神崎さんの気分転換

 冬のある日のこと。


「神崎……寒くないのか? それ」


 俺はそう言って、短いスカートから伸びた白い足に向かって指を向ける。


「じゃあ、問題。私は今、寒いと思っているでしょうか? ないでしょうか?」

「考えるまでもない。寒いに決まってるだろ」

「……せいかーい。つまんないよ?」

「つまる、つまらないの問題じゃない。風邪をひくか、ひかないかの問題だ」

「なにそれ。心配でもしてくれてるの? 珍しいね」


 驚かしてやるしかないな。ここで一発、


「だって、神崎のことが好きだから心配してやってんだよ」

「~~~~~っ!?」


 みるみると顔が紅潮していうのが分かる。


「し、仕方ないわね。そこまで言うなら──」

「冗談に決まってるだろ……なに真に受けちゃってんだ」

「は?」



 言うまでもなく、この後は殴られましたとさ。

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