第23話

バンダイのマンションに、城田、九宰、赤間、ラビット。

それにあまり、佐々木、江藤といった事件の関係者がそろった。

パソコンは、乱堂の法医学教室とつながっている。


ちなみに、城田の迷推理は5分で終わった。


「エアコンダクトの孔から、物干し竿を差し込んで、

 バンダイの頭部を直撃して殺したんです!」


九宰が言う。


「ほぅ、で、誰が?」


その物干し竿とやらで、十字架を作ってお前を磔(はりつけ)にするぞという意思を持ったドSな目だ。


城田は勢いよく答えた。


「きっと向かいのマンションの住人です! 

 数メートル先にマンションの部屋が見えました」


九宰は鼻で笑う。


「よし、じゃあ、見てみよう、その向かいのマンションとやらを」


そう言って、次に


「赤間!椅子を持ってこい」


と言った。


「はい!わかるますた!」


赤間は椅子をもってきて、その上に上がり、ダクト孔を覗いた。


「目がせせっぅとすますぅ」


九宰は「おでこを穴につけろ」と命令する。


「でこすけがすぅすぅすますぅ」


―おでこがすうすうします



「あれ?」


城田は間の抜けた声をあげた。



「あはははは」


ラビットがお腹を抱えて笑い出した。


「高さが合わないよ。バンダイが椅子にあがってくれなきゃ、脳天を狙えないよ。

 どうやってバンダイを椅子にあがらせて、ダクト孔から攻撃できるところまで

 導くのさ。

 現場には椅子はなかったよ。それにしても物干し竿って、あははは・・・」


城田が真っ赤になって言い募る。


「バンダイは立っていて、物干し竿や槍や鉄棒を斜めに角度をつけて突いて

 やれば・・・」


しかし、九宰は人を食う赤裸の化け物のような、声で切り捨てた。


「穴は7㎝しかない。どう角度をつける?

 ああ? それとも 犯人はマンションの外いる巨人だとでも言うのか?」


城田は、必死で九宰にしがみつく。


「待ってください!

 とにかく殺害方法は、頭部損傷のはず。

 バンダイを殺した凶器を使えるのは、あの直径7センチの孔しかない。

 そのあと起こったことも、俺にはわかっているんです!」


城田が続けようとしたその時―


バーン!と音がして、マンションのドアが開いた。


「すんません!遅くなりました」


と蜂須賀の声が響く。


イエローの規制テープをバックに、蜂須賀と小柄な丸顔のぽっちゃりした女、三船ウタ。

それに真っ黒でつややかな犬、フラットコーデットリバーがいる。

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