第3話

最近胸が膨らんできた。

他の子はまだぺたんとしてて、自分の胸が少し恥ずかしい。

女の子には羨ましいとか大人とか言われるけど男の子にはからかわれるの。

「やーい!巨乳ー!」

「ブラジャーだブラジャー!」

や、やめてよ!

そう訴えても何も聞いちゃくれない。

他の女の子も一緒に辞めるよう言ってくれる。

恥ずかしい。恥ずかしい。

あの子もきっと見てる。

興味無さそうに他の友達とカードゲームをしている。

どうして気にして欲しい人には気にしてもらえないんだろう。

気づくと見つめていた。

「なあ! お前どう思う!」

「何がだよ」

「おっぱいだよおっぱい! あいつ最近デカいじゃん!」

そんな男の子からの絡みを適当に受け流す。

それが私たち小学生にしては妙に大人に見えて。

そんなとこが好きなのかもしれない。

好きって言ったら少し違うのかもしれないけど、実は私のために何も言わないんじゃないか、とか。

そうゆうの考えちゃうくらいには気になってる。


そんな彼と私は委員会が同じで放課後一緒に残ることになった。

ドキドキする。顔が熱いかもしれない。

「早く終わらせて帰ろ 俺ゲームしたい」

「あ そうだね おわらせよっか」

少し寂しいなんて思いながら、それ以外の会話などせずにひたすら作業を進める。

気づいたら17時。丁度作業が終わった。

2人で職員室に書類を提出して下駄箱まで行く。

下駄箱を出たらもう彼は走って家に帰ってしまうだろう。

何かを思ったのか私は恥ずかしいことを口走った。

「ねえ! 胸大きい子ってどう思う?」

驚いた顔をしたのがわかった。

顔がどんどん熱くなる。

「あ あの 違うの えっと その」

言葉が出てこなくて余計恥ずかしい。

ついに私は肩からぶら下げた体育着入れの紐を握って俯いた。

「俺だって男子だし、大きいの嫌いじゃないよ」

「えっ!?」

「じゃあ 俺帰ってゲームするから じゃあね」

「あ ばいばい!」

開いたランドセルを鳴らしながら彼は走っていった。

一瞬見えた顔が少し赤かったのは多分気のせいじゃない。

それから私は少しこの膨らんだ胸が好きになった。



学年が上がると周りの女の子もみんな大きくなって、私はむしろ小さい分類となってしまった。

男子の弄りも大きい子達に移動して恥ずかしい思いはもうなくなったけど、彼は相変わらず大きい方が好きなのかな、なんて悩みが増えた。

この事はもう彼にバレないようひっそり悩むと決めた小学校五年生。

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