高いお酒

「ただいま」

「おかえりあなた…それ…えっ、それ何?」

「えっとこれは…」

 僕は包みからおもむろに中身を取り出し、正面に置いた。

「部長から頂いたんだけど…」

「高いわね」

「うん絶対高い」


 ひとまず風呂と夕食をすませて、改めてテーブルに二人で座り、もらったお酒を目にする。

「これ…」

「部長はよく飲んでいるらしい」

「さすが部長…」

「もらうときもかなり遠慮したんだけど、どうしてもって聞かなくて」

「これをおごれるって部長さんすごいのね」

「うん」


 じっと眺めていても仕方ないので、飲んでみることにする。台所からグラスを二つ用意し、注ぐ役は妻にお願いした。

「……」

「……」

「…っあっ……やっぱり無理だわ。気が引ける」

「見ててよくわかるよ」

「やってみる?」

「一応」

 ボトルを手にし、さてどうしようかと傾ける。やはり、その高さゆえグラスに落とそうとすることがためらわれる。

「無理だよな…」

「だよね」

 ひとまずあきらめることにした。


 しかし、部長はやはりすごい。

 この男子中学生と同じくらいであろう高さのボトルから何度も中身を注いでいるのだから、というか、そもそも一番最初になぜこれを買おうと決めたのだろうか?


 明日の朝の話題が決まった。

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