番外編(使う必要が無くなったけど、ちょっとした短編集)
手を引く神崎さん(仮)
「ねぇ、ちょっといい?」
「俺はな、暇ではないんだ。お前を相手するからな」
「要するに暇ってことね。こっち来なさい」
返事をする間もなく、勝手に手を引っ張られてこの場を離れる。
その手の小ささに驚くこともない。少し前……とは言っても、数週間前のことだ。ここで話すことの内容でもないし、誰に対して話すんだとは思う。
この前にいる神崎に対して話すとなったら、絶対に暴力を振うに決まっている。
「……で、どこに行くつもりなんだ。もう日が暮れるぞ。屋上でも行って天体観測でもするのか?」
「うるさいから黙ってて」
神崎は手に力を込めて、手のひらを握ってくる。
「い、痛いって。まず、引っ張んな」
「だったら、ちゃんと歩いてよね」
「りょーかい」
俺は、体勢を正して隣を歩く。
「神崎、お前……」
「何よ」
「小さいな」
隣を歩くとなると、身長がはっきりと分かる。今までそういう事が無かった。
あったとしても、どっちかが座っているか、立っているかのどちらかだ。
神崎は黙ったまま、見上げてくる。
その可愛らしい顔立ちと綺麗な瞳に吸い込まれそうになってしまうほどに。
「……変態」
「いや、待て。意味が分からん」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます