風船と気球

「豆腐と納豆問題の再来よ。」


彼女が唐突に話出した。もはや何も言うまい。


「再来とは?」


「同じように名前が逆の方がしっくりくるシリーズよ。」


「シリーズ化していたとは初耳だな。そもそも二つ目でシリーズと呼んで良いものか…。」


「細かい事は気にしないの。人中さんも同じように考えてるみたいだし、取り上げてみたの。」


「人中さん?誰?」


「この話にコメントをくれた方よ。」


「?話とかコメントとか何の話だ?」


「貴方は知らなくていい事よ。」


「ふ~ん。」


「本題に入るわよ。風の船…風船。船とは一般的には水上を人や物を運ぶ物よね?人が乗れる気球にこそ使って良い名前だと思わない?」


「なるほどね。それには賛同するよ。」


「それに気球の『球』って…。あのラッキョウみたいな形が球とはちゃんちゃらおかしいわ。」


「ちょっと待て。それを言ったら風船だってラッキョウみたいじゃないか?この展開だと風船こそが気体の球にふさわしい…って話になるんだろ?」


「………。それで、気体の球…気球だけど、気体を入れられ密閉された風船にこそふさわしいと思うのよね。」


「無視か…。まぁいい。確かにそれにも賛同するよ。」


「あ…今、気球という名に風船よりふさわしい物を思い付いてしまったわ…。」


「マジか?それは何だい?」


「アドバルーンよ!!気体が入っていてなおかつ完全な球じゃない!!」


「本当だ。確かに気体の入った球そのものだな。…ということは、気球の名は風船になり…アドバルーンの名は気球になり…。…で、風船は何て名で呼べばいいんだ?」


「………。」


「おい。」


「………。」


「責任をとってちゃんと名付けてやれよ。」


「え~と、ゴムラッキョウ?」


「かわいそうに…。」

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