第4話 外へ
全壊していない建物はー全て見たわけじゃないけどー外装は剥げたり、錆びたり、汚れたりしているだけで、内装は今にも開店しそうな綺麗さで、驚きを通り越して嗤うしかなかった。
この建物に来る間にバイクを見つけ、キャンプ用品を探しに入ってみたけど、ここも綺麗に残ってるとは思わなかった。
天井はなく、大小様々な瓦礫がそこかしこに転がってるけど、棚に並べられている用具は無傷のまま使ってくれる人間を待っているようだった。
こう思うのも何度目だろうか。この世界はやっぱり変だ。多くの物が残りすぎていて、気味が悪いとすら思える。まるで私の為に用意されているかのよう。
気味が悪いと思っていても、必要だから使うのだけれど。
必要な物は、寝袋、ランタン、ヤカン、コンロぐらいだろうか。最初だから遠くまでいくつもりはないけど、一様念のために野宿するぐらいの用意はしておこうと思う。後は他に必要な物はないか見て回る事にする。
少し回って見たけど、この階は登山やキャンプ用品しか置いていない。本格的に遠出する訳じゃないから荷物になりそうな物は持っていかない。そもそも、バイクに乗せられないから、運ぶだけ無駄になる。
今回は最初で、お試しのようなものだから随時必要な物を増やして行けばいいか。そう納得し無人のエスカレーターに乗って下の階に降りる。
下は上がって来る間に見終わってるからこのままバイクを停めてある場所に戻る。
一階まで降り、受付カウンターを過ぎ、自動ドアを潜ろうとしたとき、受付カウンターの上に小さな白い箱が置いてあるのが視界の端に見えた。
その箱は赤いリボンが付いており、誰かへの贈り物のようで初めてこの魔法のカメラを見つけたときの違和感を感じる。
赤いリボンをほどき、箱を開ける。中には拳銃が入っていた。拳銃と言っても、銃口が大きく、信号弾を打ち出すものだとすぐに分かった。
こんな物必要かどうか疑わしいけど、他で見つかるとは思えないから一応持っていこう。
荷物をバイクに積み、部屋に戻る。出掛けるのは明日。
夕日を背に、バイクを走らせ帰路に着く。
快晴の空を仰ぎ、バイクに積んだ荷物を再度確認する。革ジャンに袖を通し、ゴーグルを装着し、エンジンをかけようとしたとき、ずっと首にかけていたカメラがないことに気付き、急いでカメラを取りに部屋に戻る。やっぱり緊張してるなぁと、思いながらも舞い上がるこの心は落ち着く事はなかった。
首にカメラがかかっている事を確認し、改めてエンジンをかける。
まずは、大通りに出て街の外を目指す。日が暮れる前に戻るつもりだけど、戻れなかったら野宿するしかない。それも面白そうだなと思うけれど、ふかふかのベッドで寝たいから、なるべくは戻るようにしたい。
ゴーグルをもう一度装着し、バイクに股がる。それじゃぁ、行こう。豪快な音と共に走り出す。
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