佑の娘の恋
梅田のJRの東海道本線の高架を南に越えたところにある、シネコンの前で花壇の
茉優は今履いているナイキのエアマックスを早く買い替えたい。サイズのフィット感と安さに妥協して偉い損した。
色が、オカマのメイク中のチークみたいでガチ・キモ。
時刻は、丁度、和才や、航生と同じ頃。位置が梅田か、枚方かというだけ。
男と女は、ここからが、マジの勝負の時間なのだ。
阪急や阪神、JRの特急の最終の時間帯は別々で違った方角からどんどん迫ってくる。付け加えると、更に各社のバスも無制限の設定時間に合わせて時刻を刻んでくる
同世代の男女も、同様に迫ってくる、ブサメン、イケメン、押しメン、キモメン、キモジョ、イケジョ、テンネンジョ、ワケジョ、ガイジョ、ガイオ、ありとあらゆる方向から迫り、去っていく。
ここでの、出会いが、この夜、または、人生の出会いを決定づける。一分も一人も無駄にできない。
「なぁー茉優、今のスキニーの男の集団見た?」
愛加は、スタバのSをズルズルストローで言わせながら、茉優に話しかける。
「知らん、うち、目悪いし」
「4人全員、色違いのスキニーやねん、きもっ」
「そんなん、よーある。フツーちがうん?それより、なんで愛加わかるん?」
「そんなん、きまってるやん。茉優、マジで言うてんの、茉優、ターゲットエリア広すぎんね、気がついたら、そんなキモメンと結婚して、キモメンの子供連れて、ヘップファイブで観覧車や」
正直言うと、愛加のほうが、茉優よりややブサイクだ、愛加の100均のつけまつ毛がえぐすぎる。
これで、顎を究極に引いて、目をぱちぱちさせたら、ハローウィンか新しい五輪競技だ。
梅田の周りでは、最終の特急を逃し普通に遅らせて乗ることに値する男か、女か、電車やバスの最終を気にせずに遊べる存在か、最終目ざして、駅に猛然とダッシュする人や、ありとあらゆる思惑が
まさにカオス。さすがは日本第二位の都市である。
高架の上をJRの新快速が走っていく。
「今の混んでたな、、痴漢とオイリング・オイラーおっさん、満載やで、うちら、乗らんでラッキー池田」と愛加。
突然、茉優の思わぬところから、声がかけられた。
「茉優ちゃんと違うん?」男の声だ。
痩せてて結構背が高い、男の二人組、どっちも、ルックスは真ん中より、ちょい上ぐらいかな、、。
ファッションセンスも含めて、中の上か、上の下あたりかな、と。
茉優は、隣の愛加を見て、ガックン。
愛加は完全な、ウェルカム・モードで、ありえん角度の上目遣いでつけまつ毛バサバサさせている。これはあかん。今日帰れんかもしれん。
「なーうちのこと、憶えとるん?
どっちのターゲットエリアが広いねん。これは、あかん、もう勝負あったがな。
「もちろん、憶えてるよ~」
二人組のほうでも、少しルックスが劣るほうが答える。
「えーほんまーめっちゃ嬉しぃ~」
愛加のハイトーン・ボイスが近くを威圧する。愛加は男をゲットできた女なのだ、他の梅田にたむろってるブサメンの女とは違うことを宣伝中。
まさしく、勝利宣言。
茉優は、父親と母親への言い訳を用意周到に考え出していた。
それに、この痩せ気味の男二人は高身長なだけで、絶対イケメンではない。
もう一つ、決定的なことがある、この二人に対する記憶は、絶対ない。
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