ニート
目覚めたのは昼過ぎだった。
すぐにパソコンを立ち上げるとそのまま部屋を出て洗面所に向かう。
鏡に写る自分の姿にうんざりする。
私はいつまで親のすねをかじり続けるのだろうか。
高校で失敗した。思ったより勉強が出来なくて、思ったより友達も居なくて、思ったより楽しくない日々が嫌になって学校に行かなくなった。
少し鬱が入っていた私に両親は学校へ行くよう無理強いはしなかった。
鬱はとっくに治っているはずなのに、そのままずっと、私は親に頼りきってる。
今さら働くことが、社会に出ることが怖くて仕方ない。自業自得とはいえ、高校中退という学歴の低さも私を惨めにさせた。
パソコンという外で働くことに抵抗のある人間にとって役立つツールにより、私は少しだけお小遣いを稼いでいた。といっても、扶養からも外れない、年金を払えばなくなってしまうような金額だ。
リビングで朝食兼昼食を漁りながらコーヒーを入れた。この食事もコーヒーもすべて父と母が稼いだお金で買っている。
二人とも仕事に出て家には私一人だった。無性にイライラしてソファーの上のクッションに八つ当たり。
3才下の弟は今年社会人1年目だ。弟に先を越されてやっぱり悔しい。去年までは学生だった。弟も親に頼ってた。でも、今年からは違うんだ。
私って何ができるんだろう。
誰にも相談できない。だって私が悪いのは分かりきってるし、頑張らなきゃいけないのも分かりきってる。でも、踏ん切りがつかないんだ。優しく背中を押して、安全なレールの上を歩かせてほしい。
ひとしきり悩んで嫌な気持ちになって、私は部屋に戻った。
そういえばアクセサリー作成の依頼が来ていたなと思ったからだ。手にはリビングにあった甘いチョコレート。
「今日の晩御飯なにかなー?」
私は甘えてる。だって娘だから、親に甘えて何か悪いかな?お母さんと買い物も行ってあげるし、お父さんのために携帯の設定だってしてあげる。
家事はお母さんの仕事だよね。私は料理は苦手だし、朝が弱いから洗濯物も干せない。掃除だって気になればするけどちょっと散らかってるくらいが丁度いい。
ご飯は少ししか食べないから経済的だよ。たまに外食はしたいけど。もちろんお父さんの奢りでね。
この生活をやめる必要性を感じない。だって私今幸せだよ。
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