第14話 安らぎ

 電話の返事を待ってる間、先に上司に報告しに行きました。

 もしかしたら何とかなるかもしれないと思い、これまで相談してくれた事もあるので報告だけでもして安心しほしかったのですが、上司曰く、それは詐欺だからやめておけと言われてしまいました。

 まず、貸し借りは感情ではなく商売であり、相手が必ず返してくれる人なのかもわからない、その人が本当に借金をした理由がそれなのかもわからない、そんな人間に上司に相談して借り入れができるようにしてみるなんて銀行がする事ではない。

 ましてや貸してくれるのは銀行かもしれないが、その審査は信用協会が行ってから銀行はお金をかしてくれるのであって、上司に相談すると言う発言が出て来たという事はそれは闇金か個人の小売貸し、詐欺である可能性が高い。

 そして金利が2%と言うのがあまりにも破格すぎる。

 返済期間に入ったらサイトを操作して高金利に変えられて今より多くの借金をする事になるから返事の電話があっても出るな、出ても断れと釘を刺されました。

 言われてみたらそうかもしれないと思いましたが、私に優しい言葉をかけてくれた人の申し出を断るのは気が引けると言うのもあり、素っ気ない返事をしました。

 すると上司は、お前の為を思っているなら安易な優しさを投げかけたりしない、自分を見てくれる人を見誤るなと言われ、上司を信じる事にして断る事にしました。


 折り返しの電話があり、上司から許可を得たのであなたに200万貸しますと言われましたが、信用の為に先に10万振り込んで下さいと言われ、目が覚めました。

 そのお金が無いのになんで振り込まなくちゃいけないんだ?

 それに信用って何?それは返済を滞りなくする事で相手に示す事であり、お金で信用を証明するっておかしな事ではないか?

 その申し出を断ると、相手は急に態度を変えて高圧的な口調で私を責めてきました。

 自分がせっかく上司に頭を下げて貸してくれるようになったのにそれはおかしくないか、私の顔を潰すつもりか?そんなのだからお前は借金なんてする羽目になったとかこれからどん底の人生を歩んで精々後悔しながら死んでいけと罵られました。

 電話を切った後、翌日から数回電話がかかってきて、気が変わりましたかとか、今からならまだ間に合いますと言ってきましたが、すべて断り、最終的に電話にも出なくなりました。

 数日して、再度そのサイトに行ってみると、上司の言うとおり、金利が一気に跳ね上がり、29%に上がっていました。

 おそらく私ではなく、別の誰かがカモになり、サイトの金利を操作したんだと思います。上司の助言が無かったら、危ない事になっていました。


 それからの生活は特に変わる事も無く、食生活も節制から変わることなく過ぎて行きました。

 そんな中でも、気持ち的に安らぎを持てる時間が訪れました。ブログで知り合った女性と連絡を取り合うようになり、その方と付き合う事になりました。

 私が住んでるところから、来るまで8時間と遠く離れたところに住んでる事は後でわかりましたが、それでもお互いにメールや電話をしていて楽しく、距離などは気にしていませんでした。

 おそらく出会う事はないだろうと互いに思っていましたが、ここで高速の全国料金が一律千円になった事を期に、会う事を意識し始めました。

 私は車の運転は苦ではありませんでした。そもそもトレーラーを運転していた時は九州や京都、広島等行った事があるぐらいなので、遠く離れた地でも必ず会いに行きますと熱意をぶつけて相手と会う事になりました。

 ですが、最初は彼女の方からこちらに来たいと言われ、高速バスで来てくれる事になりました。

 ちなみに、彼女はこの時大学生でした。


 つづく

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