高いお酒
「ただいま」
「おかえりあなた…それ…えっ、それ何?」
「えっとこれは…」
僕は包みからおもむろに中身を取り出し、正面に置いた。
「部長から頂いたんだけど…」
「高いわね」
「うん絶対高い」
ひとまず風呂と夕食をすませて、改めてテーブルに二人で座り、もらったお酒を目にする。
「これ…」
「部長はよく飲んでいるらしい」
「さすが部長…」
「もらうときもかなり遠慮したんだけど、どうしてもって聞かなくて」
「これをおごれるって部長さんすごいのね」
「うん」
じっと眺めていても仕方ないので、飲んでみることにする。台所からグラスを二つ用意し、注ぐ役は妻にお願いした。
「……」
「……」
「…っあっ……やっぱり無理だわ。気が引ける」
「見ててよくわかるよ」
「やってみる?」
「一応」
ボトルを手にし、さてどうしようかと傾ける。やはり、その高さゆえグラスに落とそうとすることがためらわれる。
「無理だよな…」
「だよね」
ひとまずあきらめることにした。
しかし、部長はやはりすごい。
この男子中学生と同じくらいであろう高さのボトルから何度も中身を注いでいるのだから、というか、そもそも一番最初になぜこれを買おうと決めたのだろうか?
明日の朝の話題が決まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます