第11話 兄の離婚、そして失踪
終業し、職員が全員帰った後、私と上司が残り、上司にこれまでの事を相談しました。
家業の運送会社の景気が良くない事、両親に資金としてローンを組んでた事、その返済をすることになった事、返済にあてる為に生活を切り詰めている事、そして何より、これまで書いてきませんでしたが、家にも返済の催促の電話が毎日かかってきている事。
あらかた話終わると、まず第一声に、お前が悪いと言われました。
お金の貸し借りは、友人だけじゃなく、家族でも簡単にしてはいけないし、安易に肩代わりもしてはいけない。
そして返済の方法も、無理があるなら考え直した方がいい、体が資本の仕事であり、仕事内容に関しても不規則であり、睡眠時間も削らなくてはいけなくなる場合があるので栄養を損なってまで頑張る必要はない事。
あと催促の電話は、法テラスや時折役場などに出張して来てくれる無料弁護士相談会等があるので、そこで相談して元金から返済させてもらうように相談する事も可能だと言う事。
弁護士費用が必要になるが、自己破産も可能だが、もしそれをしたら今の職を失う場合があるから安易に勧められない。でも債務整理なら、弁護士費用は必要になるが会社に迷惑をかける事はないので考えても良いかもしれない。
そしてその日は上司も仕事があるので帰る事にしましたが、しばらくしたらまた相談にも乗ってくれるとおっしゃってくれました。
上司とは先に書かせて頂きましたが、前回の会社が倒産し、その後の手続きの事や取り立て等、一緒に乗り越えた間柄だったので親身になって相談に乗ってくれました。
そして年末が過ぎ、正月が来ました。
例年なら、我が家でも初詣に出かけていたのですが、今年からはそういった余裕がなく、静かな正月となりました。
我が家には父と母、兄と兄嫁、その子供が2人、さらに姉と私と弟、計8人が一軒家に住んでいましたが、家業を始めて兄夫婦は兄嫁の実家に移り住んでいます。
正月には顔を出し、挨拶をするのが一般的と思いますが、正月、三が日が過ぎても一向に顔を出す事はありませんでした。
そして三が日が過ぎ、しばらくした時、兄から電話が入り、離婚する事になったと連絡が入りました。
離婚の理由は省きますが、兄が子供二人を引きとり、我が家に帰ってきました。
兄は家族思いで、嫁の事も大好きで、子供の世話も献身的に面倒を見ていましたが、離婚して以降、子供と遊ぶ事も会話する事も無くなってしまいました。
そして数日が過ぎた頃、兄は一人ドライブに出かけ、3日程帰ってきませんでした。仕事場にも顔を出しておらず、携帯にも出なかったので家に連絡が来ました。
兄の行きそうなところ、友人方にも連絡を取って見ましたが、誰も心当たりが無いとの事で、最悪の事態を心配した母は警察に連絡しました。
警察も可能な限り探してくれましたが、周辺近所、山道や川辺なども探してくれましたが、どこにもいませんでした。
数日後、我が家から2時間程かかる離れた町の公園で寝泊まりしているところを、警察の方が見つけてくれました。
自暴自棄に陥り、家族の顔を見るのも辛くて公園で寝泊まりしていたそうです。
最悪、自殺していないかと心配していた両親は強く兄を叱りつけ、無事でよかったと最後には母は泣いていました。
子供たちも、兄が帰ってきたことで安心して泣いており、それを見て兄自身も自分勝手なことで周りに迷惑をかけたと反省し、家に戻って仕事を手伝いたいと頼み、我が家に戻ってくることになりました。
ですが、兄の無事が確認できて安心していたら、元嫁が我が家にやってきました。
元嫁だけではなく、数人のヤクザを連れて戻ってきたのです。
つづく
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