お好み焼きの好み
「凄く傲慢な食べ物を発見してしまったわ。」
彼女が唐突に話出した。慣れたけど。
「食べ物に傲慢も謙虚もないだろう…。」
「それがあったのよ。驚くべき事に…。」
「仕方ないから聞くよ。それは何だい?」
「お好み焼きよ。」
「……。仕方ないから聞くよ。何で?」
「名前をよく考えてみて。『お好み』よ。お好み焼きは自ら『みんな私の事好きでしょ?』と言ってるワケよ。」
「お好み焼きを擬人化するとは思わなかったよ。」
「お好み焼きを嫌いな人だっているはずなのよ。なのに『お好み』だなんて傲慢も甚だしいわ。」
「俺が思うには好きな物を入れて良い…つまり、『お好み』な物を入れて食べる事が出来るから『お好み焼き』なんじゃないのか?」
「だとしてもよ。小麦粉に混ぜこんで焼いて食べるという食べ方自体が嫌いな人だっているはずだし、小麦粉アレルギーの人にとっては嫌いを超えて食べられないのよ?なのに『お好み』だなんて…。」
「それを言われると俺も否定はしづらいな…。だから客観を捨てて主観の話をしてみよう。君は『お好み焼き』嫌いなのか?」
「好きよ。」
「………。」
「………。」
「俺も好きだな。俺達にとっては『お好み焼き』は『お好み焼き』で良いワケだ。」
「残念だけど、そうなるわね。」
「………。」
「…で、これから傲慢な食べ物を懲らしめに行こうと思うのだけど、どうする?」
「お好み焼き食べに行こうとなぜ言えない?」
「分かった。厳しい戦いになると思うけど私一人で挑んでくるわ。」
「俺も戦いたいからお供するよ。」
「うむ。ついて参れ。」
「ヘイヘイ。」
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