がドクンと跳ねる。
鈍感な振り。その言葉に対して痛いほどの心当たりがあったからだ。
「ど、鈍感な振り? ダンテは何を言ってるの?」
だが、感じた胸の鼓動も、覚えた動揺も、僕は表に出さないようにして僕は笑顔をつくろう。
「お前……いい加減にしろよ!? お前がそんなんだから!
ソフィアが! お前自身も傷ついちまってんだろうがッ! いい加減素直になっちまえよアル!」
ダンテの声にすこしずつ怒気が含まれ始める。
それでも。それでも平常心を――怒気をぶつけられて尚、誤魔化し、本心を隠そうと考えてしまったからだろう。
「す、素直にって言われてもソフィアには良い人が……唇を合わせるような人が居るみたいだし……」
そのような言葉を口にしてしまい――
「あ? 手前ぇ、歯を食いしばれ」
「へ? あがっ!?」
頬にガツンとした痛みを覚えることになった。
「いったぁ……な、何するのさダンテ?」
「お前が女々しいクソ野郎だからだよッ!! 唇を合わせた!?
そんなデマを誰から聞いたんだよッ!!」
「だ、誰って……対戦相手のモアから……」
「は? なんだお前? お前は幼い頃から知っているソフィアの人間性よりも、初めて顔を合わせたようなヤツの言葉を信じるって訳か!?」
「そ、そうじゃないけど……」
「そうじゃない!? 事実、そうしてるじゃねぇか!
なんで今まで一緒にいたソフィアを信用してやらねぇ――ソフィアの気持ちを分かろうとしねぇんだよ!?」
「……分からないよ」
「て、手前ぇ……」
口では「分からない」と口にしたものの、ソフィアの想いも、ダンテが僕を殴った理由も理解できていた。
それでも「分からない」と口にしたのは抱いている恐れがあり、同時に、不甲斐ない自分に対する戒めとして、ダンテの拳を受け止めようと考えたからだ。
「分からねぇのかよ!? じゃあ、分かるまで殴ってやるよッ!」
僕の言葉を受け、ダンテの目がカッと見開き、拳を放つ為に上半身が捩じれていく。
僕は僕で、襲われるであろう痛みを受け入れる為に覚悟を決めるのだが……
「グフッ……お、お前? なに反撃してくれちゃってんの?」
「ご、ごめん……そ、そんなつもりはなかったんだけど……」
余程殺気が込められていたからだろう。
殺気に反応してしまった僕の右手が自然と動き、ダンテの左頬を捕らえてしまう。
「こ、この場面は! 素直に一発貰っておく場面だろうがッ!?」
「そ、それは理解しているんだけど……」
「がふっ!? ア、アルくぅ~ん?」
「……ほ、本当にごめん」
「謝るくらいなら素直に殴らせ――あがっ!?」
「ご、ごめん」
「こ、この野郎……」
それは二度三度と続いてしまい、殴られ返されたダンテの殺気はドンドンと濃くなっていく。
「絶対にぶん殴ってやる!!」
「め、目の色が反転って! ま、魔人化!? そ、それは流石にやり過ぎなんじゃ……」
「じゃあ、黙って殴られとけよッ!!」
「そ、そう言われても!? なっ!? あがっ!?」
「はっ! これで一発返したから後二発だな! って事でもう一発――うぎっ!? て、手前ぇ……」
「ち、違うんだって!」
「なにが違ぇんだよ!? もう容赦しねぇッ!! 絶対ボコしてやるッ!!」
「ちょっ!? テ、テーブルは駄目だって!!」
「うるせぇッ!! この野郎ッ!!」
制止しようと試みるものの、豪奢なテーブルを鈍器として扱い始めてしまうダンテ。
テーブルを叩きつけ、薙ぎ払った所為で、控室に置かれていた調度品が音を立てながら次々と破壊されていく。
そして、家具が破壊され、調度品の欠片が飛び交うという状況の中――
「コフー……止めなくて良いの?」
「止める? 青春しているんだから止めるのは野暮なんじゃないかな?」
「コフー……これが青春? くだらない喧嘩にしか見えないんだけど?」
「くっくっ、傍から見たらくだらない喧嘩にしか見えないよね~。
けど、これが青春ってヤツで、大人になった時に笑いながらこの瞬間のことを話し合ったりするんだと思うよ? だから止めちゃうのは野暮って訳」
「……こんなのが青春? 男って単純? それとも馬鹿なの?」
「くっくっ、辛辣だね~。
まあ、理解し難いとは私も思うけど、そんな訳だからお利口な女性たちは単純な男達の青春模様でも眺めながらお茶でも嗜むことにしよっか?」
「ふっ……砂糖は八個で」
「うえっ……それは入れ過ぎじゃない?」
僕達のやり取りを黙って眺めていたロゼリアさんとクウラさん。
呆れるような会話を交わしながらも笑い声を含ませると、飛び交う調度品を避けながら、ティーカップを片手に背を壁に預けるのだった。
「なぁ、なんで試合前なのに顔を腫らしているんだ?」
「……ダンテに殴られた」
「ダンテに殴られた? ……ああ、大凡の経緯は推測できたよ」
場所は歓声渦巻く試合会場。
その舞台上で二、三言葉を交わすと、対戦相手であるベルトは呆れたように苦笑いを浮かべる。
「推測できたって……殴られたって話しだけで?」
「ああ、どうせソフィア絡みの話で殴られたんだろ?
恐らくだが、煮え切らないアルディノに対して痺れを切らしたダンテが手を出してしまった――っていう感じなんじゃないかな?」
「うぐっ……」
「その反応を見るに、どうやら当たっていたみたいだな?」
そう言うと、小さく笑い声を上げたベルト。
そうするのと同時に、何処か寂しげで、何処か申し訳なさそうな表情を浮かべる。
「ベルト……どうしたの?」
「いや、楽しい時間だと思ってな」
「楽しい時間?」
「ああ、僕にとっては掛け替えのない時間だよ」
「それってどういう意味?」
僕は、ベルトが口にした言葉の意味を理解することができなかった。
できなかったからこそ、頭に浮かんだ疑問符を解消する為に声を掛けようとするのだが――
『これより準決勝第二試合! アルベルト=イリス選手対アルディノ選手の試合を行います! それでは両者位置について――試合開始!!』
審判員により、試合開始を告げられてしまう。
「アルディノ……行くぞッ!! 【滴よ! 対を弾け!】」
同時に、詠唱を綴って十八の【水球】を中空に浮かせるベルト。
加えて中空に指を滑らせると、その【水球】が僕を包囲するように展開する。
「さぁ! どう対応してみせるアルディノ!!」
【水球】に包囲され、逃げ場が無いという状況。
「どうって――こう対応するのが正解かな?」
「ちっ!! やはり相殺して見せるか!」
が、僕を包囲するには少しばかり心もとない。
僕も十八の【水球】を中空に浮かせると、襲い掛かる【水球】を相殺してみせる。
「なら!! これならどうだ!!」
瞬間、中空に浮かんだのは二十を超える【水球】。
正確な数を瞬時に把握することは適わなかったが、展開された【水球】の多さに観客席が沸く。
「【水球】だと間に合わないか!? なら! 【水刃唐傘!】」
が、結果だけ見れば先程と同様の結末だ。
僕が【水刃唐傘】を展開すると、中空に浮かんでいた【水球】は、ひとつ残らず水滴として舞台に落ちることとなった。
「流石アルディノだな……だが!!」
ベルトがそう言うの同時に浮かんだのは、やはり【水球】だった。
いや、数だけで言えばゆうに三十を超えており、一度に展開できる【水球】の数を――学生が展開できる数をゆうに超えている。
「なんで……水球を?」
とはいえ、【水球】は初級魔法であり、これだけの数を展開した場合、一つ一つの威力はおのずと弱化してしまう。
要は、相殺することが容易であり、それを理解している筈のベルトが【水球】に拘る理由を見い出すことが適わなかったのだが――
「穿てッ!!」
「あがっ!?」
理由を見い出せなかった僕を出し抜くようにして、一つの【水球】が僕の顎を打ち抜く。
「なっ!? どこから!?」
「教えると思うか?」
「教える訳ないよね……」
当然の反応を受けて、僕は、顎を打ち抜いた【水球】のカラクリを探り始める。
すると分かったのは、舞台を濡らしていた【水球】の残骸の存在で、そこが第二の展開地点であるということだった。
「……器用なことをするよね?」
「だろ? 僕にはアルディノのような膨大な魔力がないからな。
こうして、小細工を弄するしかないんだよ!」
ベルトがそう言うと、出来上がった水溜りから幾つもの【水球】が展開される。
中空に浮かんだ【水球】に加え、地面から襲い来る【水球】。
それは全方位を囲まれているのと同義であり、一般的な学生相手であれば間違いなく「詰み」となる状況なのだが……
「【水球】だけじゃ僕には勝てないよ!」
あいにく、一般的な学生であるという自負など持ち合わせていない。
カラクリが分かれば対応することも容易で、僕は全方位の【水球】を相殺して見せる。
対して、全ての【水球】を相殺されたベルトはというと――
「ははっ! 流石規格外の存在だな!!」
相殺されたことによる悲壮感など感じさせず、それどころか笑顔を浮かべながら間合いを詰める。
「次は剣技での勝負ってこと?」
「ああ! そのとおりだ!」
試合会場に金属をぶつけ合う音が響く。
「殺すつもりで行くぞ! アルディノ!」
「ぶ、物騒なこと言わないでよ!」
「ははっ! 物騒かもしれないが、それくらいしなきゃアルディノには届かないからな!」
ベルトは剣を薙ぐ、突く、振り下ろす。
僕はそれらの剣を受けながら疑問を感じていた。
それもそうだろう。
ベルトには【混合魔法】とい切り札があり、【水球】や剣技に拘るといことは自分の首を絞める行為なのだ。
だというのに、ベルトは【水球】――それを使用し終えると剣技への勝負へと切り替えてみせた。
そこには合理性などなく、ベルトの思惑が理解できずにいると――
「どうだアルディノ? 僕は強くなったか?」
剣戟のなか、そのような言葉を掛けられたことにより僕は理解してしまう。
「うん……ベルトは強くなったよ」
この状況は、初めてベルトと戦った入学試験の――特別試合の再現なのだと。
「そうか、そう言って貰えて嬉しいよ」
だが、そのような真似を――再現しようとした理由を理解することはできなかった。
その為、僕はその理由を理解しようと頭を働かせるのだが……
「僕は、【黒白】を抜けるよ」
「へ?」
予期せぬ一言を受け、僕は間の抜けた声を漏らしてしまう。
「【黒白】抜ける? な、なんで?」
「覚えているか? 以前の合宿でアルディノが言った一言を」
「僕が言った一言?」
「まあ、覚えていないのも当然だろうな。酒が入っていたし、酔った上での会話だ。
だが、アルディノ。お前は僕に対して「教師が似合うって」言ったんだよ」
「教師……」
ベルト言葉を受け、僕はその時に会話を思い出そうとする。
正直、お酒が入っていた所為で完全に思い出すことは適わなかったが、以前からベルトの性格は教師に向いていると考えており、ベルトであれば良い教師になると考えていたこともあってか、自分の言葉であることに疑いを持つことをしなかった。
「だから、【黒白】を抜ける前に――世紀位争奪戦という舞台で、僕がどれだけ成長したかをアルディノに見せつけたやりたかったんだ。あの時からどれだけ成長したのかを見せつけてやりたかったんだ。
僕の選択は……我儘で身勝手だと思うか?」
「さ、寂しいとは思うけど……け、決して我儘でもないし身勝手なんかじゃない!」
そう、自身で口にしたように我儘でもないし、身勝手なんかでもない。
恐らく、様々な葛藤をし、悩み抜いた上での決断であるからこそ、今の今まで伝えることができなかったのだろう。
そう理解したからこそ、寂しいと思うのも事実ではあるが、ベルトの決断を否定するような真似だけはしたくなかった。
「僕は……ベルトを応援するよ」
「そうか」
そう言ったベルトは剣戟を――苛烈なものへと変えて行くと同時に思いの丈を吐き出し始める。
「アルディノ! 僕はお前のことが嫌いだったよ!」
それもそうだろ!? 入学試験で実力の差を見せつけて恥をかかせたんだ!
だというのにお前は! アルディノとダンテは何食わぬ顔で声を掛けてきた!
正直、馬鹿にされている――舐められていると感じていたよ!」
ベルトは吐き出し続ける。
「お前馬鹿だろ!? 僕は自分の常識を盲信し――不正だと決めつけてアルディノのことを糾弾したんだぞ!?」
ベルトはの剣が、僕の持つ剣の切先を刎ねる。
これは、特別試合で僕がみせた【魔力付与】だ。
「だというのに! お前は! アルディノは! 僕を! 僕なんかのことを友人だと呼んでくれた!」
ベルトの剣が僕の頬を掠める。
「だから僕は……そう呼んでくれたアルディに……アルディノの目標に乗っかりたくないんだ!
僕はこの学園都市が……生まれ育った学園都市が! お前達と! 仲間と出会ったこの都市が好きだ!
だからこそこの都市を守りたい! あのような悲劇を二度と起こさない為にも、教師になってこの都市を守りたいんだ!」
そして、ベルトが想いの丈を告げた瞬間――
「――ははっ、やはり敵わなかったか」
「負けられない……そんな話を聞かされたら手加減なんかできないよ」
僕はベルトの剣を【魔力付与】で切断し、刃引きされた刃を首元にそっと添えた。
「学生の内にどうにか一勝をと考えていたんだが……結局勝てなかったな」
「まだ、時間はあるよ……」
「いや、席位争奪戦が終われば教員になる為の時間に追われる予定だからな……そんな暇はないさ」
「……」
「そんな顔をするな。そんな顔をされると決意が鈍るだろ?」
「つッ……」
僕は、ベルトの言葉を受けて無理やり笑顔をつくる。
「ははっ、下手くそな笑顔だな?
まあ、決意が鈍るというのは冗談だなんだが――それは兎も角として、一つ言いたいことがある」
「言いたいこと?」
「ああ、言いたいことだ」
そう言うと同時に、審判員に「降参です」と告げたベルト。
続けて僕に視線を送ると、僕の二の腕をパンと叩く。
「この告白が釣り合うのかは分からないが、僕は伝え難かったことを伝えたぞ?
アルディノも伝え難かった想いを――何処かの誰かに伝えてもいいんじゃないか?」
「誰か……に?」
「まあ、無理強いするつもりはないさ。
だが、僕は【黒白】の皆が好きだ。好きだからこそ、理想の形に収まって欲しいという我儘ゆえのお願いだよ」
そしてベルトは――
「だから、僕の我儘を聞いてくれないか「アル」」
そう言って笑顔を浮かべるのだった。
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