#6 魔女

僕はまた女の子になった。

もう一度魔法を使うために。


これで駄目なら仕方ない。

ちーちゃんの方を見ると、笑って頷いてくれた。

今ならできる気がする。いや、絶対できる。


一息おいてもう深呼吸――


「自然よ……、わたくしに力をお貸し下さい……」


部屋の中に静寂が広がる。

ほんの一瞬の静寂、でも今回はその一瞬がとても長く感じる。

ちーちゃんが見守る中、僕は震える手をそっと開いた。


「やった!やったよ、ちーちゃん!!」


ちーちゃんは言葉を発する事はできなかったようだが、笑顔で涙を流してくれていた。

それにつられて僕の頬にも涙が流れる。


僕はついに魔法使い、いや"魔女"になる事ができたんだ……!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る