ep.2-4 最愛


この後の記憶は定かではないが

僕はただその場に崩れ落ち、貴女を見つめいていた。


何故浴槽は赤く染まり、貴女は眠っているのだろうか。

わからない。今でも。

静けさを打ち破るように、サイレンが聞こえた。


人に聞いた話によれば

僕は、貴女を抱き抱えてずっと静かに涙を流していた。

誰かが僕に問いかけ続けた声は何も聞こえなかった。

この出来事の全てを今でも信じる事が出来ない。


貴女は何故、自ら命を絶ったのか。

そして何故僕は救えなかったのだろうか。

今更考えても、何も意味を持たない。


ただ僕は貴女の寂しい切ない顔を見る度に

胸の奥がきつく締め付けられた。


会いたい、もう一度僕の名前を呼んで

貴女がつけた僕の名前を、お願い

届く筈のない言葉を何度も願ってしまう。


泣き叫ぶ僕は、赤子の様


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