第13話勇者

父親の名前はミツミ ユキマサ。

世界有数企業の一つであるミツミ財閥のミツミ商社の重役であり、その一族であった。

世界各国と一部の企業は、地球以外の知的生命体が住まう惑星、つまり異世界についての情報を掌握していてその存在はミツミ財閥は知っていた。

異世界人は地球外の資源と引き換えに人的資源の要求をした。

各国の民間人は秘密裏に公然と人身売買を国から受けて居たのであった。

その取引先国のひとつにルミナス王国があった。

ルミナスは特殊な種族で、血液の適合者でなければ種族ルミナスに転生出来なかった。

健康診断で国民の血液情報を調べて、ミツミユキマサがリストアップされたのだった。

ミツミ ユキマサとその家族は半強制的に異世界に転生をさせられたのだった。

ルミナス王に勇者として迎えられるミツミ ユキマサ、承知の上でこの世界に来れば勇気の有るもの、即ち勇者としての称号の権利は有るというやつで所謂名誉職だった。

50金貨ダカットの支度金を受けて家族はここに根を張る事とした。

ルミナス王国とは一言で言うなら貧しく酷い国だった。

路上には汚物をまかれ、盗みや強盗が日常茶飯事で住むところも無い人間で溢れていた。


生活するために仕事をする事とした、コネも技能も無い家族が、1から出来る仕事など身体を張るダンジョンでの仕事くらいしかなかったのだ。

剣と槍で、ダンジョンの生き物たちを狩る仕事を家業ファミリービジネスとし生業とした。

だが素人集団が狩りなど上手く行くはずなど無かった、時には家族が死にそうな目に合うことも珍しく無かった。

ミツミ ユキマサは自分の愚かな選択を後悔した、今まで蔑ろにしてた家族に泣きながら謝罪した。

「すまない。本当にすまない自分は愚か者だ」

ことあることに口癖のように、ミツミ家は人に謝るな下に見られたらおしまいだ。

と言っていたミツミユキマサが初めて謝ったのが家族だった。

ある時ダンジョンでの狩りが久々に上手く行った、やっとこの仕事で生きて行けそうだ、そう思った矢先の事故であった。

突然のコボルトの強襲で右手を噛みつかれたのだ、欠損した自分の右手にミツミ ユキマサは泣きながら家族に謝罪した。

その後からかミツミ ユキマサはダウナー系のタバコを吸うようになった。強烈な憂鬱感を得る代わりに頭の情報処理能力が飛躍的に上がるというやつである。

ミツミ ユキマサは考えていた。ここの人間は大雑把で有ると、鋼の剣を売っている道具屋にはがねとは何だ?と聞いても鋼は鋼と答えるのだ。

それに以前噛まれた時に自分の血が付いた鉄の剣が一向に錆びる気配が無かったのだ、それにダンジョンで拾った装備品が錆びた所を観たことがないもしかしたら…。

ミツミユキマサは、ミツミ財閥の大手商社の重役である。人を動かすのと繋がり《コネクション》は荒事よりも得意で有った。

ミツミ ユキマサは勇者として王に陳情し、信頼出来る商人を紹介して貰いその商人と組む事とした。ルミナス王国では鉄くずでも帝国インペリアルではお宝に違いないと

帝国インペリアルで成分解析をしその結果99.999の純鉄ピュアアイアンで有った。

その発見でミツミユキマサは一気に飛躍する事に成った。誰にも手が付いて居ないことを独占してやるのである。

ミツミユキマサは世界有数の資産家になり、

ルミナス王国は世界有数の資源産出国としてのし上がった。

その功績で名誉貴族の称号と拝命を受け、リューネブルク公を名乗るようになった。

彼は資産を市民に還元するために積極的に設備投資や公共設備の建設、インフラ整備などの建築投資をし、仕事の斡旋も行った。

ダンジョンでの仕事の危険性を痛いほど、理解していたリューネブルク公は、武器の開発にも投資し銃で魔術を飛ばせるルミナス人専用武器、魔術銃マジックガンの開発にも成功した。

リューネブルク公はルミナス王国での貴族であり勇者であり商人であり、ルミナス人の英雄であった。

彼の功績で市民の生活は180度変わり、魔術工化学という独自の技術力でルミナス人は誇り有る強さの有る種族として世界に認められるのであった。

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