第12話
五月
車が道路を走り抜ける。
当たり前だ。道路なんだから。
ほのかに水の香りを感じた。でもゾンビ映画なんかでよく聞くような、水っぽい、ぐちゃりという音はしなかった。
どちらかというと、かわいた破裂音のようなものが頭の内側に響く。誤って砂利を噛んでしまった時のような不快感が背筋にすとんと落ちてきた。
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