第7話 葬儀社の主な仕事について

 これ以降の話を書く前に、長くなりますが葬儀に関する知識、受注搬送、施工に至るまでの流れを書きます。


 不幸の連絡、つまり亡くなった一報を受けましたら、搬送準備に入ります。

 ただし長距離の搬送が予想される病院の場合、近辺の搬送業者に連絡を取り、委託する場合もあります。

 これは搬送に関する料金が、10km計算で加算されますので、搬送費用を安くする事と、迎えに上がる時間に合わせられるからと言う利点があります。

 悪徳の葬儀会社でしたら、わざわざ自社の寝台車(遺体を病院から自宅、会館等の施設へ輸送する緑ナンバーの車)を出し、往復の料金を請求される場合があります。


 そしてお迎えに上がり、故人を寝かせつけ、ドライアイスを当てて腐敗の進行を遅らせる処置を施します。

 なお、エンゼルケアをする病院が少なくなったため、耳や口、鼻への綿花を詰める処置がされていない場合が増えてきましたが、特段問題はありません。

 そして枕元に、枕机(白木の机)を準備し、仏花(しきみや菊の花)と蝋燭、香炉を添え、末期の水(口浸し)を添え、枕飯(個人の茶碗にご飯を盛り、箸を立てる)を供えます。

 遺体の胸元に守り刀を添えるところもありますが、宗旨によって異なる場合があります


 その後、葬儀に関する打ち合わせ、受注が行われます。

 その際に、檀家(だんか)に入ってる寺院、または氏神(神道)は居るのかを確認し、入っているなら遺族に先に寺院へ一報を伝えてもらい、その後寺院と火葬場、または斎場に連絡をとり、日時のすり合わせがされます。

 そして、葬儀に関する喪主や施主がどなたがされるのか。次に棺、骨壷、祭壇、供花、貸衣装の有無、料理の有無や葬儀の規模、新聞広告の掲載や供養品、会葬礼状に記す方の名前、続柄を明記していただき、納骨される墓石があるのか確認。さらには仏壇があるかも確認します。そして概算で金額を提示し、料理の追加等で金額の変動が起こる事も伝えます。

 セット料金で提供している葬儀社もありますが、個々の会社によって異なります。

 その後、葬儀や通夜(つや)までに遺族の方が準備することを伝えます。

 受付をされる方、礼受(れいうけ)をされる方、自宅を出発する際、寝台車に同乗される方、故人に着せてあげたい着物の有無、棺の中に入れて上げたい衣類がないかを確認し、葬儀の後、中陰壇(ちゅういんだん)の有無も確認し、準備していただきます。

 中陰段と言うのは、法要壇、後祭壇とも言い、お墓に納めるまでの四十九日間、家にお骨を収めて置く為の簡易の壇となります。


 その後、案内板を作成し、寺院へお渡しする式次の作成、位牌に卒塔婆の準備、会葬礼状のひな型を作成、祭壇に供えるお花の手配、供養品の発注、貸衣装の手配。

 それらが済んだら看板を設置。その際、看板を出して良い場所と出してはいけない地区があるので、どこでも出していいわけではありません。場合によっては警察の取り締まりの対象にもなります。


 その後、斎場や会場の準備に入り、和室なら座布団、洋式なら椅子の準備を行い、遺族の控室の準備を行い、受付や料理を召し上がる部屋も準備します。


 準備が差し迫ってまいりましたら、故人をお迎えに上がります。

 そして故人の着せ替えを行い、棺の中に納めます。

 有名なのが「おくりびと」にも登場しました、納棺師ですが、そういった業者に依頼する場合は別途料金が発生しますが、私の勤める葬儀会社では納棺師に講習を行ってもらい、その作法に則って着せ替えをさせていただいております。

 そして納棺後、中陰段を先に組んで準備しておく場合もあります。

 その後、自宅を出棺し、会館へと向かいます。


 会館につきましたら、祭壇に棺を安置し、控室、シャワー室、お手洗いや料理を召し上がるお部屋の案内を行い、通夜前の最後の打ち合わせを行います。


 通夜が始まる前に、職員との最後の打ち合わせを行い、駐車場で車の誘導を行う係、会場内で誘導をする係、司会を行う人と分かれます。

 そして通夜が始まり、終わると、会食の案内などが行われます。

 

 そして葬儀の日は、会場の掃除が行われ、改めて敷き前の準備が行われます。

 焼香順位表や、届いた弔電の代読する順番、読み方の確認、位牌を持つ方と遺影を持つ方を確認し、火葬場へ向かう方の人数と車の確認が行われます。


 葬儀が始まり、無事出棺が済みましたら、初七日法要の準備にうつります。

 初七日法要とは、本来亡くなった日から七日目に行われるのが正式ですが、葬儀の式中、または葬儀の後に続けて行われることが増えてきました。

 法要後、精進落ちの会食が行われ、火葬場より告げられた骨上げ時間に合わせて骨上げに向かい、仏事すべて終了となります。


 その後、自宅へ同行し、位牌や遺影の並び、骨を安置する場所の説明、今後の法要に関する説明や、それまでに準備しなければいけない事。葬儀を終えた後、役場にて行わなくてはいけない手続きを説明します。

 そして請求書の作成を行い、金額や請求抜かりがないのか確認が行われます。



 細かい作業は省きましたが、葬儀社のマニュアルのようになってしまいました。

 次の話から細かい表現も入る場合がありますので書かせて頂きましたが、すべての葬儀社が上記のような作業を行ってるわけではありませんので、参考程度にとどめていただけると幸いです。

 なお、葬儀の入ってない葬儀社は何をしているのか?と言う疑問もあるかもしれませんが、会館内の整備や付近の清掃、道具の確認や発注、葬儀後の相談事や生前見積もりの相談などが行われています。


 長くなりましたが、以上が葬儀社のおおまかな仕事内容になっております。


 以降からは本編としまして、これからの事を書かせて頂きます。


 つづく

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