第12話 元兄嫁の襲来、そして
元嫁がヤクザを連れて現れ、父と兄、私と母で対話する形になりました。
もちろん家の中に入れるわけにはいかないので、家の前で話す形です。
ヤクザいわく、元嫁とは数ヶ月前に交際していたが、元旦那である兄が執拗に復縁を迫って困っている。男らしくない、女々しい事するなら俺がわからせてやると乗り込んできたそうです。
ですが当事者であるこちら側からしたら矛盾がある。
離婚したのは数週間前、兄から確かに復縁を迫ってはいたが、そもそもヤクザが手を出さなければ離婚していなかったかもしれない、さらに子供も2人いて、それを放って男に走った事。他にも、兄に隠れて借金をしてブランド物の品物を買っていて、それがバレて喧嘩した事や、その落とし前をどうつけてくれるんだとか、人の嫁に先に手を出しておいてなに正当の様な文句を言っているのか、むしろ養育費や慰謝料を請求させてもらう、そしてヤクザであるなら一般人を脅してはいけない事も踏まえた上で来ているのであれば今から警察を呼ばせてもらうと告げていると、ヤクザは自分が不利な状況に陥ってる事を理解したのか、突然元嫁を殴りつけて謝罪してきました。
こちらとしても関わってくれない事が一番だからそのまま帰れと突き返しましたが、兄自身はまだ元嫁に未練があるらしく、翌日姿を消してヤクザの元へ向かい、元嫁を連れ戻してきたそうです。もちろん我が家に連れ戻したのではなく、実家に連れ戻して兄は戻ってきてくれました。
入り方を間違えれば、兄自身の身も危なかったのですが、すでに言い負かされた相手側は厄介者が消えると言う事で簡単に嫁を返してくれたそうです。
何と言いますか、お人よしな兄としか言いようがありませんでしたが、性根は変わっていなくて安心はしました。
兄は元嫁との再婚も考えているようでしたが、私たち家族は反対と告げ、今後の嫁の動きと、落ち着いて自分の中の気持ちを再確認したうえで、自分で決めなさいとなりました。
結論を言えば、元嫁とは再婚していません。
やはり離婚した後の行動に危うさを感じ、兄も思いとどまったようです。
こうして兄は、我が家に戻り、家業を手伝う形に落ち着きました。
その騒動に巻き込まれる形になった私たちですが、状況は何も変わらず、家は催促の電話に追われたり、私も自分の借金の返済や仕事に追われる生活が続いていました。
そして4月、上司から会社の上の役員と話す機会があり、私の事を相談したら話だけでも聞いてくれると言う事になり、私はこれでもう少し生活は楽になるかもしれない思い、上司と共に役員の方に会う事になりました。
役員の方二人と、私と上司と対面で座る形になり、私の現在の借り入れの状況や返済額、家の家業の資金として借りた旨等を伝えた後、役員の第一声は「無理」との事でした。
私も上司も、「は?」となり、聞いてみると、常識としてあり得ない、もっと正当な理由かと思ったが理由がありきたりすぎる、ただ額が大きいだけだからそのまま頑張れ、こちら側はまだ入って1年と少しの職員の為に自腹を切って貸してあげる義理もない。と
その口調に流石の上司も声を荒げてくれましたが、悪いのはそもそも貸した自分なのですから、強く言えないし、職場に居り辛くなるのもあったので上司をなだめ、その場を離れる事にしました。
上司は怒りが静まらない感じでしたが、それだけで私は救われる気持ちでした。
結局状況を変える事は出来ませんでしたが、私は大丈夫ですと伝えました。
それでもやはりなんとかしたい、どうしたらいいのかと毎日考える日々が続き、心労が消える事はありませんでした。
そこで私は、何か副業を行えば少しでも早く返せるようになるのではないかと考え、PCを起動させて副業を探しました。
田舎に住んでる為、深夜に働ける場所や自由がきく仕事はやはり少なく、副業と言うより転職を考える必要があるものばかりでした。
自動車の部品製作、組み立ての短期バイトが近辺で高額で、それ以外は今の仕事と給料体制も変わらず、決定打にはなりませんでした。
何より、これまで目にかけてくれた上司の為に、今の仕事を辞めるつもりは毛頭ありませんでした。
そこで、自宅にPCがあるので、PCを使った副業を探しました。
いくつか部品を組み立てる内職が多かったですが、その中に初心者でも簡単に出来る、ネットショッピングの広告に目がとまりました。
つづく
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