第221話 もう一つのご褒美

 日が高い内から始められた酒盛り。

 それは日が落ちるまで続けられ、ミエルさんが酔い潰れたところでお開きとなった。


 そして、その翌日。


 

「では、島の外周を走ってきてもらおうか」



 早朝の浜辺に僕達を呼びだすと、走り込みをするよう指示を出したメーテ。



「は、走るんすか? もしかして今日から地獄の合宿が始まるってオチじゃ……」



 前日に、ご褒美という言葉を聞かされていたからだろう。

 ダンテは苦笑いを浮かべると、落胆するように肩を落とす。



「始まらんからそう警戒するな。

流石になんの鍛錬もしないというのは如何なものだし、それでは身体がなまってしまうだろ?

走り込みと軽い手合わせを終えたら、午後からは自由時間を設けるつもりだからから安心するといい」


「ってことは、鍛練は午前中だけで良いんすよね?」


「まあ、そういうことだな」


「よ、良かった~……」



 しかし、ご褒美という言葉に嘘偽りは無かったようで、それを知ったダンテは「ほう」と息を漏らすと、安堵の表情を浮かべることになった。


 そして翌日、翌々日と、その約束はしっかりと果たされることになる。

 まあ、『早朝の鍛錬が想像以上にキツイ』と友人達はぼやいてはいたのだが、それでも今までの合宿と比べれば雲泥の差があるらしく――



「ベルト! 沖まで競争しようぜ!」


「また競争するのか? これで何度目だ?」


「完成にゃ! こいつはラトラ砦と命名するにゃ!」


「え~……手伝ったんだから、私の名前も入れてよ?」



 午後にはケロッとした顔で浜辺へと向かい、沖まで競争をしたり、砂の砦を作ったりしているのだから、本当に逞しくなったものだと痛感させられてしまう。



「ほらミエル! 怖がらないで顔をつけるのよ! 足も止めないでバタバタ動かす!」


「わ、分かりました!」


「ちょっと!? 横にバタバタさせてどうすんのよ!?」



 ……そのようなやり取りが目に入ってしまったのは兎も角。

 

 僕は僕で、友人達の成長を感じながらも、ぼうっと波に揺られたり、岩場で釣り糸を垂らしたりと、のんびりとした時間を満喫させて貰っていた。


 それは本当にのんびりとした時間で。


『魚は獲り放題だし、中央にある山には山菜や果物も豊富に実ってる。

ここで自給自足をして、のんびりと暮らすのも楽しそうだな~』


 思わず、そんな考えが頭をよぎってしまうのだが。



「楽しいのは楽しいんだけどよ。なんか刺激が足りなくないか?」


「ああ、これ以上ない休暇の筈なんだが、課題がまったく無いというのも物足りなさがあるな……」


「分かるにゃ! 合宿は厳しいからこそ合宿って感じだもんにゃ~」


「あ、あははっ……複雑な気分だけど、その気持ち分かるかも」



 僕とは対照的に、物足らなさを感じているご様子の友人達。

 合宿六日目にして、そんなことを言い出すのだから不思議なものだ。


 まあ、楽であれば楽であるほど。満たされれば満たされるほど。

 刺激を求めたくなる気持ちは分かるし、そもそもに隣の芝生というものは青く見えてしまうものなのだろう。


 加えて、若さというヤツがそうさせるのだろうか?

 友人達は「もう少し厳しくても良かったかもな?」などという言葉を口にするのだが……



「ほう? なんなら合宿を延長して、厳しい課題を用意してやろうか?」


「「「「す、すみませんでした!」」」」



 メーテがそう尋ねると、揃ってそれを拒否するのだから本当に不思議なものだ。


 まあ、そのような話はさて置き。

 合宿六日目となる本日なのだが、昼食を終えた僕達は、海辺の家のリビングに集まっていた。


 では、どうして集まっているかというと。



「課題の話は兎も角として――本日集まって貰ったのは他でもない。

お前達にもう一つの褒美を渡す為、こうして集まって貰ったという訳だ」



 どうやら、海水浴以外にもご褒美を用意していたようで、それを渡す場をメーテが設けたからだろう。



「褒美っすか? もう充分楽しませて貰ってるっすよ?」


「ほう? では、もう褒美はいらないのか?」


「べ、別にいらない訳じゃないっすよ! た、ただこれ以上何か貰うのは悪い気がして……」



 メーテが悪戯気に尋ねると、慌てた様子で否定するダンテ。

 一応は遠慮しているものの、内心では褒美の内容が気になっているようで、メーテの足元に置かれた大きめの木箱にチラチラと視線を向けている。



「気にするな。これは私が好きでやっていることだ。

だから遠慮など不要だし、素直に受け取っておくがいい」


「そ、そういうことなら……」


「分かって貰えたかな?

それではダンテから渡して行くとするか。ダンテ、こっちに来い」



 メーテはダンテに声を掛けると、木箱の中から大皿を布で包んだような物を取り出す。



「ていうか……【邪神像】みたいなヤバいヤツじゃないっすよね?」


「褒美だといっただろ? そんな真似する訳ないだろうが……いいから受け取れ」



 メーテの所持品に触れた事によって、苦い経験をした事があるからだろう。

 ダンテは一歩後ずさることで警戒を示すのだが、そんなダンテに対してメーテは、押しつけるようにしてソレを手渡した。



「その布をといてみろ」


「ぬ、布をとけば良いんすか? なんか呪われたりしません?」


「……どれだけ警戒してるんだ? とっとと布をとかないと厳しい課題を用意するぞ?」


「わ、分かったす! 分かったっすから! それだけは勘弁してほしいっす!」


 

 メーテが課題と口にすると、ダンテは恐る恐るといった様子で布をとく。

 すると、布の中に収まっていたのは文様が入った円形の物で、その円には柄のようなものが組み込まれていた。



「こいつは……盾? いや、剣っすか?」


「どちらも正解だ。ソイツは盾と剣が一体となっている逸品でな。

ダンテの戦い方は前衛的だから、きっと重宝するだろうと思って倉庫から引っ張り出して来たんだ」


「確かに重宝しそうっすけど……ほ、本当に貰って良いんすか?」



 正直、見た目で武器の善し悪しは分からないというのが本音だ。

 だが、メーテが褒美と称している以上、粗悪品で無いことくらいは容易に理解することが出来る。

 ダンテもそれを理解しているから、遠慮がちに尋ねているのだと思うのだが……



「ソイツはくれてやるから、大切に使ってやれよ?」


「ま、まじでくれるんすよね? うは! 見た瞬間ちょう格好良いって思ったんすよ!」



 本音を言えば、一目惚れだったのだろう。

 メーテが「くれてやる」と言うと、ダンテは一瞬にして表情を綻ばせた。



「で、でも、本当に良いんすか!?」


「ああ。これは合宿と、それ以降の鍛練を怠らなかったダンテへの褒美だ。

まあ、倉庫で腐らせてた物だから少々申し訳なくはあるんだが……」


「ぜ、全然大丈夫っすよ!

っていうか! 本当に! まじで貰って良いんすか!?」 


「くどいぞ? くれてやると言ってるんだから素直に貰っておけ。

それとも、やっぱり返してくれと言ったら、ダンテは素直に返すつもりなのか?」


「い、嫌っす! か、返したくないっす!」


「だったら返さなくていい。その代わり大切に使ってやれよ?」


「わ、分かったっす! 大切に使わせて頂くっす! メーテさんありがとうございます!」



 ランタンシールドとでもいえば良いのだろうか?

 ダンテはそれを大切そうに抱きかかえると、よりいっそう表情を綻ばせる。


 しかし、その一方で――



「……み、見間違いかしら? あの盾にセドリックの刻印が彫られてた気がするんだけど?」


「み、見間違いではないでしょうか?

め、名工セドリックが手掛けた逸品であれば、一等地に家が買える程の価値があるんですよ?

そ、それをポンとあげる人などこの世に存在しませんよ? いませんよね?」


「そ、そうよね? わ、私が見間違えたんだと思う……うん」


「き、きっと、そうですよ!」



 何故か頬を引き攣らせているマリベルさんとミエルさん。

 どうやら見間違いであると結論付けたようなのだが、その声は上擦ったままだ。


 そして、そんな二人の会話など、気にする素振りすらみせないメーテ。

 今度はベルトを呼びつけると、木箱から長物を取り出し、布をといてから手渡した。



「ベルトは魔法の手数や、軽い身のこなしが長所だからな。

その機動力を損なわない為にも軽い剣――加えて魔法発動の媒体にもなる物を選んだという訳だ」


「長さはショートソードくらいありますが……こ、これって羽ですよね?」


「紛うこと無く羽だな。だが、切れ味は保証するから試しにコイツを斬ってみろ」



 メーテは、木箱から拳大の石を取り出すと、ベルトの返事を待たずに宙へと投げる。



「これを……って!? くっ!」



 咄嗟の出来事に対し、慌てた様子ながらも白い羽を振ったベルト。

 そして、次の瞬間――



「へ?」



 カキィンという音。

 加えて、カツンという音が二回ほど床を鳴らすと、間の抜けた声を漏らした。



「どうだ? 中々の切れ味だろ?」


「た、確かに素晴らしい切れ味ですが……本当に頂いても宜しいんでしょうか?」


「……まったく。お前達も難儀な性格だな?

くれてやると言ってるんだから素直に受け取れば良いというのに。

それとも……私の好意を無碍にでもしたいのか?」


「け、決してそういう訳では無いです!」


「冗談だよ。ともあれ、過ぎた遠慮は相手を傷つける場合もあるから気をつけるんだぞ?

まあ、褒美を与えて喜んで貰いたいというのも押しつけがましい善意ではあるし、お前達からすれ迷惑な話かも知れないがな……」


「め、迷惑だなんてそんな!」


「それでは、受け取ってくれるんだよな?」


「そ、それは少しずるくないですか? そんなふうに言われたら断れる筈ないじゃないですか……」


「ふふっ、ずるいのが大人というものだよ?」



 良くいえば納得。悪くいえば言いくるめられてしまったのだろう。

 少しだけ腑に落ちないといった表情を浮かべるものの、ベルトは羽の剣を胸に抱えると。



「ありがとうございます。大切に使わせて頂きます」



 お礼の言葉を告げ、深々と頭を下げた。



「……あれ、ミネームの羽じゃない?」


「そ、そんなまさか……Sランク冒険者の中でも一握りしか討伐できない怪鳥の羽ですよ?」


「で、でもメーテっちだし……」


「……なんだか頭が痛くなってきました」



 マリベルさん達はまたも頬を引き攣らせているのだが、そんな二人を他所にメーテはラトラを呼びつける。



「先に言っておくが、遠慮は必要ないぞ?」


「んにゃ! 遠慮はしないにゃ! ウチには何をくれるのかにゃ!?」


「……お前はそういうヤツだったな。

まあ、その方が楽で助かるんだが、これはこれで意地悪をしたくなるな?」


「んにゃ!? 意地悪しないで欲しいにゃ!」


「ふっ、冗談だよ。 ほら、コイツを受け取れ」


「これは……手甲かにゃ?」



 メーテが布をとくと、布の中に収まっていたのは蛇腹を思わせる手甲だった。



「ラトラは素手での接近戦が得意だろ?

コイツは手首の稼働域を制限しない上、攻撃にも防御にも使用できる優れものだ。

きっと、ラトラの戦い方に合うだろうし、力になってくれる筈だ」


「おお〜凄いにゃ! 手首が楽ちんだにゃ!」



 ラトラは早速装着すると、稼働域を確認するように手首をグルグルと回す。

 加えて満足したのだろう。メーテにお礼を言うと、飛び跳ねて喜びを表現するのだが……



「ねぇ、ミエル? あの青っぽい輝きってアダマンタイトじゃないわよね?」


「は、ははっ……だ、だとしたら、ちょうヤバいですよ?」



 マリベルさんはやっぱり頬を引き攣らせており、ミエルさんに至っては語彙が死んでいた。


 そんな二人を他所に、メーテはソフィアへと声を掛ける。



「ソフィアは――幼い頃から比べると随分と強くなったな」


「幼い頃から比べたら強くなったとは思うんですけど……

アルもそうだし、メーテさんやウルフさんと比べたら全然ですよ……」


「そうか? 私は強いと思うぞ?」


「そう言って頂けるのは嬉しいんですけど、やっぱりまだまだですよ……」



 メーテが称賛の言葉を送ると、ソフィアは謙遜の言葉を口にする。

 メーテはそんなソフィアの頭に優しく手を置くと、こんな言葉を口にした。



「ソフィアは強いよ。それは単に実力だけの話じゃ無く心の強さだ。

その証拠に、ソフィアは一番初めに【邪神像】の試練を乗り越えてみせただろ?

あれは心の弱い者にとっては中々に厳しい試練だからな。それだけでも充分称賛に値するさ」


「心の強さ……ですか?」


「ああ、そうだ。そして、心の強い者にはすべからく実力が備わる。

だから鍛練を怠るな。さすればアルの背中、そして私達の背中に追いつく日が来るかもしれんぞ?」


「アルとメーテさん達にですか? 流石に現実味が……」


「まあ、今はそれでもいいさ。それを実感する時は、いずれ訪れる筈だからな」



 ソフィアの頭をポンポンと優しく叩いたメーテ。



「……ふむ、幼い頃から知ってる所為か、ソフィアの事となると些か饒舌になってしまうな。

それにだ。変わらない態度でアルに接してくれることにも感謝をしている。

だからだろうな。他の者には悪いが、どうしてもソフィアを贔屓してしまうよ」



 自責と感謝の言葉を呟くと、木箱の中から布に包まれた長物を取り出した。



「――ゆえに、これは褒美では無く、私とウルフからの感謝の印として贈らせて貰う。

一応確認しておくが、ウルフも異論は無いよな?」


「ええ、秘蔵の骨だけど一つも異論は無いわ」



 メーテは、ウルフとそのような会話を交わすと、長物の布をといていく。

 友人達に渡した武器は戦い方に応じたものだったので、ソフィアの戦い方を考えれば、中身が剣であることを容易に想像することが出来たのだが……



「コイツをソフィアに贈ろう」


「木剣……ですか?」



 ソフィアに手渡した武器が、あまりにも飾り気の無い、黒い剣だった為に、思わず拍子抜けしてしまう。



「というよりかは、アルが持っているような剣に似てるような気が……」



 ソフィアが言うように、その長物は木剣というよりかは木刀に似ていた。

 それだけならまだしも、木刀というにはあまりに頼りなく、少し力を加えれば折れてしまいそうな程にか細い。


 そして、その木剣を見た僕は首を傾げてしまう。

 何故なら、贔屓という言葉が出た割には、友人達の武器と比べて随分と差があるように感じてしまったからだ。


 だが、そのように感じていると――



「似ているのも当然だろうな。

アルの剣を模して削り出した物だからな――そのカルバの骨は」


「はあっ!?」



 マリベルさんが急に大声をあげたことにより、僕は思わず肩を跳ねあげてしまう。



「いいい、今! カルバって言わなかった!?」


「言ったぞ?」


「言ったぞって!? メーテっち、あなた何を言ってるのか分かってるの!?」


「ああ、分かってるつもりだが?」


「メ、メーテ様!? 本当に! 本当にカルバの骨なのですか!?」


「だ、だからそうだって言ってるだろうが!」



 更にはミエルさんまでもが参戦し、メーテへと詰め寄る。

 僕や友人達はその剣幕に押されてしまい、思わず呆けてしまっていると……



「あんたたちも少しは驚きなさいよ!?

カルバって言ったら【邪竜カルバ】でしょうが! 歴史を勉強して無いの!?」


「そ、そうですよ! またの名を【災厄のカルバ】!

百年以上前の話ではありますが、幾つもの村や町を潰し、王国を恐怖によって蹂躙した邪竜なんですよ!?」



 どうやら、矛先がこちらに向いてしまったようで、今度は僕達が詰め寄られてしまう。

 そして、二人に詰め寄られたことにより、友人達も歴史の授業を思い出し始めたのだろう。



「へ? あれって創作だと思ってたんすけど?」


「ダンテ、それは流石に酷いと思うぞ?

というか、どこぞの森に姿を隠してから、消息が掴めていないと教えられたが……」


「消息が掴めてにゃい……それってもしかして……」



 会話を交わしている内に色々と察したようで、頬をひくひくと引き攣らせている。

 更には、カルバの骨剣を贈られることになった当の本人――



「いや! むりむりむりむり! そそそ、そんな大層な物受け取れませんよ!

ふぐぅ……」



 ソフィアに至っては目の端に涙を貯め始めてしまうのだが……


 

「まあ、大層な名の割には、所詮はトカゲといった感じだったよな?」


「所詮はトカゲって……それなりに強かったわよ?

鱗も堅かったし、アイツが吹いた炎の所為で森も結構燃やされたじゃない」



 そんな友人達の反応を他所に、メーテとウルフはいつもと変わらない様子で会話を交わす。



「ああ、そうだそうだ。

その所為で、私のお気に入りだった果樹が随分と燃やされたんだったな」


「そうそう。それで怒ったメーテが無茶な魔法を使ったでしょ?

その所為で鱗も使い物にならなくなったし、牙や爪なんかも殆ど残らなかったんじゃない」


「そ、そうだったか?」


「そうよ? 本当勿体無いことしたわ~」


「まあ、勿体無いことをしたのは確かだが……

ん? というか、私が魔法を放つ前から鱗はボロボロだったし、牙や爪は砕けていた記憶があるんだが?」


「……き、気のせいじゃないかしら?」


「――いや、思いだしたぞ。

『この子なかなか強いわよ! 本気で殴っても死なないわ!』とか言って、牙とかを砕いていたよな?」


「……そういえば、今日の夕食はなんだったかしら?」


「な、なんという雑な惚けかたをするんだコイツは……」



 物騒だった会話が、何処か間の抜けた会話へと転がっていく。

 だからだろう。



「たまに忘れそうになるけど【始まりの魔法使い】と【幻月】なんだもんね……

この二人なら、カルバを討伐していたとしても不思議じゃないか……」


「なんか、驚きすぎて思考が麻痺して来ました……」


「その気持ち分かるっすよ! アルと一緒にいたらいつもそんな感じっすからね!」



 場の雰囲気が徐々に緩んでいき、呆れるような視線がメーテとウルフへと向けられてしまう。


 そして、そんな二人の姿を見た僕は。


『……間の抜けた会話さえなければ格好良く締められたのにな~』


 などと考え、皆と同じように少しだけ呆れてしまうのだが――



「まあ、その話はさて置き――」



 そんな僕の考えは、すぐに間違いであったことに気付かされる。


 間の抜けた会話をしたことも。

 呆れるような視線を向けられることも。

 その結果出来上がる緩い雰囲気も。

 

 すべてを理解したうえで、メーテとウルフによって意図的に作られたものなのだろう。


 では、何故そのような事をする必要があったのか?


 それは、きっと僕の為。



「――アル。皆に話しておきたいことがあるんだろ?」



 秘密を打ち明けやすい雰囲気を二人は用意してくれた事に、その一言によって気付かされることになった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る