第234話 ソフィアとサイオン家

 場所は人々の姿でごった返す観客席――では無く、来客用の観戦席。

 室内を見渡せば上等そうな家具や調度品、テーブルにはお茶菓子まで用意されていることが分かる。

 

 加えて、室温なども魔道具によって一定に保たれているのだろう。

 室内は適度に暖かく、近頃、風の冷たさを覚えている身としては非常にありがたい。

 


「でも、少し悪い気がするな……」



 しかし、ありがたいと思う一方で少しばかりの罪悪感も覚えてしまう。

 何故なら、学園側の都合で優先枠という仕組みを取り入れた訳なのだが、そのお詫びとして用意された部屋にしては贅沢過ぎるように思えてしまったからだ。

 

 だが、まあ……

 


「第一席にもなるとこんな素晴らしい部屋を用意して貰えるんですね!」


「流石アルお兄ちゃんって感じだよね!

あっ、あそこの席なら試合が良く見えそうですよ! 一緒に座りませんか?」


「お、おいノア! ア、アル兄さんの手を引っ張るんじゃない!

さ、さっきから羨ま――ず、図々しいぞ!」


「ええ~図々しいのかな……?」



 フィデルとノアも喜んでいるようだし、僕自身もゆっくりと試合観戦をしたいというのが本音ではある。



「図々しいなんて思ってないから大丈夫だよ?

それじゃあ、あの席に座ることにしようか? フィデルも一緒に座るよね?」


「は、はい! お願いします!」



 従って、快適な空間を手離す気にもなれず、ノアに手を引かれるままに窓際の席へと向かおうとするのだが――


 コンコンコン。

 

 扉が渇いた音を立てたことにより、その足をピタリと止めることになる。



「パパとママかな?」


「あれ? 手続きには時間が掛かるって言って無かったか?」



 シャリファさん達は来客証明書というヤツを発行する為。

 メーテ達はその手続きを担当する為に事務室へと向かった訳なのだが、手続きには時間が掛かると聞かされていたので、早い合流であることを疑問に感じたのだろう。

 扉へと視線を送りながら、僅かに首を傾げるフィデルとノア。



「でも、予定より早く終わったのかもしれないよ?」


「だとしても早過ぎる気がするけど……まあ、ノアが言うとおりなのかもしれないな」


「うん。だから早くドアを開けてあげなきゃだよ?」


「何で僕の役目みたいになってるんだよ……」


「だって、私はアルお兄ちゃんと手を繋いでいるから手が離せないし……」


「お前……図々しいというか図太くなってないか?

はぁ……では、待たせてしまうのも申し訳ないので扉を開けて来ますね」



 しかし、そのような会話を交わしている内に疑問も霧散してしまったようで、フィデルは扉へと駆け寄るとガチャリとドアノブを下げるのだが。



「あらフィデルじゃない?」


「あれ? 何でソフィア先輩がここに?」


「何でって、優先枠の二人はこの部屋を使ってくれって言われたからだけど?

というか、フィデルこそ何でここに居るのよ?」

 


 扉の向こうに在ったのはソフィアの姿で……

 


「ん? フィデルだけじゃなく、アルとノアも居たの……

あ~ら、おててなんか繋いじゃって、昨日の会食で随分と仲良くなったみたいねぇ~?」



 僕の右手に視線をやると、ソフィアは明るく声を弾ませた。


 弾ませたのだが……

 

 

「後輩と仲良くするのは先輩の役目でもあるわよね? アルは偉いわねぇ~」



 ソフィアの表情を見れば、口角こそ上がっているものの、その目は欠片も笑っていないことに気付く。

  


「え、えっと、これには理由があってだね……」


「理由? 理由って何かしらぁ?」 


 

 光彩の感じられない瞳で、張りつけたような笑顔で、声だけは弾ませるソフィア。

 

 その姿があまりにも異様に思えた僕は、これ以上誤解を与えてはいけないと考え、慌てて僕達の関係を説明しようとするのだが……



「じ、実はだね――」


「ア、アルお兄ちゃん? ソ、ソフィア先輩はどうしちゃったんですか?」


「ちょっ!? ちょっとノア!?」



 ソフィアの表情に怯えてしまったのか、ギュッと僕の腕を抱きしめるノア。 

 そんな誤解を与えかねない言動を、説明も無しに見せつけてしまったからだろう。



「へ~お兄ちゃんって呼ばせるようにしたんだぁ?

随分とッ……随分と殊勝なご趣味をなさっているようですねぇ~」



 案の定、誤解を与えてしまったようで、ソフィアの口内からギリギリという音が漏れ始めてしまう。



「お、落ち着こうソフィア? こ、これには理由があって――」



 奥歯が擦り合わさることで生まれる不協和音。

 その不穏な音に、良い知れぬ恐怖を感じてしまった僕は、一刻も早く誤解を解かなければという思いに駆られ、改めて僕達の関係を説明しようと試みる。



「ノア! ア、アル兄さんが困ってるだろ! 早くその手を離せよ!」 


「え? あっ? うん……」



 しかし、説明するよりも先に、「兄さん」という言葉を口にしたフィデル。



「ちょっと待って……今、兄さんって言わなかった?」

 


 すると、その発言を聞いていたのであろうソフィアは、何かを察した時のようにハッと目を見開いた。


 察しの良いソフィアのことだ。

 ノアだけが「お兄ちゃん」と呼んだのであれば兎も角。

 フィデルまでもが「兄さん」と呼んだことにより、僕達の関係を理解することになったのだろう。



「なるほど……そういうことね」



 小声でそう零すと、何処か納得した様子で頷ずくソフィア。

 そんなソフィアの姿を見た僕は、誤解が解けたことを半ば確信し「ほう」と安堵の息を漏らしたのだが……



「そ、そういうことなら!

わ、私が「お兄ちゃん」って呼んであげるわよ!」



 ……どうやら、安堵の息を漏らすのは早かったようだ。



「ちょ、ちょっと言ってる意味が分からないんだけど……どういうことなのかな?」



 僕はなんだか頭が痛くなってしまい、眉間を揉みながら尋ねる。

 何がどうなれば、そんな訳の分からない答えに辿り着くのかを理解出来なかったからだ。



「ど、どうせあれでしょ!

【藁の上で】を読んで、そういう展開に憧れたんでしょ!?」


「わ、【藁の上で】って……大衆向けの恋愛小説だよね?

話題になってるとは聞いてるけど……」


「惚けても無駄よ! 本好きのアルが読んでない訳ないじゃない!」


「よ、読んでないよ! 恋愛小説はあまり読まないというかなんというか……

まあ、話題になってるから、過激な兄妹愛を描いた作品だって事くらいは知ってるけどさ……」


「ほ、ほら! やっぱり知ってるんじゃない!

ど、どうせアルは、作中のイアンとイヴみたいな禁断の関係に憧れてるんでしょ!? 私知ってるんだからね!」


「え、ええ~……」



 うん。尋ねてみたは良いものの、何を言っているのかさっぱりである。

 

 まあ、会話の内容から察するに、巷で話題になっている小説。

 過激な兄妹愛を描いた恋愛小説に僕が憧れを抱いており、憧れを抱いた結果、フィデルとノアに「お兄ちゃん」呼びを強要させている。

 と、いった感じの勘違いをしていることくらいは理解できたのだが……



「そ、それでイアンとイヴみたいに、厩舎のわらっ、らわっ、藁の上で……

そそそ、そんなの駄目よ! そんな歪んだ欲望を後輩にぶつけるくらいなら私が!

この私が「お兄ちゃん」って呼んであげるからそれで我慢しなさいよ!

アルの馬鹿! 変態!」


「へ、変態って……」



 兎にも角にも。このままの状況では悪化の一途を辿るばかりだ。

 正直、何故ソフィアがここまで取り乱しているのか気になるところではあるが、ソレを問い詰めたとしてもきっと碌な答えは返って来ないのだろう。


 そのような予感を覚えた僕は、誤解を解く方が優先であると判断し、語りかけるような口調で説明を再開させる。



「良く聞いてねソフィア? ソフィアは誤解してるんだよ」


「な、何が誤解なのよ!」


「何がっていうと、小説の内容に憧れて「お兄ちゃん」って呼ばせてるって部分かな?

まあ、急に「お兄ちゃん」って呼んでる姿を見せられたんだから、ソフィアが誤解しちゃう気持ちも分からなくはないんだけどさ……」


「じゃあ! 何で二人はアルの事を「お兄ちゃん」って呼ぶのよ!?」


「それは……僕達が本当の兄妹だから」


「本当の……兄妹?」


「うん。僕自身驚いているんだけど……

僕達は別々の場所で育った兄妹で、血の繋がった家族だったんだよ」


「別々の場所で育った兄妹……」



 僕がそこまで説明すると、ソフィアの視線は僕、フィデル、ノアの順番で、顔を確認するように移っていく。

 


「成程……そういう事だったのね」



 そして、再び僕の元に視線を移すと、全てを理解したかのように頷くソフィア。

 僕はそんなソフィアの反応を見て、今度こそ誤解を解くことに成功したと確信するのだが……



「そ、そんな設定まで用意してるなんて、どれだけこだわってるのよ!?

わわわ、私にはどんな設定を用意するつもりなの! 言ってみなさいよ!?」



 今日のソフィアは随分とポンコツらしい。



「だ、だから設定とかじゃなくて――」


「ま、まさか生き別れの兄妹!? そ、それとも連れ子同士とかいう設定!?

い、いいわよ! 呼んであげるわよ! 呼べば良いんでしょ!?

アアア、アルお兄ちゃん! どう! こ、これで満足!?」



 ……いいや、ポンコツどころか完全に故障しているようだ。



「は、ははっ……どう説明しよう……」



 僕の口から思わず渇いた笑いが零れる。 

 絶賛故障中のソフィアでは、僕達の関係を理解することが困難に思えてしまったからだ。



「ソフィア? もう一度説明するから落ち着いて聞いてね?」



 だが、今後のことを考えれば、困難だからといって説明を蔑ろにするべきではないのだろう。

 そのように考えた僕は、ソフィアに理解して貰うまで根気よく説明を続けることを決めるのだが――


 コンコンコン。


 丁度その時、渇いた扉の音を再び聞くことになる。



「んもぅ……何で手続きってあんなに時間が掛かるのかしら?」


「まあ、この区画は来賓も多く出入りするからな。

ウルフだって、不埒な輩を出入りさせてしまい問題を起こされたら面倒だろ?

それを避ける為の手続きなんだから、少しくらいの面倒は我慢したらどうだ?」


「それは分かってるんだけど……

というか、賑やかな声が聞こえると思ったらソフィアも来てたのね?」



 続けて聞こえてきたのは、ドアノブを下げる音とメーテとウルフの会話。



「ほう、君がソフィアさんかい?

メーテさんから実力者だと聞かされていたんだが、想像していたより華奢で可愛らしいお嬢さんだね」


「あなた、この年頃の女の子に対して「可愛らしいお嬢さん」は失礼ですよ?

可愛らしいって言われるより、素敵なレディって言われた方が嬉しいんじゃないかしら?」


「そ、そういうものなのか?」


「そういうものよ。ソフィアさんもそう思うわよね?」


「あっ、はい……え、えっと……というかどちら様でしょうか?」

 


 加えてシャリファさん達の会話が届くと、見知らぬ顔があった所為か、ソフィアは戸惑いを浮かべながら疑問を口にする。



「ああ、申し遅れてしまったね。

私の名前はシャリファ=サイオンという者なんだが……」



 対して、返答の途中で口ごもり始めてしまうシャリファさん。

 

 昨晩の話し合いの結果、親しい友人達には僕達の関係を伝える。

 と、決めたのは良いものの、ソフィアとは初対面だということもあり、「親しい友人」であるという確証を持つことができていないのだろう。

 シャリファさんが助け船を求めるような視線をメーテへと送る。


 すると、そんなシャリファさんの内心を察してか――



「ソフィアであれば何ら問題ないよ。

問題は無いんだが……まあ、この機会にソフィアという子を理解しておくと良い。

もしかしたら長い付き合いになるかもしれないからな?」


「長い付き合い……ですか?」



 メーテは助け船を出す同時に、悪戯っ子のような笑みを浮かべる。

 その言葉には何処か含みのあるものではあったが、メーテから「問題ない」と聞かされたことで、シャリファさん達は話す決心を固めることができたのだろう。



「私の名はシャリファ=サイオン。

若輩ではあるが、グルセル領の領主を務めさせて頂いている者だ。

そして隣に居るのが――」


「その妻であるグレイス=サイオンと申します」


「まあ、サイオンという名前を聞いた時点でフィデルとノアの親であることは理解して貰えたとは思うんだが……」



 簡単な自己紹介をすることで話を切り出すと――



「私達はフィデルとノアの親であると同時に……

アルディノ君の――アルの実の両親でもあるんだ」



 話の核心をソフィアへと告げた。



「へ? 何を言っているんですか?」



 ソフィアは唐突に告げられた事実を飲み込むことができていないのだろう。

 キョトンとした表情を浮かべると、周囲の顔色を窺いだす。



「えっ……じゃあ兄弟っていうのは本当のことだったの?」



 しかし、そうして周囲の反応を窺っている内に、冗談の類ではないことに気付いたのだろう。



「あっ、アルと目元が似てる……

……そっか、アルは母親似なんだ……」



 更には、僕とグレイスさんの目元が似ている点にも気付いたようで、全てを理解したかのような声色を漏らすソフィア。


 僕は、そんなソフィアの反応を見て、ようやく誤解が解けたことを確信し、再び安堵の息を漏らしそうになるのだが……


 

「本当にアルの両親なんですね……じゃあ、一発殴らせてもらいますね?」


「「へ?」」



 どうやら、安堵を息を漏らすのは、まだ早かったらしい……

 


「ソ、ソフィア!? 何しようとしてんのさ!?」


「ちょっ!? 何処触ってんのよ!

こいつらをぶん殴ってやるんだから早く離しなさいよ!」


「いやいや! 何でそうなるのさ!?」


「んな!? だ、だから何処触ってるのよ!」



 今にもシャリファさん達へと殴りかかりそうなソフィア。

 そんなソフィアを止める為、僕は羽交い締めするような形で腕をまわすのだが、触れてはいけない部分に触れてしまっているようで、ガシガシと肘でこずかれてしまう。


 正直、学園第二席の膂力というものは尋常ではないので、今すぐにでも離してしまいたいというのが本音ではあるのだが……



「は、や、くぅうー! は、な、し、な、さ、い、よぉおー!」



 シャリファさん達の実力がどれ程なのかは分からないが、この膂力を向けられてしまった場合、無傷では済まされないのだろう。


 そのように考えた僕は、痛みに耐えながらもソフィアの説得を続ける。



「だ、だから! 何で殴るって発想になるのさ!?

ほ、ほら! 一旦拳を解いて落ち着こうよ? ね、ソフィア?」


「うるさいッ!」


「う、うるさいって……ソ、ソフィアが怒ってくれるのは嬉しいんだけど……

ぼ、僕は全然怒ってないし、話し合いをして和解も済んでるから、ソフィアが殴る必要なんて無いんだって!」

 


 しかし、そのように説得を続けてると――



「だからよッ!」


「へ? だ、だから?」



 ソフィアは身体強化まで利用したのだろう。

 力技で腕を振り払うと、身体を反転させ、僕の目を睨みつけた。



「どうせアルのことだもん! 優しくて甘いアルのことだもん!

恨みごとの一つも言わないで二人を許しちゃったんでしょ!?

本当は辛い時だって在った筈だし、苦しい時だってあった筈!

でもアルは! アルはアルだからそういう気持ちを隠しちゃうんだ!」


「ソフィア……」



 僕はソフィアの言葉に何も言い返せなくなってしまう。

 何故なら、その言葉は間違いでもあり、正しくもあったからだ。



「だがらっ! アルのがわりにわたじが怒るの!

アルのがわりにわたじが殴ってやるの!」



 そして、涙交じりにそう言ったソフィアは、僕から視線を切ろとするのだが――



「……そっか、僕の代わりに怒ってくれたんだね」



 僕はそんなソフィアの手を取ると、両手でギュッと握りしめた。



「嫌な役目をさせちゃってごめんね」


「別にいやとがぞういんじゃ……ふぐぅ……うぐっ……」



 僕が謝るとクシャリと表情を歪ませるソフィア。

 きっとその顔を見られたくないのだろう。

 隠すようにして僕の肩に顔を置くと、涙で僕の肩を濡らしていく。


 涙で服が濡れて行く感覚と、そこに感じるソフィアの暖かな息づかい。

 そんな感覚を胸に感じながら、僕は自分の情けなさを痛感させられていた。


 それもそうだろう。

 ソフィアには直情的な部分が確かにあるが、相手の話も聞かずに暴力を振るうような真似はしない子だ。


 だというのに、ソフィアが暴力に訴えるような真似をしたのは……

 きっと、僕の性格や普段の言動が、ソフィアを安心させるに至らなかったからなのだろう。


 だからソフィアは、僕が言いたいことを我慢していると考えた。

 だからソフィアは、我慢している僕の為に怒り、代わりに殴るといってくれたのだ。


 正直、その考え方は人によっては拙いと思うかもしれない。

 独りよがりな考え方と捕らえるかもしれないが、もしそうだとしてもそれは拙いなりのソフィアの優しさで、そんな優しい少女を安心させてあげることができなかった僕の至らなさだ。


 だからこそ、僕は自分の至らなさを反省し――

 

 

「ありがとうソフィア。

本当、僕はソフィアに助けられてばかりだよね」

 

 

 優しい少女に対して感謝の言葉を掛けた。



「そう思うんだったら……頭を撫でなさいよ……」 



 僕は言われるがままに、ソフィアの頭を撫でる。

 


「んっ……」



 すると、少しは落ち着かせることが出来たようで、肩に掛かる重さが増したことに笑みを溢したのだが……



「ふぁ~何か良い感じです」


「お、おいノア!

二人の世界に入っているんだから余計なことを言うんじゃない!」



 フィデルの言葉により、二人だけの世界に入っていたことに気付かされる。


 更には……



「耳が痛くなる話で申し訳なくも思うのですが……

メーテさんが言ったように、ソフィアさん? ちゃん? のことをよく理解できましたよ」


「ええ、とても優しく、アルのことを考えてくれているという事。

それに、長い付き合いになるかもしれないという言葉の意味も」


「うむ。少しばかり苛烈ではあるが可愛いらしい子だろ?

まあ、当人同士の問題ではあるし、他にも候補が居るからどうなるかは分からないんだがな」


「こ、候補ですか?」


「ア、アルはもてるんですね……」


「もてるわよ? アルはそのあたりに鈍感というか、敢えて避けてる感じもするけどね?」



 会話の内容は上手く聞き取れなかったが、メーテ達の会話も耳へと届く。

 その事もあってか、僕は途端に恥ずかしくなってしまうのだが――



「ひうっ……うぐっ……」



 それよりもソフィアの方が気掛かりで、その頭を撫で続けるのであった。

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