神崎さんは……?

「だってぇ、かんざきちゃんとせらくんがー二人きりでー部屋にーいるなんてー何もない事がないわけないじゃないですかー」

「何もない」

「ほんとぉ?」

「神崎が看病してくれてただけじゃねぇか」

「いやーん。怖いー。橘ちゃん怯んじゃう」

「そのキャラ辞めてくれ」

 すると、何事もなかったようにスッと普段通りになった。どういう神経してるんだ。

「んで瀬良くんはどうしてこんなとこに?」

「いや、俺が聞きたいんだけど」

「なんでって、楽しみにしてた遠足をほっぽりだして急に倒れたって聞いたから」

「別に楽しみにしてたわけじゃないけどな」

「そう。で、今こんな状況。特攻したのは私が悪いと思ってるし、白髪頭が止めなかったのも悪い」

「僕のせいにしないでくれよ。あと、白髪頭っていうのやめてほしいかな」

「あっ、ごめんね。名前なかなか覚えられなくて、私の中でインパクトの強い印象が残ってるから」

「たしかに。僕の頭じゃクラスの中で一番浮いてるよね」

 神崎はおどおどしながら、

「じゃ、じゃあ、要するに用もなくここに来たってことだよね……?」

「絶対そうだろ」

 橘に視線をやると、うんうんとうなづいた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る