第2話 会話

 今日の天気は、快晴だ!まるで俺の気持ちをきれいさっぱりにしてくれるかのようだ。しかし、残念ながら気持ちは、晴れることなくどんよりと曇ったままだ。


 放課後は、一週間後くらいにある、生徒総会に向けての準備をしなければならないのだと思う。まったく、春休みに各委員長達で生徒総会についての話とかすんなよ、学校の行事予定どうにかなんねぇかなぁ、始まってそうそう、大変じゃねぇーか!それに、相手は女子だ、そして俺は、人見知りでコミュ障、しかも、めちゃくちゃ話しかけづらそうな花宮さん!果たしてうまくやっていけるのかなと、そんな不安とイライラを抱きながら放課後残った。



 放課後になり、職員室で先生が


「じゃあ、今度の生徒総会のプリントを一人六枚組のセットにして、クラス全員分作っといて、じゃ、プリントを教室に持って行って、先生用事あるから、あ、終わったら、また職員室にきて」と言い、どこかに行ってしまった。


 案の定、生徒総会のことだった、てか、先生も手伝えよ、用事ってなんだよ!なんて、考えをしていると、花宮さんがプリントを半分以上持って行ったので、自分は急いで残りのプリントを持つことにした。教室に行く途中に、花宮さんが自分よりプリントを多く持っていたため、勇気を出して声をかけることにした。


「あの、花宮さん、その、プリント持つよ」


「え?あ、うん、ありがとう」自分が想像していた感じとはだいぶことなるようだ。


「ううん、大丈夫、気にしないで」そう言って教室へ再び歩き出した。


 教室に着き、急いで準備にとりかかろうとしたときに


「あの、持ってくれてありがとう」と俺にお礼を言ってきた。


「うん、いいよ!花宮さん重そうにしてたし」


「あ、さんつけなくていいよ、とても重かったから、ほんとに助かった」


「花宮でいいかな?大丈夫!気にしないで」


「うん、いいよ!ありがとう」


「俺みたいな頼りないやつが同じ学級委員長だけど、これからもよろしく」


「いやいや、そんなことないよ、すごく頼りにしてる、こちらこそよろしくね!」


「うん、ありがとう」と言うと、彼女はコクリと頷いた。


それから、クラス全員分を作り、先生の所へ行ったときには、十九時を回っていた。


悠希は花宮の本当の姿を見ることができたかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る