第13話 落とし穴

 ネットショッピングの広告に目を止め、すぐに詳細を確認しました。

 そこにはもちろんのことですが、成功例が多数掲載されており、商品を販売する方法は元手は必要なく、広告を踏んでもらうと広告費用、商品を買ってもらえたらそのうちの2割は会社に払って残りは手元に入る。

 販売数量が増えて会員ランクが上がったら1割になると言うものでした。

 しかもホームページ作成に必要な素材はすべてzipファイルで配ってくれるし、マニュアルもPDFファイルで配布されていたので本当に元手がかからない。

 早速会員登録を済ませ、ファイルを保存して使い方やホームページの作成に取り掛かりました。


 会員登録を済ませ、ネット口座が必要だったのでそこで口座を開設しました。

 そして開設に当たり、千円でもいいので入金をして下さいと言われ、そこに入金。

 ホームページを作成している途中で、他より金額を抑えめに設定して少しでも顧客数を増やせないかと参考ページを見に行ったのですが、どこも最低金額に設定されており、これは競争で何とかなるものではないなと諦めが入ってしまいました。

 ですが乗りかかった船、最後まで作り、アクセス数を確認してからでも遅くないと考え、ホームページを作り、当時私自身が作っていた自分のブログに広告として掲載してみようとしましたが、そこは広告を掲載することが出来ないサイトでした。

 ではどこに載せるのか…それは広告としてYahoo!やgoogleのサイトのトップページに載せて入ってもらうという方法なんですが、それをするためには先に広告費用を払わなくてはいけませんでした。

 広告費用は時間帯と掲載回数で料金が異なりますが、ざっと見積もって月に3万円は必要でした。

 たしかに広告を打たなくてはお客さんは来てくれませんが、先にお金を払う元手が無かった私は途中で挫折しました。


 副業として自分に合っていたと思いましたが、元手が『0』の人間には土台無理な話だったのです。

 こうして他にどこか副業に使える職業は無いかと探していると、原稿起こしのバイトがありましたが、郵送料は自分持ちである事でそこも挫折。

やはり旨い話は転がってるものではないなと思い、今まで通り少しずつ返済して行くしかないなと諦めました。


 当時はスマートフォンではなくガラパゴス携帯が主流で、モバイルサイトで様々な借金返済ブログ等を閲覧していましたが、どれも自己破産することになりましたや、夜逃げ、弁護士に頼んで債務整理することになったと言う結末ばかりで、自分もゆくゆくは自己破産せざるを獲ないのかと重い気持ちになってきてました。


 そんな中、また一つの広告に目が止まりました。

 おまとめローンで、複数に分けてる借金を一つにまとめませんかと言うものでした。たしかに今の状況も、4社の銀行から借りているので、それぞれに金利を払っている分利息も4倍になっているのです。

 その4社を1社にまとめることで、利息も1社分になり、返済速度が上がると言うものでした。

 これはいいものを見つけたと思い、その広告の紹介しているサイトに行き、相談窓口に電話することにしました。

 そこでは、そう言った借金の相談をされる事が多く、しかもおまとめローンで借金を返し終わってる人が多数いらっしゃると言う事でした。

 しかもその電話応対してくれてる人は、男の人なんですが、優しく大変でしたねと労いの言葉もかけられ、私はすごく心が救われました。

 これまで相談した先では、第一声でお前が悪いとか、批判的な発言を受けて来たので、労いの言葉をかけてくれたのはこの人が初めてだったのです。

 比喩でもなく、目頭が熱くなり、この人に助けてもらいたいと思いました。

 そして当時、どの銀行も金利は18%から、または高額になると金利は9%や(%まで下がってましたが、そこはいきなり金利2%から貸せますと破格の金利だったのです。

 ですが私が借りてる金額、残り220万程あるのですがと伝えると、一変してなんでそんなになるまで放っておいたのか、借りる額にも限度があると叱咤される事になり、私は申し訳ないと頭を下げました。

 その人は上司に相談して返答させてもらいますのでと言われ、聞かれるまま住所と電話番号と名前を伝え、そして電話を切って待つ事にしました。


 つづく

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