第232話 真夜中の謝罪


「情けないお父さんでごめんな」



 謝罪を口にしたシャリファさんは、泣くのを堪えるようにして無理やり笑顔をつくる。

 僕はそんなシャリファさんの笑顔を見て、どんな言葉を掛けて良いのか分からなくなってしまった。


 ……だが、それも仕方がないことなのだろう。

 聞いた話が事実であるならば、二人は僕を捨てるつもりなどなかった。

 追手から僕を守ろうとした結果、洞に隠すという選択肢しか残されていなかっただけなのだ。


 そんな二人を……

 命を賭してまで僕を守ろうとしてくれた二人を、謝罪されたからといって責められる筈がない。

 そのように考えた僕は、それならば、謝罪の必要が無いことを伝えるべきだろうとも考えるのだが……



「な、情けないだなんて思っていません! ですからお気に――」



 僕は、「お気になさらないで下さい」と続けようとして、言葉を飲み込んでしまう。

 何故なら、それは慰めの言葉であると同時に、他人行儀な言葉であると感じてしまったからだ。


 恐らくではあるが、他人行儀な慰めの言葉など二人は求めていない。

 例え、聞くに堪えない罵りの言葉であったとしても、二人が求めているのは僕の本心。

 自分を捨てた両親に対する、飾ることのないありまのままの本音を求めているのだろう。


 そのように感じた僕は、改めて掛けるべき言葉を整理し始める。



「ぼ、僕は……」



 整理し始めるのだが、伝えたいことを上手く整理することが出来ず、言葉を詰まらせてしまう。

 その為、無言の時間が流れると共に、場の空気が徐々に重苦しさを増してしまうのだが……



「アル。気持ちを落ち着かせる為にも一度深呼吸でもしてみたらどうだ?」



 言葉を詰まらせる僕の姿は、見るに見兼ねてしまうものだったのだろう。

 メーテは椅子の背もたれに身体を預けながら、気持ちを落ち着けることを僕に伝える。



「それで気持ちを落ち着けたら、伝えたいことをしっかりと整理するんだ。

その為の時間は私が稼ぐ――というよりかは、私も話しておきたいことがあるからな。

私達が話してる間に、伝えたい想いを一つ一つゆっくりと整理すれば良いさ」



 続けてメーテは、想いを整理する為の時間を僕に与えると――



「と、いうことで、話に移らせて貰おうと思うんだが……

話を始める前に一つだけ確認させて貰いたいことがある」



 胸の下で組んでいた腕をほどき、人差し指を立てながらシャリファさん達へと尋ねた。



「はい……一つに限らず、尋ねられた事には偽りなく答えるつもりです」


「先程もお伝えしたとは思いますが、隠し立てするつもりは一切ありませんので……」



 そのような言葉を返したシャリファさん達は、表情を強張らせながらもメーテから視線は切らない。

 その表情は、まるで責められる事を覚悟しているかのような。

 まるで判決を言い渡される直前かのような。

 二人の緊張と覚悟がひしひしと伝わり、痛く感じてしまうほどの表情であったのだが……


  

「それでは聞くが――酒は得意な方か?」


「へ?」


「え?」



 その質問は余程予想外だったのだろう。

 二人は一転して呆けた表情を浮かべることになる。



「もう一度聞くぞ? 酒は得意な方か?」


「え、ま、まあ……人並みに飲める程度ではありますが……」 


「わ、私も嗜む程度には……」


「それならば付き合え。ウルフも飲むよな?」


「この時間から飲むの? まあ、飲むっていうのなら付き合うけど」


「では、早速グラスを用意するとするか。

ああ、アルにも紅茶のお代りが必要だな。今度は冷たいのにするか?」


「え? じゃ、じゃあ冷たいので」


「うむ。冷たいのだな」



 シャリファさん達の反応を横目に、椅子から腰を浮かせてキッチンへと向かうメーテ。 

 キッチンでの準備を手早く終えると、紅茶で満たされたグラスと氷の入ったグラスをテーブルの上へと並べていく。



「ふむ、酒だけではテーブルの上がちと寂しいな。

無いよりはマシ程度の物だが一応並べておくことにするか」



 加えて並べられたのは、木製の皿に盛られたナッツとチーズ。

 そして一本の酒瓶をトンと置くと、メーテは元居た席へと腰を下ろすことになった。


 なったのだが……僕は勿論のこと、シャリファさん達も今の状況を飲み込めていないのだろう。

 トクトクと満たされていくグラスを眺めながら、三人揃って呆けた表情を浮かべてしまう。


 すると、そんな僕達の反応に対して苦笑いを浮かべるメーテ。



「同じような表情をしていると、嫌でも親子であるということを理解してしまうな……」



 少し寂しげな口調でそう溢すと――



「ともあれ、二人の話を聞いたうえで私にも思うところがあってな。

卑怯だと重々理解してはいるんだが……少しだけ酒の力を頼らせて貰うことにするよ」



 お酒で満ちたグラスを手に取り、コクコクと二回ほど喉を鳴らすのだった。






 短針は随分と前に頂上を通過しており、まもなく四分の一を指し示そうとしている。

 そのような遅い時間だというのに、僕の目の前には紅茶が。他の四人の前にはお酒で満たされたグラスが置かれていた。 



「改めて尋ねるが……先程の話に嘘偽りはないんだろうな?」



 メーテはグラスの縁に指を置きながら、シャリファさん達へと尋ねる。



「信じて欲しいというのは無理な話なのかもしれませんが……決して嘘偽りは口にしていません」


「今この場でそれを証明することは出来ないのですが……嘘や偽りがないことを誓います」



 メーテが尋ねると、緊張した面持ちで答えを返した二人。

 緊張している所為か?それとも遠慮をしている所為なのか? 

 ふと二人のグラスへと目をやれば、まったく手が付けられていないことが分かる。



「そう緊張するな。話を進める上で前提が崩れてしまっては元も子もないだろ?

一応は再確認しておこうと考えただけで、先程の話を疑っているという訳ではないんだ。

まあ、「疑っている」と取れるような質問であったことも事実ではあるんだが……」



 そう言うと、肩を竦めて苦笑いを浮かべるメーテ。



「ところで……二人とも飲んだらどうだ?」



 二人のグラスに視線を移すと、お酒を薦めるようにして手のひらを上へと向けた。



「そ、それではご馳走になります」


「い、いただかせて貰いますね」



 その事により、恐る恐るお酒を口へと運ぶシャリファさんとグレイスさん。

 緊張の所為で味覚が麻痺しているのか、味を確かめるようにして二口目を口へと運ぶのだが……



「旨いだろ? なんせこいつはファブ・ドルト43年だからな」


「ファブル・ドルトとはこの蒸留酒の名前でしょうか?」



 メーテがそう伝えると、キョトンとした表情を浮かべるグレイスさん。



「ブッ――んぐっ! ド、ドルトの43年!?

42年や44年ではなく43年物なのですか!?」



 シャリファさんは吹き出しそうになるのを堪えながら、大きく目を見開いた。



「ほう、違う年を引き合いに出すあたり価値を理解しているようだな?」


「も、勿論知っていますが……ラ、ラベルを見せていただいても?」


「構わんよ」


「し、失礼します……」



 メーテが酒瓶を渡すと、食い入るように酒瓶のラベルを確認するシャリファさん。

 そして、一通り目を通すと――



「お、お幾らお支払いすればよろしいでしょうか?」



 頬を引き攣らせながらそう尋ねた。



「別に金なんかいらんよ」


「そ、そう言われましても……これだけのお酒を只でという訳には……」


「気にしなくていい。同等の酒なら倉庫にゴロゴロと転がってるからな」


「ド、ドルト43年と同等の酒が……ゴ、ゴロゴロ?」



 メーテの話を聞き、一層頬を引き攣らせるシャリファさん。

 対して、グレイスさんは話に付いていけないようで、相変わらずキョトンとした表情を浮かべている。

 だからだろう。



「あなた? このお酒って良いお酒なの?」



 グレイスさんは首を傾げると、そのような疑問を口にするのだが……



「良い酒ではなく極上の酒だよ。

市場に出回ったとしたら……少なくとも大金貨三枚はくだらないだろうな」


「へ? 大金貨三枚? だ、だとしたらこの一杯で……」


「金貨一枚以上は確実に飛ぶだろうな……」



 シャリファさんが質問に答えると、グレイスさんも頬を引き攣らせる羽目になってしまった。


 そして、そのようなやり取りを眺めていた僕は、思わず首を傾げてしまう。

 何故なら、メーテが高いお酒を振る舞った意図を、理解することが出来なかったからだ。 


 実際、お酒を振る舞った理由だけなら理解することが出来る。

 恐らくではあるが、お酒を嗜むことによって二人との距離を縮め、会話をしやすい空気を作るという狙いがあったのだろう。


 しかし、大金貨三枚ものお酒となれば話は別だ。

 そんなに高いお酒を振舞われては、シャリファさん達も緊張してしまうだろうし、会話をしやすい空気など生まれる筈もない。


 そのように思えた僕は、メーテの意図を理解することが出来ず、首を傾げてしまった訳なのだが……



「まあ、市場に出回ればそれくらいの値段は付くだろうな。

では何故、それ程の市場価値があるのか? その理由を知っているか?」


「そ、それは……先代の後継者であるゾルデ=ドルトが、病に伏した年に作られた酒だからでしょうか?」


「ほう……続けてくれ」


「そ、それでは――

こ、後継者であるゾルデが病に伏せった事により、本来であればその年のドルトは完成しない――又は、完成したとしても、例年と比べて味の落ちたドルトが市場に出回ることになる筈でした。

ですが……実際にはそうはなりませんでした。

それは何故かというと、先代であるファブ=ドルトが、ゾルデが病に伏せた後の工程を引き継ぐことになったからです。

いわば先代と後継者の合作ともいえるドルトの43年物は、後にも先にもない独特な味わいがあり、愛好家によって特別な価値が付属された。と、いう話だったと記憶しております」


「うむ、そのとおりだ。

人並みに飲める程度という割には随分と詳しいじゃないか?」


「ま、まあ……嫌いではありませんので……」


「嫌いではないという言葉で括るには、幾分無理があるように思えるがな。

おいグレイス。今度シャリファの書斎をよ〜く調べてみるといい。

恐らくだが、上等な蒸留酒を何本か見つけることが出来ると思うぞ?」


「メ、メーティーさん!?」


「あら、あなた? 何をそんなに狼狽えているのかしら?」


「い、いや! 違うんだよグレイス! あ、あの酒はだな――」


「あの酒? その話はあとでゆっくり聞かせて貰いますね?」



 高いお酒を振る舞った意図を掴めずにいた訳なのだが……

 そのようなやり取りから察するに、会話の切っ掛けになるから高いお酒を振る舞っただけで、特別深い意図など無かったのかもしれない。

 そして、高かろうが安かろうが結局はお酒で、お酒の席であるという事実は変わらないのだろう。



「メーテ。空になっちゃったからおかわりを貰っても良い?」


「ああ、好きに注ぐといい」


「そうさせて貰うわね。あっ……溢しちゃった」


「ヴェ、ヴェルフさん!? さ、先程の話は聞いていましたよね!?」


「聞いてたけど?」


「で、でしたら、もう少し慎重に扱ったほうが宜しいのではないかと……」


「んもぅ。なんかアルみたいなお小言を言うし、この人ちょっと面倒臭い気がするわね……」


「……め、面倒臭い?」


「ウルフが言うように、確かに面倒臭そうな性格をしているような気がするな」


「ええ、多分だけど、真面目が過ぎて無駄に抱え込んじゃうような性格をしているんじゃないかしら?」


「ああ……アルが得意なヤツだな。それは確かに面倒臭い」


「は、ははっ……」


「あ、あなた! ほ、ほら元気出して!

面倒臭いって言われてしまったけど、アルみたいとも言って貰えたじゃない!」


「あ、ああ……そうだな……」



 場の空気は徐々に和らいでいき、苦笑いではあるもののシャリファさん達に笑顔が生まれ始める。

 まあ、酷いもらい事故に遭ってしまったような気がするのだが……気にしたら負けなのだろう。


 ともあれ、空気が和らいだことにより、自然と会話を交わし始める四人。



「まあ、面倒臭いと思うのは事実だが、私はその面倒臭さが嫌いな訳じゃないぞ?

むしろ、アルとの血の繋がりを実感させられてしまい、羨ましく思うほどだ」


「確かにそう考えると、ちょっと羨ましく感じるわね?

というか……血の繋がりで思い出したんだけど、フィデルとノアはアルの兄弟ってことになるのよね?

さっきの話を聞く限りだと、子供をつくれるような状況じゃなかったように感じたんだけど、もしかして養子とかなのかしら?」


「そ、それはですね……」


「えっと……あの……」



 ウルフの踏みいった質問に対し、返答を詰まらせるシャリファさんとグレイスさん。

 僅かに頬を赤く染めると、気まずそうな表情で僕の方へとチラチラと視線を送る。



「ウルフ。無粋なことを聞くんじゃない。

男女に限らずとも人間という生き物は、共感し合う生き物だ。

辛く厳しい心身状態にあるからこそ、、お互いの痛みを分かち合うように求め、心を埋めるようにして寄り添い合う。

憔悴しきってた二人がお互いを求め合うのは当然の事だろうし、フィデルとノアが二人の実子であったとしても何らおかしい事ではないさ。なぁ、そうだろ?」


「そ、そうですね……は、ははっ」


「え、ええ……は、はい」



 そしてメーテがそう言うと、僕から視線を逸らし、顔を真っ赤にする羽目になってしまった。


 だがまあ、それも当然といえば当然の反応なのだろう。

 なにせ、実子である僕に性事情を聞かせる羽目になってしまったのだ。

 二人が顔を真っ赤にしてしまうのも頷けるし、僕自身もなんともいえない気まずさを感じてしまう。


 ちなみに、助け船を出したつもりでいるメーテはというと。



「と、いうことだ。分かったかウルフ?」



 出来る女性といった雰囲気を漂わせ、何処か勝ち誇ったような視線をウルフへと向けたのだが……



「知った風なことを言ってるけど……メーテってそういう経験ないわよね?」


「……何が言いたい?」


「別に言いたいことは無いわよ? でも、ちょっとだけ耳年増みたいだな〜とは思ったかしら?」


「み、耳年増とはなんだ!? そ、そう言うウルフだって経験ないだろうが!」


「だから、メーテみたいに知った風なことは口にしてないでしょ?」


「ぐ、ぐねぬっ……」



 何故か言い争いを始めてしまう二人。

 そんな二人の言い争いを聞化される羽目になった僕は――



「うん……あまり聞きたく無かったかも」



 育ての親と生みの親。

 両方の性事情を聞く羽目になり、思わず頬を引き攣らせてしまうのだった。






 その後、メーテが落ち着いたところで会話は再開された。



「た、多少話が逸れてしまったが……そろそろ本題に入ることにしようじゃないか」


 

 思わぬ醜態を晒してしまったからだろう。

 メーテは少しばかりバツが悪そうな表情を浮かべたものの、話を切り出すと同時に真剣な表情へと変える。



「しつこいようだが、先程の話を確認させて貰うぞ?

二人はアルを置き去りにしたのではなく、ヴェルニクス教からアルを守る為に洞に隠すしかなかった。

そして、自身の身柄が解放されてからは、幾度となくアルの行方を探した。これで相違はないな?」


「はい……相違はありません。

浅慮であることは理解していますが、あの時はそうする他に考えが及ばなくて……」


「まあ、ヴェルニクス教に追われているという状況で馬車が大破……

加えて、二人とも怪我を負っているという状況では致し方ないさ」



 先程聞いた話の確認を取ると、理解を示すように小さく頷いたメーテ。



「しかし何故? その糸目の神父とやらは見逃すことを決めたのだろうな?」



 しかし、そうすると同時にシャリファさん達が見逃されたことに対して疑問を持ったようで、眉根に皺を寄せながら尋ねた。



「……それは、未だに分かりません。

私のネックレスを見た瞬間に態度を変えたのは確かなので、文献などを集めて調べてはみたのですが……」


「それでも分からなかったという訳か……

ところで、今もそのネックレスを身に着けているのか? 身に着けているなら見せて貰いたいんだが?」


「え、ええ。これがそのネックレスです」



 シャリファさんは首に提げていたネックレスを外してメーテへと手渡す。

 メーテは「すまないな」と言って受け取ると、指先で摘み、観察するようにまじまじと眺めだした。


 そうすること数分。

 メーテは、革紐の先に黒いコインがぶら下がってるだけのような。

 そんな簡素な作りのネックレスを観察し続けていた訳なのだが。



「うむ。さっぱり分からんな」



 結局は答えが出なかったようで、降参するかのように手のひらを見せた。



「やはり分かりませんか……」


「ああ、私も様々な文献には目を通してはいるんだが、全く同じ物となると心当たりがないな。

まあ、単純な模様をしているから、模様だけでいえば幾つか心当たりはあるんだが……

文献と照らし合わせたところで、糸目の神父が態度を変えた理由とは結びつけることが出来んかったよ」


「そう……ですか……

一体、このネックレスは何なんでしょうね……」


「それは私にも分からないが……ともあれ、このネックレスがお前達の身を守ったのは確かだ。

それに、コイツは親からの贈り物でもあるんだろ?

だったら今までと同じように、大切に身に着けてやれば良いんじゃないか?」


「……確かにそうですね。

私達の身を守ったのは事実ですので、今後も大切に身に着けておくのが正解なのかもしれませんね」


「ああ、大切にすると良い。

それでは、大切にしてくれる持ち主の元に返すとするか」



 メーテがネックレスを返すと、大切そうにギュッと握り込んだシャリファさん。

 その仕草に視線を奪われてしまったことに加え、話に一区切りが付いたからだろう。

 会話が途切れてしまい、僅かな間が空いてしまう。


 すると、その僅かな間を利用するようにグラスを傾けたメーテ。



「まあ、その話はさて置き」



 喉を鳴らした後、話題を切り替えるようにして口を開く。



「んっ。なんだかんだ言いそびれてしまったが……これだけは伝えておかなければいけないな」  



 続けて、咳払いを一つした後にシャリファさん達へと視線を向けると――



「失礼な態度で接してしまったことを心から申し訳なく思う。

シャリファ、グレイス……本当にすまなかった」



 謝罪を口にすると同時に、テーブルに手を着き深く頭を下げた。



「し、失礼だなんて! 責められるべき行いをした私達に対して、メーティーさんは当然の態度で接したに過ぎません!」


「そ、そうです! 謝罪が必要なのは私達の方なのですから!」



 しかし、二人からすれば、失礼とも取れる態度は当然の反応であると受け入れていたのだろう。

 二人は椅子から腰を浮かすと、慌ててメーテの謝罪を止めようとするのだが……



「いや、やはり謝罪をするのは私の方だよ。

失礼な態度で接してしまった事もそうだが、闇属性の素養持ちや、アルが命を狙われる原因……

その大元を辿って行けば【禍事を歌う魔女】――私という存在が全ての元凶なのだからな……」


「へ?」


「え?」



 メーテがそう告げた瞬間、腰を浮かしたまま呆けた声を漏らすこととなった。

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