第25話 ウギの小太刀の威力!
ウギが部屋から逃げ出す様に去ってった後、俺は椅子に座りながらも気持ちよさげに寝入っているマギと二人っきりでマギの部屋に残っていた。
いくら気持ちよさそうにしているからと言っても椅子に座ったままではいつ転げ落ちるとも言えないので彼女を抱き上げてベッドに寝かせておくことにした。
俺は椅子から立ち上がってマギの傍らに赴き、そして彼女を胸の前に
マギの吐息が耳元に静かに掛かってきて少し
テーブルからベットまで十歩ほどだったがマギの整った相貌と艶やかな栗色の髪の毛に見とれて足が止まっていた。そんな事をしているとマギの唇が耳元に近づいてきた。
「ね~ぇラリーっ……このまま二人で一緒にベットに入る?」
「……っ!」
起きたのか? マギっ!
俺はおもわず顔を
「お姫様抱っこって――される方は雲の上に乗っているみたいなのよ、ふわふわして気持ちいいしラリーの匂いが安心感をもたらしてくれるのね」
そう言いながらマギはギュッとその腕を引き締めて俺の首筋に更に強くしがみついてきた。
「うふふっ――抱っこして貰った数ではサギやウギに勝っているわよね、わたし!」
そう言うと更に
そういう時間がどれだけ過ぎただろう――ハッと我に返ってマギに笑いかけながら俺は答えた。
「マギ、悪いなぁ――まだ俺は君に酔いしれるわけにはいかないんでな」
「あ~ぁ、まだわたしの魅力が足りないのかしら――本当にラリーはいけずなお人やわぁ」
マギが頬をプクッと膨らましながら半眼で俺の事を
そのままベットまで歩いてマギをそおっと降ろした。が、マギは俺の首に回した手を離そうとはしなかった。ベットの上でマギの顔の真上に俺は覆い被さる様な格好で止まったままの時間が過ぎていく。
「マギさん、そろそろ離してくれませんか――俺も腹筋が痛いんで」
「我慢しなくても良いのよ、そのままわたしに
「おいっ!」
マギの
ベットに横になった状態でマギはまたうつらうつらし始める、よほど魔力を消費したと見える。
マギの耳元で彼女におやすみを言ってその場を俺は離れた。
取り敢えずウギの目的は達した。あとはその
俺はマギの部屋を出てウギの部屋へと急いだ、しかしウギは其処にはいなかったようだ。ウギの部屋の扉をノックしても返事が無かった、部屋の中にもウギの『気』は感じ取れない。そうすると後はサギを頼ったか? それともヴァルと出かけたか? どっちだろう?
俺はサギの『気』を城内に探してみた、すると中庭にその痕跡を感じた。ひとまず中庭に出向いてみることにした。
中庭に
俺は異変を感じて駆けだしていた。でも、ウギの魔力気の膨張は止まる気配を見せなかった。
「ちょっとこれは……」
中庭に通じる通路を抜けると其処に大きな扉が二つあった、そのひとつを駆け抜けてきた勢いに任せて俺は押し開けた。と、俺の目に飛び込んできたのは全身びしょ濡れで
「ラリー、すごいのっ」
脈絡の無いサギの言葉が耳に入ってきたが……何が? と、問うまでも無く直ぐに何が起きたか解った。
中庭には
サギの目の前でウギが
俺が這入ってきたことにウギも気付いて俺の方に視線だけを向けながら口を開いた。
「何だかわからないがのぅ――
ウギの言葉が――だんだん幼児化していった。どんだけビックリしたんだか、まったく! 思わず俺は苦笑していたよ。
「あっ、
サギがプクッと頬を膨らませて文句を言ってきた。
「わるい、安心して気が抜けた――でもなあ、ウギその『気』がサギの方を向いていたらどうなっていたか――反省はしているよな?」
「うん、わかっておるのじゃ」
ウギが項垂れながらそう言って首を縦に振っていた。
中庭で起こったことはなんて言うことはない、
ウギの発した魔力の熱気の塊が池の水にぶつかって一気に水を沸騰させたことにより蒸気圧の上昇で水をすべて吹き飛ばした、そしてその蒸気がむっとした湿気をもたらしたんだ。
事情は飲み込めたがなんでそういうことになったのか其れを突き詰めなければ同じ事が起きるそして今度も無事に済むとは限らない。
俺はウギに此処で起こったことについてもう一度おさらいの為に最初から話しをしてくれる様に求めた。その問いに彼女は素直に頷いて話を始める。
「
「ああぁ、確かにそう言った覚えがあるよ」
「それで
「えっ! ウギっ? なにそれ?」
ここでサギが口を尖らかせて口を挟んでくる。是は話しが違う所に行くかもと……仕方なしに俺はサギを
「サギっ、ちょっと――こっちへ」
そう言いつつ手招きで貴女を近くに寄らせるとサギの後ろからその艶めかしい肢体をそっと抱き締めながら貴女の耳元でそっと
「サギ、悪いが少し
「あっ~ん、うん」
サギは躰を預ける様に少し後ろ
「あっ――いいのぅサギは、そうじゃ話しの続きであるのぉ、何処まで話しをしたかのぉ?
「ウギ、マギの部屋を出て行った後からでいいから」
そうウギに話しの流れを示唆したが……。
「そうそうラリーに……ラリーの膝の上に座って後ろからギュッとして――」
「ウギっ! もう其処はいいから飛ばして!」
なんてことは無い、しっかり覚えているじゃ無いかと、半眼でウギを睨んだ。
「うっ――わかったのじゃ。
「んっ、其れでどうなった」
ひとまずウギの話しの流れに合いの手を入れる。
「そうなんじゃ、真っ赤に染まった
ウギは話しを脱線しながらも自慢げに名付けの事を話し出したので、話しを戻す様に促した。
「――名のことは後でもいいのじゃが……『小徹』を持ったまま
「それでサギに魔力を分けて貰ったという訳か?」
「うん、そうなのじゃ、其れでやっと『小徹』の魔欲も収まったのか
そう言いながらウギはさっき抜刀した姿勢のままで彼女が固まっていた場所をチラッと見た。
「そこの池の端の方で
「うん、そうなのじゃ――で、この様になったのじゃがのぅ」
まあ、その話からすると単純に『小徹』に溜めた魔力の量が通常ウギが扱っていた魔力量と格段に違う為上手く制御出来なかったと言う事らしい。
溜めることは出来たが溜まった力の使い方を練習しないとな、そう俺は思った。
俺の腕の中でうっとりとしたままでいたサギにそっと声を掛けた。
「サギ、濡れたままの衣服では風邪を引くから着替えておいで――其れにその状態は俺に取っては目に毒だよ」
サギの服装は薄手の絹地で出来たシースドレスだったので濡れた状態で貴女の躰にピッタリと張り付いてその妖艶な肢体をまざまざと見せつける形になっていたため俺は貴女を直視出来なかった。
「うん、わかったわそうする」
サギは俺の言葉に素直に応じると腕の中からスルーっと抜け出す様に立ち去って部屋に戻っていった。
「ウギもだ――着替えたら外に行こう、
その言葉にウギも素直に頷いて部屋に戻っていった。
最後に魔気が隠れていたヴァルに魔力念波で声を掛けた。
“ヴァル、有り難うな。結界を張って置いてくれたんだ、お陰で中庭が壊れなくて助かったよ”
“あら、ラリー気付いていたの? まったく隠れていたかいが無いわね、もう! 気が付いているならさっさと呼んでよ”
俺はおもむろに後ろを振り返ると
“あれだけの魔力量だ。中庭が無事で済むわけが無いだろう普通!”
“そうね、まあ――無くなった水は暫くすれば元通りに戻るしね。リアーナお嬢様には迷惑かけれないものね”
まあ、そう言うことだ。俺はヴァルと一緒にその場を後にしてマギの部屋に戻ることにした。
俺はウギの部屋に戻るヴァルと別れてマギの部屋を再び訪れた。
マギの部屋の扉を軽くノックして返事を待った。
「マギ、ラリーだ」
「はい、どうぞ開いているわよ」
マギの返事はまだ何となくだるそうな響きを持っていた。
俺は扉をゆるりと開けて中に這入っていった。部屋の中でマギはまだベットの中でうとうとしていた様だった。
「あっ、悪かった。まだ、寝ていたね」
「ううん、いいのよちょうど起きたところだから――ねぇ~っ、ラリーちょっと来て!」
俺も
「なっ! マギっ! こらっ!」
俺はいつものことながら無防備だった事を恥じたが、それ以上にマギは恥ずかしくないのか?
「いいでしょ~う、ちょっとくらい、ねぇ~っラリーってば」
「おねがい――暫くこのままでいいから、あっ! 違うわよラリーが私を抱きたいのならそれは凄く嬉しいことだから遠慮はしないでいいからね」
そんな事をマギは言ってくる。
遠慮ってさ~ぁ、マギさん
「あぁそうね、お二人さんのことが気に掛かるのなら大丈夫だからね――扉に魔力鍵と結界を掛けておいたわ、暫くは二人でこうしていても大丈夫だからねぇ――ラリー? いいわよ? それともやっぱり私に……魅力が足りないの? 魔族は嫌っ? 年上はダメ? それとも……」
マギの言葉が絶え間なく問いかけてくるのを止めたいがため、俺はマギの頭を抱きかかえてその唇を素早く奪った。
「ん~っ」
鼻に掛かった甘い吐息がマギの口から漏れ出してくる、その吐息ごと俺は彼女を熱い接吻で封じた。
暫く二人の唇が重なりあい、お互いの舌がむさぼる様にそれぞれ口の中を行き交った。其れだけでもう俺の頭の中は真っ白になっていく――このままマギの匂い立つような色香に溺れていくのも悪くないと思い始めていたが――。
「あ~っはん! いいっ」
と、マギの濡れた吐息が聞こえた瞬間に俺は我に返った。
「――わるい――決してマギに魅力が無いなんて事は無いよ、でも――今の俺ではまだなんだ」
「――んっ! ラリーはいっつも『わるい』って謝るのよね――まあ、まだって言う事は期待していてもいいわけよね、それじゃぁ今はいいわよ許してあげるわ是くらいでね、私の魅力もそこそこってわかったから……私の大切のところにあなたの堅い……当たっているからねっ」
「う――っ!」
それはそうでしょ俺だって男の端くれでは有るのだから――そう言いたい言葉を我慢して飲み込む。
「でも、まだ暫くこのままでいてくれる? 私はまだ魔力が足りないの、こうしているだけでもラリーから漏れ出る魔力を貰えているのよ。本当は殿方に抱いて貰う方が直接的なんだけどねっ――わかるでしょ~ぅ」
そんな風に俺の胸に吸い付く様に唇を付けながら喋ってくるものだから少しくすぐったい。
「くすぐったいぐらいがちょうど良いのよ」
そう言うマギの栗色の髪の毛を左手で撫でながら俺は魔力の急速回復においての女性への対処方法の極技を思い出した、セット婆さんから其れを聞いた時は、ちょっと『ぇろい』っと思っていたが……マギなら大丈夫だろう。そう考えながら空いた右手で彼女の左脇から
「えっ、あっ~ん、な……何をいいっ」
今まで経験したことの無い様な強烈な魔気の流れを突如受けてマギは躰を大きく反らせたまま白目を・いてその意識を手放す――と俺の胸の上にそのまま倒れ込む様にして気を失った。
「ごめんねマギさん――俺もこのまま暫く裸の君を抱いていて気を確かに持っている自信が無いんだよ、魔力注入はちょっと強引だったけど許して下さい」
そう気を失って寝込んでいるマギに耳元でそっと
部屋の扉の魔力鍵も結界もマギが気を失っていることから既に霧散していた。部屋を後にする前にマギに謝罪の一文と相談したかったウギの件を書き置く。確かにウギの件でマギにお願いする事も魔力を消費する内容なので今のままではマギにお願いする事は
それにしても自分で言うのも何だが――俺の魔力供給源の限界は何処にあるんだろう? 自分の事だが未だにわかっていなかったのが少し怖かった。まあ、この事はいつかはわかるだろうから今悩むことは止めておいた。
そっと扉を開けて俺はマギの部屋を後にしてサギとウギを呼びに出向くことにする。
と、最初にウギの部屋を訪れてみたが其処には既にサギも一緒に居て俺が来るのをふたりいやヴァルを入れて三人で待っていた様だった。
ウギの部屋の前で扉をノックして声を掛けた。
「ウギ、俺だラリーだ。準備は出来たのか?」
「
マギの部屋での出来事が尾を引いておいそれと彼女達の部屋に這入る事が
それはそれで勘ぐられる要素になるので
「わかった、這入るぞ」
扉をそっと開けて中を
「何をしているのラリー? 何か恐れる事でもあるのかしら?」
と、サギの声が聞こえてきた事でビックリして身体がピキーンと硬直してしまった。 サギが既に
「何よ私が声を掛けたのをそんなに驚く事はないじゃない? なんか変よ」
サギが俺の行動に疑いの目を向けてきた。そらそうだわな、俺だってそう思うよ逆の立場だったら。
しかし、何で俺はこんなに緊張していなければならないんだろう?
「サギが居るとは思っていなかっただけだよ――別に何もやましい事なんて無いんだからさ」
俺は何か自分自身でさっきから墓穴を掘っていないか?
そんな事を考えながら二人の目を気にして
俺の挙動不審は今に始まった事では無いが今回は輪を掛けて酷いようだった。そんな俺を不思議そうに見ているサギとウギだったが、サギが先に動き出した。おもむろに俺に近寄ると俺の首筋に両腕を巻き付けて抱きついてきたしかも貴女の装いはまるで天女のように軽やかなシースドレスでその女性的なラインは
そんなサギが俺にその身体を
「なあ、サギ――俺って何か匂うのか?」
ちょっとは苛立ち紛れにサギに抗議するが早々に却下される。
「何か雌の匂いがするのよラリーから……ふふん~マギね、さては」
サギさん鋭すぎるよ――
んっ?
「いいわよマギがラリーのお相手ならば仕方ないわ」
と、サギが俺から悲しげにそっと離れていって元の場所に戻った。
「えっ! いいのかサギっ?」
「いいもわるいもマギじゃしょうがないじゃないの――ふん、ラリーのバカっ!」
サギはそう投げやりに言いつつ、ぷぅと膨れてそっぽを向いた。
「むっ? やはりそうなのかのぅ、サギ! ラリーの童貞はマギに奪われてしまったのかのぅ?」
は~ぁ、
「ふたりとも、いいですか。俺はまだ正真正銘――童貞のラリーです」
自信を持って声高に童貞宣言する俺も如何なものかと思うが……ふたりの疑いが其処ならば正直言って俺に非はない。
「確かにマギの部屋から来ましたから……彼女の……う、移り香が残っていても可笑しくは無いでしょう……で、でもふたりが思っている様なことは無かったですから――言っておきますけど」
しどろもどろながら俺はそう言いきってサギの目の前にあった椅子に腰を掛けた。
「ふ~ん、そうなんだ」
サギが俺の眼を見つめながらそう言ってきたが、その眼はまだまだ疑いを持っている様に感じられた。
「ラリーはまだ童貞なんじゃな、ならば良いでは無いかのぅ。
ウギはいつもの如く場の空気とは無縁のマイペースな発言をしてくる。
「まあ、いいわ――ラリーの言葉を信じるしか無いもんね。後でマギに聞いて於くから――ところで
取り敢えずサギの機嫌も直ったし?
中庭で起こったウギの
「ウギの
「うん、そうなんじゃ
「そこで中庭ではなくふたりが以前に魔気の修行をした様に城壁の外で『小徹』の修行をしてみようと思うんだがどうかな」
「そうね~ぇ、ウギが早く太刀を使い切れないと
サギがそう言いながら大きく頷いた。その隣でウギも目をキラキラさせて首を上下に激しく振るのがみえた。
「――で、具体的に何をするの? その修行って?」
早々にサギが本題に切り込んでくる。
とは言われても具体的な方法は俺自身まだ掴みかねていたところだ。
「……え~っと、三人で――だな」
サギにそう質問されても明瞭に答えを言える考えまでは無かった。その
「あら、ラリーにしては珍しくノーアイデアって言うことかしら?」
サギの追撃はいつにもまして手厳しい今日だった。
「えっ……アイデアと言うほどのものでは無いんだよ――まだ」
「ふ~ん、そうなの? じゃさあ私にちょっとした考えがあるんだけどいいかな?」
「サギの考え? って、何っ?」
「――ん~っ、やっぱり――まだ内緒っ!」
そう言いながらサギは人差し指を軽く当てた目をウインクしながら凄艶な微笑みを返してくる。その瞳の奥には何か得体の知れない妖艶な魔物が住み着いているかの様な錯覚さえ覚え、俺の背筋に冷ややかな感触を残した。
その場はひとまず解散と言う事で各々の部屋に戻ることにした。サギの提案では行動は夜がいいらしい、その時点で俺はサギの考えの奥を読んでおけば良かったと後で後悔することになるが……。
俺は自分の部屋に戻るとベットに腰掛けてひとまずウギの
やはり
「ラリー、わ・た・しマギよ、這入ってもいい?」
「ああ、どうぞ」
以心伝心か?
扉を開けてマギが這入ってきた。
「ラリー、そろそろウギの件でいろいろ聞きたいことが私にあるだろうと思ってね」
「ああ、まさにその通りなんだ、
「あら、あんな事を私がラリーにしたのに? 逆にま・た・して欲しいの?」
妖艶な笑みを浮かべながらマギは俺にそう言ってきた。
「マギさん、あの後サギに勘ぐられて大変だったんですよ――もう勘弁して下さいよ」
「あ~ぁその件なら早速サギが私のところへも来たわよ――『ラリーに何したの』って凄い剣幕だったわよ」
「えっ、もうですか――
「『ご想像にお任せしますわ』ってね」
「あぁ~ぁ、そう言いますか普通!」
「でもね~ぇ、私を昇天させたのは事実ですからねラリーっ! 凄かったわよ! あれ! 癖になりそうよ、もう~っ」
そう言いながらマギは俺の横に座ってきて俺の肩に
「マギっ! 其れはもうよして下さい――まあ、魔力の注入の件は時と場合に寄りますが」
そう返しながらマギの身体から少し逃げる様に脇にずれた、俺が身体を
と、いつもの如くマギの方が一枚上手だった、マギはベッドに倒れ込みながら俺の服を後ろから引っ張って俺の事も倒してくる、俺の倒れた先はマギの
「あら、ラリーっん! このままでいいかしら話しの続きは?」
ベットの上で横になりながら片肘で頬杖をつく様な姿勢を取ってマギが俺の事を
「冗談は止めて下さい――とっ痛っ」
俺がその姿勢から起き上がろうとすると空いた
「あ~ら、ご免なさいね私とした事がはしたないわね」
舌を出しながら悪戯が過ぎた子供の様な表情で俺の方を見ながらマギがそう言ってくる。
「マギっ! コラッ! 離せっ!」
マギの
だそうだ。俺は
「だから~ぁん、このままお話しようよ、良いでしょう?」
そう言ってマギは俺の頭に乗っていた片腿を軽く持ち上げて足を伸ばした。しかし、その脚線美は――まあ、
俺が観念したのを察してマギがそのままの視線で二人の格好を眺め見てくる。と、顔を真っ赤にしてミニスカートの前側を引き延ばしながら俺に聞いてきた。
「あっ、ラリー見たでしょう――私の下着を……」
今更遅いでしょう、と言ってもしょうが無いのでひと言。
「白っ!」
「何~でぇ、もっと色っぽいのを穿いておけば良かったのに~ぃ――ラリー最初からやり直しても良いかな?」
「……ダメ!」
よょとマギはその場で泣き崩れるようにベットに
しかし、マギの
そんな事をいつまでやっていても埒が明かないのでこの場はマギのご要望に合わせこのままの状態で話を続けることにする。
「ところでマギ、
「そうね、
「期待してますから、話の筋を戻してもらってもいいですか」
「あら、ラリーったら軽いのね――まあいいわ。で、
「んっ、それは血の件は覚えているが其れが要因とはどういうことだ?」
俺はマギの問いに即座に答える事が出来ないでいた。
「話せば長くなるのだけれど簡単に言うと
「は~ぁ、どんな例えですか! まあ、確かにわかりやすいと言えば言えますけれど。それでウギの身体が熱くなるのは?」
「あら~っラリー、私との熱い接吻の時身体も熱くなったでしょう、そうして頭の中も真っ白にならなかった?」
そう言えばそうだったような気がする。俺は小首を
「え~っ、むっ! 忘れちゃったのかしらもう~っ、ちょっと酷いんじゃないのラリーっ!」
「そう言うわけでは無いんだけれど、なんて言ったらいいのか無我夢中と言うかなんて言うか……」
しどろもどろで返す言葉が出てこなかった。
「――ふ~ん、そうかそうなんだ。でさ、話しを戻すわよ。ウギの魔力と刀の魔力を取り入れる側のフィルターの様な役割のものの相性を合わせてあるのよ、だからウギの魔力の中からフィルターを通ったものは刀の中にそうで無いものはウギに戻っていくのよ。それと刀の中でも魔力を置換してギュッと圧縮してあるのそうすることで蓄積量を増やすことが出来るのね」
なんか良く解らないが相当難しい事を仕込んでいるらしいことが解ったよ。
「しかもね、ラリーの血を
なんだその裏技みたいな呪術は? と、ウギの身体の変化の理由が解ったよ、結局のところマギの悪戯って言うことか?
「あら、それは恋の悪戯って言って貰いたいわよラリー!」
「あのね~ぇマギさん」
真剣に悩んでいた俺がバカみたいに見えてすっかり肩を落としてがっくりしてしまったよ、まったく!
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