第5話
「お前なんであいつと付き合ってんの」
「はあ いきなりなに あんたに関係ないじゃん」
最近毎日こいつ言われるこのセリフ。
気づいたら言われるようになってて私と会うたびに言ってくる。
そして次に私の彼氏の悪口を言い出す。
「顔が少し良いだけで、ただの女好きだしよ 髪染めてるし、耳に穴開けてるし お前には絶対合わないって」
「そんなことないよ 今月で半年 あんたなんかにはわからないものがあるの」
「わかりたくもないね」
そう言う自分だって、彼ほどではないけど髪染めてるし毎朝遅刻しそうになりながら髪セットしてるし。充分チャラついた分類だ。
彼の何がそんなに気に入らないのかはわからない。
けど、ただの幼馴染みに私の恋愛に口出しされたくないのは確かだ。
「これ以上何も言わないでよね あんたには関係ないんだから」
「へいへい 悪かったな」
目を逸らしあいつは教室を出ていった。
それと入れ替わりで一際目立つイケメンが入ってきた。迷わず私の所まで来る。
「まーた睨まれちゃった なんで俺こんな嫌われてるのかなあ」
「自分はモテないからって僻んでるんだよ それよりさ、次のデートどこ行こっか」
久々に暇が重なったので私たちは次の日曜日にデートする予定たてていた。
2人でスマホを見せ合いながら行き場やご飯を決めていく。
こんな時間がたまらなく幸せで仕方ない。
久々のデートに心踊らせた日曜の朝。
待ち合わせの公園までいつもより早い歩調で向かう。
珍しくスカートなんて履いてみたりして。
約束の時間まで残り20分。少し早くついてしまった。
彼はいつも少し遅れてくるってわかってたのについ。
公園の中をぶらつこう、なんて思ったその時あいつがいた。
「お前何してんの そんな女らしくして」
「なんで休日にまであんたに会わなきゃいけないの」
「ただ散歩してただけなんだけど」
「だったらさっさと帰ったらいいじゃない 私あんたみたいに暇じゃないの」
「デートだろ どうせ来ないよ あいつ」
「なにそれ 意味わかんない」
そんな適当な言葉にカチンときた。
声のトーンを低くして帰ってと言う。
「あんな奴に熱くなってバカみてえ 幸せになんてなれねえよ」
少し間を置いてからあいつはじゃあなと私に背を向けた。
それから2時間がたったが彼は本当にこなかった。
電話をかけてみても着信拒否。
なぜか涙は出ない。
学校で彼を見かけてもお互い他人のフリ。
次の日には違う女の子を隣に置いて彼は微笑む。
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