マギとの出会い!
第15話 晩餐会の後での出来事!
俺はサギとウギに引き連れられて晩餐会場に戻ってきた。
晩餐会は宴もたけなわになっていて既にダンスが始まっていた。会場の中央がダンスホールとなって老若男女入り乱れての舞踏が
サギが俺の顔を見つめながら何か言いたそうにしていた。流石に鈍い俺でもサギの今の気持ちは伝わってきた。
「宜しければサギさん、わっ、私と一曲踊って頂けませんか?」
お堅い言葉は不得意だがこの場の空気を汚すわけには行かないので『私』と言う言い方をしてみる。がしかし言い慣れないのでやはり噛んでしまった、其れを聞いて堪え切れずサギはクスッと微かに笑いを漏らしたが気を取り直して俺の顔を見つめニッコリと微笑みながら誘いに応じてくれた。
「喜んでお受けいたしますわ、ラリー様」
俺はサギの手を取ってダンスホールの方に歩んで行き、ひとしきりサギとのダンスを楽しむことにした。
ダンスを境に晩餐会は三々五々解散となる、早々に退席する者もいれば相方を換えながらダンスにいそしむ人もいる、兎に角今を満喫する事は自分自身で楽しみ方を選択していく事だ。
俺はサギとウギとのダンスを思う存分楽しんでいた。そんな俺達を見つめる眼があった。其れを知るのはもう少し後の事だった。
晩餐会の後、自分の宿泊部屋に戻ってきた俺は先ほどリアーナお嬢様から去り際に手渡された小さな宝石をじっと見ていた。
確かに、地下温泉の湯舟の中に光り輝いていた半球の宝石と様相は似ていたし、しかもこの宝石も眩いばかりの輝きを放っている。
「やはり、この宝石も何か道しるべの鍵となるのか?」
宝石を穴が開くほど見つめて何か無いかと懸命に探しているが、特に此と言ったところが見付からず終いには宝石をベットの上に投げ置きながら自分も仰向けに寝そべった。
「ふ~ぅ」
軽く深い溜息をつく。それで少しは気持ちが落ち着いてくるのがわかった。
「此処が昔は魔王族の居城だったって? それじゃ此処に何か俺の探し求めている物が有るのだろうか?」
俺は俺の生まれの由来を探し求めてきた、物心がついた頃からニネット爺さんとセット婆さんが育ての親になってくれていたが、俺の父と母はとの想いはついぞ消える事は無かった、なので冒険者としての旅を続けながら俺の生を受けた軌跡を追い求めている。
『魔王族の秘密を知ったら多分、
「そうだよな、ひとりで旅をしていた時は失うものなど何も無いと思っていたから特に気にはしなかったが、今は……サギとウギがいるもんなぁ」
そんな風に思いながら部屋の天井を何気なしに見つめていた。
不意に何かに見られている気配を感じて視線の感じる方向へと眼を見やった、そこには先ほど飽きて投げ出したリアーナお嬢様から預かった宝石が転がっていた、とその上にちょこんと乗った形で此方の様子を覗き見ている小さな生き物の姿を見つけた。
「あっ、あの時の蜘蛛っ?」
そう、この部屋に入ってきた時に天井から自分の吐き出す其の糸で俺の鼻先まで降りてきた蜘蛛が宝石の上に乗っていたのだった。
蜘蛛はまるで宝石が自分の所有物であるかの様にその存在を誇示している様だった。俺はおもわず蜘蛛に問いかけていた。
「おい、蜘蛛さん。その宝石は何なのか知ってるか?」
「…………?」
無論答えなど来る訳は無いと思っていたが……。
“あなたは魔王族ですか?”
「はっ? 誰だ? えっ何だ?」
どこからともなく聞こえてきたその響きに俺は一瞬たじろいだが気を取り直して周りを確かめた。勿論、俺以外の誰も居ないし魔力念波が使えるヴァルは隣の部屋でウギと一緒の筈だった。ふと目の前の先ほど見つけた蜘蛛をじっと見てみる。蜘蛛はもじもじっと細かく其の身体を震わせる様にして宝石の上で動いていた。
“そうです、あなたの目の前に居る私が話しかけているのです”
「えっ、蜘蛛――さん?」
“やっと気付いてくれましたね、あなたは其の漏れ出る『覇王気』からもしやと思ってずっと語りかけていたのに、私に息を吹きかけて遊ぶだけだったから
「まさか――蜘蛛さん、あなたは何者ですか?」
“あなたは私の質問に質問で返す無礼者ですか? 先に聞いたのは私ですよ!”
いやいや、人にモノを訪ねる時はまず自分から名乗るのが人たる常識だろうと思ったが……あっ蜘蛛か!
“あなたは今、
「――ううん、思ってませんよ、そんな事は……」
俺は鋭い指摘を受けておもわず蜘蛛さんから視線を逸らした。
“あなた嘘が下手ですね眼が泳いでいますよ……まあ良いですけれど”
完全に俺はこの場の空気を蜘蛛さんに取られていた。
“ところで話を戻しますと、あなたは魔王族なのですか? それとも人間なのですか?”
何の話しだ? 蜘蛛さんの質問は理解しがたい論拠が入っている見た目で言えば俺は人間にしか見えないと思うがその選択肢に魔王族が含まれると言う事は魔王族は見てくれは人に近いのか?
「俺は人間だ……と思っているが蜘蛛さんから見て可笑しいのか?それは! でだ魔王族とは何者なんだ?」
“おっ、あなたまた質問ですか? 失礼ですね、私の問いにはまだ正確には答え切れていないでしょう”
「仕方が無いさ俺自身自分が何者かか良く解っていないんだから……」
そう言いながら俺は寂しそうに俯いた。
“――ん~ぅ、そうか解ったあなたは自分の生まれを知らないんですね、でもねぇその『覇王気』は生まれもってのものでしょうが”
「はぁ~、生まれた時から『覇王気』を
“其れは違うのでは無いですか、生まれたてでそんなオーラを発する者などいませんよ、皆それぞれ成長する過程で覚醒するだけですから無論その素質を持たぬ者には無理でしょうが”
確かに蜘蛛さんの言う事には俺も腑に落ちる事があった、俺の『覇王気』も危機に乗じて発動する右目だけ金眼色化も元はと言えば覚醒の感が有ったのは確かだ、そう言う意味で生まれ持っての素質と言われればそうかも知れない。
「――あなたは
俺はもう一度、その質問を蜘蛛さんに投げかけてみた。
“まあ、もう良いでしょう――その前に蜘蛛さんではありませんから、まあ今の見た目はこんなですが私にもちゃんとした名が有りますからね”
蜘蛛さんは凜とした言葉でそう話し始めた。
“マギル・ビンチ、私の名前です! あなたはラリーとか言われてましたね確か――あなたの
「俺の名はラリー・M・ウッドです、まあ、あなたのお話の通りラリーって呼んで下さい」
向こうもフルネームを教えてくれたので自分もフルネームで返した。
しかし、何で蜘蛛の姿でいるのかが一番の疑問だったので訊ねてみた。
「マギル・ビンチさん、何でその姿でいるんですか? 蜘蛛ですよね」
“マギでいいですわよマギで――蜘蛛ですが何か? って言いたいところなんですけどいろいろと事情があるのですよ此は是で!”
「――マギさん? しかし其の姿はやっぱりね。こっちもハイそうですね……っては言えないじゃ無いですか」
“ん~んんん、まあ、そうよね――ぶっちゃけ呪術なんですけど今は余り話すと本当に蜘蛛のまま、元に戻れなくなるから言えないのご免なさいね。多分、あなたが協力さえしてくれたなら直ぐに元の姿に戻れるからその時に全てお話しするわ、今は其れで許して下さらないかしら、ねっ!”
マギさんは言いにくそうにそう話してくれた。
「……解りました、で? 俺が何をすればあなたが元の姿に戻れるのですか?」
まあ確かに蜘蛛の姿の理由を
“解ってくれてありがとう、じゃ是からお願いする事を話すわね”
マギさんの話しを簡単に
その為、今此処にサギにも来て貰ってマギさんから直接の説明を受けようとしている。その前に蜘蛛が喋る事実を目の前でサギが目撃する事になるのだが、多分その事実の方が貴女に取ってトラウマにならない事を祈る気持ちであった。
「サギ、悪かったなぁ、こんな遅くに呼び出して――もう眠るところだった?」
「ううん! ラリーっ? な~ぁにこんな夜更けに私に用があるって? あっ、夜遅くに呼ばれるのが嫌って言うわけでは無いから……誤解しないでね、ぜんぜん嫌な気持ちは無いんだからね、ねっ」
サギは何故か頬を朱に染めながら俯き加減で俺に話しかけてきている。俺の部屋が暑いんだろうかぁ?
「あっ、俺の部屋が暑かったか? 窓を開けようか?」
「えっ、なんで? 別に暑くなんかは無いよ……大丈夫だから――ねっ、隣に座ってもいい?」
サギがベットに座っている俺の隣に来たがっていたので俺は大きく頷いてサギを呼び寄せた。
「でっ、な~にぃかな~ぁラリーが呼んでくれた用事って?」
サギは俺の左に腰を降ろして俺に
“そろそろ宜しいでしょうか?――
マギが待ちきれずに会話に参加してきた。
「えっ、誰っ? 誰かいるの?」
サギは人の気配もせずに声だけが部屋に響き渡っている事でより恐怖を感じてしまったようだった。
「ラリーっ、何っ今の声は? あなたも聞こえたよね!」
少々パニクっている様だったので、種明かしをしてやらねば……俺は二人の目の前にあるテーブルの上を指さした。
其処には小さいけれど煌めくように輝く石が置いてあった。
「……石? 宝石っ?」
「その上だよ――宝石の上にいる」
「えっ! あっ! 蜘蛛? ……あ~ぁの時の……蜘蛛?」
サギは晩餐会に行く前、此の部屋で会った蜘蛛の事を覚えているらしかった。
「そうだよ、あの時の蜘蛛さんだ――実際は単なる蜘蛛では無かったんだがね」
そう言って俺は宝石ごと蜘蛛を掌に乗せてサギの目の前に持ってきた。
“私の名前はマギル・ビンチ。訳あって今はこんな姿をしていますが――蜘蛛さんでは無いからね、まあ、マギと呼んで下さい……サギさん?”
目の前の蜘蛛がいきなり挨拶をくれたものだから、サギは目をパチクリしながら驚きの余り固まったままだった。俺はサギの肩を軽く叩いて現実の世界に引き戻してあげた。
「……あっ! 失礼しました私はサギーナ・ノーリです。よ、よろしく」
“サギーナ嬢ですか、良い名前ですね魔術師としてもピッタリですね”
「ありがとうございます……マギさん」
“マギでいいですわ、多分同世代でしょうし――まあ、呪術で此の姿のまま長く歳を取っていないのですがね”
「マギ――私の事もサギと呼んで下さい。でも、どうしてそんな姿に?」
“其れはまあ話すと長くなりそうですから、ひとまず私からのお願いを聞いて頂けますか?”
そう言ってマギは俺達に彼女が頼みたい内容を話し出した。
マギの語りに依れば蜘蛛になったマギの呪術を解呪する為には地下温泉にある魔石の力を借りる必要があるらしい、そして同時に二つ以上の魔術を発動しながらマギに掛けられている呪術に対して干渉魔術で呪術をこじ開け、其処に解呪の魔術を発動させる事で蜘蛛になっている姿が元の姿に戻るとの事だった。
「マギ、それって結構危険なやり方ですよね、もしも失敗した場合はどうなるのですか?」
俺は冷静になってマギの解呪手法へのリスクを確認した。
“そうですね、確かに魔術をこじ開けると言うのは言わば
とマギはその話しの続きを語った。
”失敗しても、私が蜘蛛から雲に変わるだけですから――大丈夫ですよ、きっと……たぶん、あはは――ぁ”
「はぁ――それってマギが消滅するって事でしょ!」
”えぇ、まあそうとも言いますね、あはっ”
そんな悠長なぁ、俺はマギの気質が剛胆なのかいい加減なのか少し呆れてしまっていた。
”ラリーもそんな悲観しないで気楽にいきましょう、『二度ある事は三度ある』『三度目の正直』ってね、結局はどうにでも転ぶと言う事ですから。昔から人の生き様なんてそんなものですよ、要は気の持ちようって事ですかね”
俺はマギという人柄に少し感心してきていた。マジにすごい人かも知れない――と思い始めていた。
そんな俺の気持ちとは裏腹にマギの言葉に異論を呈するサギは少しイライラしていたようだった。
「マギ、私はそうは思いませんわ――人生は悲嘆すべきものでは無いし、確かに気の持ちようですがその前に自分にうまくいかせようとする強い意志が無いと思い道理にはいきませんでしょう。まあ、強い意志が有ってもうまく行かない事の方が多いですけど……」
サギがそう言って俺の方をチラッと見た。
”そうね、その通りだわサギ、私の言い方が悪かったようだわ。ご免なさいね。そんなつもりで言ったわけでは無かったのよ、勿論失敗するつもりは毛頭無いわよ。それとサギの思い通りにならない事ってねぇ――それは……きっと~ぅ時間が掛かると思うよ!”
今度はマギが俺の方を見ている多分、小さい蜘蛛さんなので目が何処についているか良く解らないが何となくそう思った。
「えっ、マギ――私の……わかります~ぅ?」
”うん、ばればれだから――あ・な・た”
マギの言葉にサギは何故だか顔を赤らめながら俯き加減で目を逸らしていた。
「あれ、サギっ――部屋が暑い? 顔が赤いよ――じゃ、窓開けるね」
俺はそう言って立ち上がって窓の方に向かおうとしたが、そんな俺の腕を掴んで止めながらサギは俺を睨んでくる、マギの方も何だかこっちを見つめている様な気がするし――そしてサギの唇が動いた。
「『――この~っ、
二人の綺麗にハモった心のこもった言葉が部屋に鳴り響いた、しかし良くこの言葉で意思が通じていたな~ぁと俺は素直に感心していた。――んっ、あれっ、俺の事か?
マギのお願い事を聞いて俺とサギはマギの解呪を手伝う事にした。まあ、手伝うと言っても特に俺らに何が出来ると言うわけでは無いようだが、それでもマギの方はもの凄く喜んでいるみたいだったので其れは其れで
三人揃って地下温泉に向かった。二回目なので俺としても迷う事無く辿り着いた、無論リアーナお嬢様の言われた様に俺がいるからかすんなりと地下に着く事が出来たし、途中で露天風呂らしき場所に行く事も無かった。
前回の様に、男湯と女湯の別々の入り口からそれぞれ入っていく、まあ、サギからはどうせ一緒になるんだからこっちから一緒には入ればみたいな事を言ってからかわれたが丁重にお断りしておいた、だってこっちって女湯と書いてあるじゃないですか。
まあ、マギにも『変なところで
俺は男湯で衣服を脱いで腰に大きめの布を巻き付けて湯船に向かった。
「洞窟温泉の方だな、あの魔石があったのは」
俺は前回見つけていた輝きを放っていた魔石のある場所を目指した。
その魔石は前と変わらず優しい
「ラリーっ?」
サギが少し遅れて入ってきた、今回はちゃんと最初から湯浴み着を
蜘蛛さんのマギは? 俺はサギに聞いてみた。
「あのね……えっと~ぉ……ねぇ」
何かサギの話しの歯切れが悪いぞ?
「どうした? マギは置いてきたのか?」
サギがドギマギしながら俺の方に近づいてくる――俺の真ん前まで来るとちょっと前屈みになりながら胸元を強調してきた。
「おいっ、今はそれじゃ無いだろう」
「……違うの、誤解しないで……だってマギがお願いしてくるんだもん」
サギが顔を真っ赤にしながら唇を突き出してそっぽを向いた。
「――っ?」
なんだなんだ? 俺はマギを呼んでみる事にした。
「お~ぃマギ~っ」
“此処に居ますわよ~っ”
声のする方向はサギの方だったが――いたよ、マギあんたね~っ。俺はたまらず赤面してしまった。
マギがいた所はサギの胸の谷間の中だった、サギのたわわな乳房が作り出す稜線沿ってあの宝石が挟んである、その宝石の輝きがサギの色白い肌をさらに美しく見せつけていた。その宝石の上にやはりちょこんとした感じで蜘蛛さんのマギが乗っかっていた。俺は何せ場所が場所だけにまじまじと見る事も出来ずに顔をそむけながら叫んだ。
「マギっ! なっ、どんな所にいるんですか! まったく」
まあ、サギが其れで良いなら俺が文句を言う筋合いの無い事ではあるのだが。
“相変わらずの反応だね――折角、サギに頼んでこうしてサービスショット付きにして貰ったのにね”
こんな時にこの人は何を考えているのだろうか、なんでサービスショットが今必要なんですか。
俺は直視出来ない事で何とも言いがたいが、ありがた迷惑という言葉をマギに投げておいた。
“まあ、ニブチンのラリーは置いといてサギに頼みがあります。まあ、サービスショットと言いましたが此処に居るのも
「あっ、ハイ」
素直にサギは返事をしてその言葉に従った。
翡翠のような丸い魔石は湯船の中でサギが腰を降ろして座ると丁度胸の下辺りまで湯に浸かる感じになった。
“サギ、もう少し後ろに下がって下さい。そう、そこで良いです”
マギはサギの胸の谷間から指示を出していた。
“そのまま、両手でその魔石を覆う様に手をついて貰えますか”
「あ、ハイ、こうですか?」
“そうそう、其れで良いです”
傍から見たら、サギは何とも妖艶な格好をしていた――おもわずゴクッと唾を飲み込んでしまった。
“はい、次はラリーあなたね、こっちへ来て頂戴――そうそう、其処に膝をついてサギの手の上から同じようにサギの手を覆ってあげて”
マギの指示に従って俺もサギの正面に四つん
“サギ、余り照れなくて良いからね――ニブチンのラリーには是くらいの事をしてあげないと~ねぇ”
「えっ、えぇまぁ……そうですが――ラリーあんまりじろじろ見ないでねぇ」
恥ずかしさで真っ赤な顔のサギにそう言われては胸の谷間から目を逸らさざる得なかった。
“さっ、やるわよ! 二人とも良いかしら? サギはそのまま魔石に魔力を送って下さる?――えっと、イメージはラリーへの恋心で良いかしら”
「えっ――え~ぇ――っ」
“あら、嫌だったかしら? 丁度良いと思ったのに~ぃ”
「いいえ――えぇ、やります、大丈夫です」
何か可笑しくないか? 此の状況? 恋心の魔術ってどんなだ~ぁ? と思っていたが何かサギは納得した様だったし知らないのは俺ばかりなのか。そんな事を想っていると目の前でサギが俺の方を見つめてウインクしてきた。
“そうそうサギはのってきたじゃん、じゃぁ――お願いね、と次はラリーなんだけれど~ぉ、う~んどうしようかな~ぁ?”
おいおい、此の期に及んで考えてなかったのかよ!
「マギ、本当に是で良いのか?」
“だいじょうぶだから、任せておいてね――そ、そうだ! ラリーはそのままの姿勢でこっちを見て”
「こらっ、こっちって言ったって其れ――はぁ、え――っ!」
“こらこら、目を逸らしてはダメよ! ここ~ぉ――よっ”
俺はマギを見る事にした――それはつまりサギの胸の谷間を凝視する事になるのが――俺は顔中が熱く火照ってくるのを感じていた。
“そうそう、良いわよ――ね、そのままそのまま――後は魔力を私の下の宝石に送る気持ちでね、そう宝石を通じてサギの胸の肌の柔らかさを感じてごらん。気持ちが良いわよ”
「『えっ――ぇ!』」俺とサギの悲鳴が浴室に木魂した。
“なあに――ラリーなら解るよね、うふふっ!――変わり身の魔術の応用でしょ――はい、やってみる!”
「――わかりましたよ、やりますから~っ! もう!」
「あっ……ラリーっ、あんっ――優しくしてねっ」
サギ、そ、そうじゃないから~っ――勘違いしないで!
“よし! 準備はいいっ! いくよ~っ!――――はああああぁ―――っ”
マギが魔術を展開し始めた、サギの胸元の宝石が弾ける様に輝きを増してくる、其れと同時にサギの手の下の魔石が金色に輝き始めた、俺達はその
目を閉じてしまったので周りの状況はわからなくなった、でも俺の魔術は確実にサギの両房の柔肌を捉えていた。なんだ此の感じわ~? すごく気持ちが良かった。と、俺の頬の横をすり抜けていく人の気配を感じて目を開けた――しかし
「くっ――っ」
俺は目が痛くなってきて
次の瞬間、宝石の視点での視界が俺の頭の中に展開する。
「えっ――なんだこれっ!」
俺は困惑した。そう、サギの両胸、乳房が大きく目の前に峰の如く
既に眩いばかりの光の束は収束していた。俺は自分の身体に戻った感覚を得て目を開けた、そして振り返った。先程見た光景が事実とするならば――其処にははたして――居た。
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