第5話運搬
午後の作業が開始されると段々慣れてきたのか、新人達の動きにも余裕を感じるように成ってきた。所詮はダンジョン作業員という底辺職場だ、誰でも出来る簡単な仕事である。
「班長質問いいっすか?先程傭兵屋さんが倒したドロップアイテムを拾っていいすか?いっぱい落ちてますけど」
新人4は作業中でも会話出来るほどの余裕が有るようだな。
「え!ダメダメ!そんな事しちゃ~。品質が悪くなって査定が下がるよ!3番く~ん教えてやってよ」
班長も難しい事まで覚えては居ないのだ。新人の教育は自分に丸投げである。
「俺たちが回収しているのはダンジョン産の純粋な鉄製のドロップアイテムだ。」
ダンジョンで生み出されるドロップアイテム、鉄のナイフや鉄の槍や鉄の鎧など全ての鉄のアイテムは純粋に鉄しか含まれていないのである。
つまりは
「つまりだ、焼けた鉄なんか混ぜてみろ。ゴミ屑鉄でしか売れないからな。客先からの信用も損ねるというおまけ付きだ。」
客先からの信用を失えば、作業員全員に迷惑が掛かる。ズルして楽しようものなら即解雇である。真面目にやってる作業員が割りを食うからだ。
「ちなみに金と同じ値段でここの鉄のアイテムは売れるらしいぞ?」
新人達は目を丸くしゴクリと喉を鳴らす。自分もなんでこんな物が高値で売れるか理解出来ない。こんな鉄のアイテムでも、喉から手がでるほど欲しいやつは、山のように居るのだろう。
作業を開始して1時間が経過した。時間は14時そろそろ帰る《あがる》時間だ。
先程の傭兵弁当屋はお茶会を開いていた。女という生き物たちは、集まりだすとお喋りが止まらない生態なのでピーチクパーチクと煩い事この上ない。
「それじゃあ。あがろうか!皆さん準備して下さいね~」
班長の号令と共に傭兵共々、皆準備を始める。新人達は心ウキウキ中のなか、それ以外の全員が緊張した面持ちでいる。
ダンジョンでの作業で、最も危険な事はダンジョンの生き物たちを狩って、ドロップアイテムを集める事ではなく、台車一杯に詰まれたアイテムを無事持って帰る事なのである。
帰りが最も危険なのだ。
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