第18話 サギーナの日記編(マギの解呪)!
皆さんおひさしぶりです、サギーナ・ノーリの乙女日記で~す。暫くぶりなので初めましての方も結構いらっしゃいますか?
先日、そう数日前の夜の事でしたわ、私が部屋でそろそろ寝ようかなって思っていた時に部屋のドアをノックする音が聞こえたの、こんな深夜に誰かなって……ラリーだったら嬉しいなって思ってドアを開けてビックリしましたわ、だって本当にラリーが
「えっ、ラリーっ? どうしたの? こんな夜更けに?」
私は嬉しさともしかしてラリーが私のところにお忍びで……って言う期待があった気持ちを悟られ無い様にって考えていると彼の顔をまともに見れなかったのね。俯き加減で返事をしていたらラリーは勘違いしてしまったらしいの。
「あっ、サギごめん寝てたよねっ、悪かった――だったら明日でいいよ……また明日――おやすみなさい……っ」
そうな風に挨拶して帰ろうとしたの……んっ、もう、まったくニブチンなんだからっ!
「待って! ラリーっ! 大丈夫よ、まだ起きてたから……用があるのでしょう? なあに?」
「ああ、サギいいのか?」
「んっ、いいですわよ」
「あの~っ――今からで悪いんだけど……ちょっと俺の部屋にきてくれないかな~ぁ?」
え~っ、ええ――――ぇ、ラリーからのお誘いっ! 夜にっ! 私いっきに心臓が早鐘を打つ様に鼓動が早まりだしたのを自分でも感じたの! 嬉し恥ずかしの気持ちで混乱したわ。
「あっ、都合が悪かったら無理にとは言わないから……ダメかな?」
ラリーが申し訳なさそうにモジモジしながら聞いてくるの――んっもう、ダメなわけ無いじゃ無いですか! って、心の中では思いっ切り叫んでましたわ。
「行きますわ、でもちょっと待って下さいますか、着替えてくるので――」
そうなの、ドア越しで顔だけ出してラリーと話をしていたからラリーには見えなかったと思うけど今、私の
扉を閉めてから急いで服を着替えたの取り敢えずって言う風でちょっと色気が無かったかしら。
「ラリー、お待たせっ!」
「んっ、それじゃ……悪いけど俺の部屋まで一緒に来てっ」
「えぇ、いいわ」
もう、どきどきものだったのに――っ、ラリーったら何か普通なんですもの? もしかして私だけ? って思っちゃいましたわ。
ラリーの部屋に這入った所でいつもと変わらないラリーの様子に私の心も少し落ち着き掛かってきたものの、どきどき気分は治まらず自分の顔がいつもより少し熱いのがわかったわ。
「サギ、悪かったなぁ、こんな遅くに呼び出して――もう眠るところだった?」
「ううん! ラリーっ? な~ぁにこんな夜更けに私に用があるって? あっ、夜遅くに呼ばれるのが嫌って言うわけでは無いから……誤解しないでね、ぜんぜん嫌な気持ちは無いんだからね、ねっ」
何か言い訳がましい返答になったけどほんとラリーの事だからちゃんと言っておかないとね誤解されたら――って思ったのよ。結局は私の早とちりだったのだけれど。そうしたら、私の顔を見たラリーは何を言うかと思えば、こうきたのよ。
「あっ、俺の部屋が暑かったか? 窓を開けようか?」
ですって、鈍過ぎるんだから……んっもう!
「えっ、なんで? 別に暑くなんかは無いよ……大丈夫だから――ねっ、隣に座ってもいい?」
しょうが無いから私の方から強引に行こうと思ったのね……この時は!
「でっ、な~にぃかな~ぁラリーが呼んでくれた用事って?」
今だって思ってラリーの隣に座ったと同時に彼の肩に身体を預けたのね大胆にも、うふっ。
これから起きる事をどきどきしながら待ってたのよ、ラリーが私を――ねっ!
そうしたらよ――ビックリしましたわ。どこからともなく声が聞こえてきたんですもの。それも私の心の代弁の様にラリーをニブチンって!
“そろそろ宜しいでしょうか?――
「えっ、誰っ? 誰かいるの?」
私は一瞬パニックになったわ、だってラリーと二人きりだって思っていたんですもの。それをしっかりと傍から見ている様な口ぶりの物言いで……しかもラリーを見ると彼は落ち着いているのよ、何か癪だったわ、ほんと! ちょっと悔しいのね。
「ラリーっ、何っ今の声は? あなたも聞こえたよね!」
私はほとんど金切り声を上げていたと思うの、その時は。そうしたらラリーが私達の目の前にあるテーブルの上の石を冷静に指さして何かを私に教えようとしていたのに気が付いたのよ。
そして出会ったわ――マギと……その時は蜘蛛の姿に身をやつしていたマギル・ビンチ嬢とね。
マギの話しは自分の元の姿を取り戻す為に私達の力を借りたいという事だったのね、其れについては二つ返事で同意したの、同じ女性としてやはり同情は有ったと思うわ。
彼女と一緒に地下温泉に行って其処にある魔石の力を借りてマギに掛けられた呪術の解除を行う事になったわ、其れについては私の力がどれほど助けになるのか良く解らなかったけどマギがどうしてもラリーと私の二人の魔力の助けがいるって言うから其れを信じていたの。マギの魔力のレベルは蜘蛛の状態でも相当の力があると感じていたから其処のところで疑う事は無かったのね。まあ、ラリーと一緒に力を合わせて彼女を助ける事が出来ればと思っていたの。
地下温泉の女湯の脱衣所で温泉に入る準備をしていたの、そう、裸で這入る事は無いと私も二回目だから学習してましたわ、湯浴み着を着ていそいそと湯船の入り口に進んでいった所、マギに(と、言っても蜘蛛の状態ですが……)お願いされたのよ――っ、ラリーの部屋でマギの下にあった宝石と一緒にマギを運んでいたのだけれど其れをなんと私の胸の間に挟んで欲しいって言うのよ――っ、えぇ~って思わず叫んだわ!
そんな恥ずかしい事と思ったからマギに理由を尋ねたのね、そうしたら……ラリーの為だって言うのよ、そんな風に頼まれたら断れないじゃないの。
宝石を胸の間に挟んでその上に蜘蛛の姿のマギを乗せた状態で湯船の方に向かっていったの。ラリーは既に先に来ていたわ。
マギの言う通りに湯船の中にその魔石は確かにあったの、ラリーは知っていたみたいだったわね。で、その後はラリーと一緒にマギの指示に従って動いたわ……でも、あまり覚えていないの私っ! だって、マギと宝石が私の胸の谷間に挟まっているのをラリーに知られてから、恥ずかしくて――っ、ラリーの視線もずっと私の胸に釘付けになっているのよ~っ……まあ、ちょっとは嬉しかったかなって――うふっ!
あとは気が付いたら目の前に凄く綺麗で完璧なスタイルの女性が立っていたの――其れも真っ裸で!
蜘蛛の姿の時には想像も出来なかったけど人の身体を取り戻したマギは……マギル・ビンチ嬢は其れは其れは
暫くはマギの裸身に見とれていた私が
自分がそんな状態だったからラリーも同じだと思ってたわよ、なのでハッと気付いた時には身体が先に動いていたのね。もしかしたらって持っていた予備の湯浴み着を手に駆け出していたわ、その美しくも凄艶な裸体を覆って隠したのその湯浴み着で――ラリーの視界から。
それから、マギの話しを聞いたの
数百年前の魔王族との話しとか、魔界の魔女の話とか私の理解の
私はマギには到底勝てないと思ったわ、その魔力の能力と女としての魅力にも――絶対に無理と感じていたわ。それでラリーの采配をどきどきしながら待っていたの、でもラリーはあっけらかんとしたものだったのよ、ほんと何のこだわりも無い様に。
「俺は臣下をとる程の者では無いし、その気も無い! サギだってそうだと思う」
だって、たったひと言其れだけだったわ。無論、私も即座にラリーに同意したわ。私だってそう思っていたもの。
マギはその言葉にポカンとしていたのね、“信じられない”ってみたいで……その後の事なのマギが私に言ってきたの。
「サギっ、御免なさい、先に謝っておきます――ラリーの事が私も大好きになりました、サギには悪いけどあなたとは恋敵として是からは付き合いますから……」
そんなマギの恋敵宣言を受けて私は思わず叫んでしまったのよ。
「えっ――――っえ~! そんな~ぁ!」
たぶん、もう悲鳴だったと思うわその時は。
それからというもの私の心は不安の塊になっていたと思うの、だってマギが本気になってラリーを追いかけたら、絶対負けますもの。そう信じ切っていたのね私は自分に自信が無かったの。
そんな私の気持ちを知ってか知らずかわからなかったけどラリーは私に少しは自信をつけてくれる様な優しい言葉を投げかけてくれたわ、嬉しかった。
マギがそんな私達のやり取りを見てか、その場は私の方がラリーの気持ちを引きつけているって言うんで身を引いてくれたわ、残された私とラリーで温泉に浸かって色々と話し込んでしまったのね、その後は……お陰で二人とも湯あたりをしてしまったけど。
次の日の事だったの私の心配していた事が起こったのは、そうマギがラリーの寝床に夜這いっ? 朝這い? を掛けてきたんですわ! 何でわかったかって――其れは……それ、なにあれですの女の勘って奴ですわ!
マギが其れはもう妖艶な下着一枚の姿でラリーの上に馬乗りになっていたのを目撃したの。それはもう――すんでの所だったのね。ラリーの部屋のドアを蹴破って私は中に這入っていったわ。
「そこまでぇ~っ――マギっ!
って叫んでいたの、私! ラリーを取られてしまうって
それから、マギの反撃があって私は窮地に陥ったの。そう、ラリーの首にちょっとした魔術を仕込んだお札を貼り付けておいたの、そう昨夜、温泉に入っていた時に他の
そんな私の気持ちを解っているのかマギの暴露は容赦が無かったですわ、ほんと私は恥ずかしさで顔を真っ赤にして穴があったら這入りたいばかりの状況に陥っていたの。ラリーにばれてしまった事が恥ずかしくてずっと
「サギっ、そんなに
その言葉を聞いたら私もなんだか開き直ってきましたの、ラリーに自分の思いの丈を全てさらけ出して言い切ってしまおうと――ラリーがニブチンだから悪いのよってね!
「私、ラリーが大好きっ! マギには負けるけどっ、ラリーを取られるのは、私を忘れちゃうのは
って最後は泣きながら告白していたのね、私っ!
あとから思い出すとほんと恥ずかしい気持ちで一杯ですわ、でも言い切ってしまって気持ちはすっきりしたのね――良かったと思っていますのよ。マギにしてやられたって感じでしたわ。
私の告白の後はラリーの言葉を恐る恐る待っていたのね、針の
「俺もサギの事が大好きだ! 其れは間違いないし自信を持って言える事だと思う。ただ……」
ラリーのその台詞を聞いた時はもう、“大好き”の言葉だけで私の心は嬉しさ一杯でした。その後に続く言葉は私にちょっとだけ不安を与えたけど其処はもう私には大きな問題じゃ無かったのよ。だってラリーが私を好きでいてくれるなら其れで良いのよ、ラリーが魔王でも勇者でもどっちでも良いのあとは私がラリーについて行くだけの事だから。
その後はウギが部屋に来たわ、そうしてマギとの初対面――ウギってこう言う時は凄いなって思ったの、マギに全然後れを取らないのよ、まあ、変な所で天然のボケがあったけど。
だからね、マギとラリーと別れたあとでウギと相談したの――このままではラリーの足手まといにしかならないって、ウギもマギの隠れた力を感じていたみたいで魔術力をあげないとラリーやマギには到底勝てないと思っていたみたい。まあ、二人に勝つ気は無いけどそれ位の気合いで望まないとね。
だから、ヴィエンヌ城下の巡回警備の方はマギに任せて私達二人で魔術の修行をしようと決めたの。
あと、巡回警備の方にはリアーナお嬢様も一緒だから、其れを見て嫉妬に駆られる自分になるのが嫌だったから――それならラリーから必要とされる位の魔術力をつけて、自分に自信を持たせる方が良いと思ったのよ……勿論、ラリーには内緒よ!
だから今日からはラリーとは別行動なの、もしもの時の為にマギには正直に話しておいたわ。
マギったら笑いながら引き受けてくれたの“ラリーには内緒ってね”!
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