第4話賞与
どうしてダンジョンに宝箱が出てくるか解らない。気付いたらそこに有るのだ。一説にはダンジョンの意思で、人間を誘い出すためとも言う。花が蜜を出して虫をおびき寄せるように、ダンジョンが宝箱を出して人間をおびき寄せられるようにする為とも。
「時間も短いし今回はカードで決めるか」
机に突っ伏して寝てるやつも流石に起きたらしい。休憩時間残り25分。時間も余り掛けてられない。
カードを切るようシャッフルする。1~13
の数字で高い方が勝ちという単純なルール
全員がカードを引き、その間に呻き声がそこかしこから聞こえてくるよっぽど引きが悪かったらしい。
全員が一斉にカードを見せる。
2,4,3,4...。思わず鼻で笑ってってしまった。
「ふん!雑魚どもめひれ伏せ!俺は13!キングだ」
13キング。最強にして無敵、所詮愚民は王に勝てないので有る。
「あ、自分も13です」
新人5番が自分と同じカードを引いたようだ
「「おおーーー」」
意図をしない一騎打ちに周りのボルテージも上がっていく。主に新人の応援が多いようだ
「あんた、私がせっかく見つけたお宝なんだ負けんじゃないよ!」
傭兵、弁当屋の娘はハッパを掛けるように応援する。ダンジョンの報酬は傭兵にも分配される。宝箱の売却報酬の20%は傭兵の取り分で本人は期待もしよう。
互いにカードを引く。クイーンの12こいつは勝ち確であろう余裕の笑みである。
「新人、残念だったな。俺の勝ちだ、なぁにまたチャンスが来るさ俺はクイーンの12だ
すまんな新人」
周りは明らかに俺の勝ちを確信したようだ。新人を励ます感じになっている。
「あ、13です」
この瞬間、新人は早過ぎるボーナスを獲得したのであった。
「あんたって男は情けないねえ、中身は何が入ってたんだい?」
周りからの賞賛、弁当屋からは非難を受けながらもやはり中身は気になる。ショボそうな物ならまだ損した気分に成らないからだ。
宝箱は手のひらサイズと小さく、やや小汚いながらも古めかしい重厚な木材の風格がする
中身には赤いベルベットのような生地が幾重にも重なり、中身を保護するように包み込んでいる。赤いベルベットの生地を剥がしていくと透明度の低いくすんで歪んだ形の瓶が出てきた。サイズは薬指程度、中身は青色であった。ポーションと読ばれるアイテムだ。
「宝石とか金貨とかの方が良かったのにな!まあ価値が有るか解らんけどよかったな」
正直な所安物そうでホッとした。あの程度のアイテムならまだチャンスが有るからだ。
昼休憩も終わりに近付きぞろぞろと仕事準備に入る。班長や新人2人は15分前から準備し自分なんかは5分前からダラダラと準備する。楽しい休憩時間も終わりである。午後の作業が開始されたのであった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます