廃惑星地球の歩き方
はじめに
『廃惑星地球の歩き方』…いざ、荒涼たる原野へ
ポストアポカリプスという創作ジャンルがある。
異論もあるだろうが、
ポストアポカリプスの魅力は、
その大きな要素の一つとして『失くして初めてわかるありがたさ』はどうだろうか?
我々は今、科学文明の情報社会で暮らしている。
もしスマホが使えなくなったら、もし自動車やバイクがなくなったら……もし電気も水道もない生活を強いられたら。それはとても不自由で、生きていけたとしても不快を感じるだろう。これらは『最初からない』という作品の世界観(中世ファンタジーや時代劇等)では、決して不便を感じさせない。しかし、ポストアポカリプス特有の『かつてはあったが失われた』という大前提があるので、利便性を知った記憶や知識だけはあるのだ(
そして、そうした世界観を『まだ失われていないビフォーアポカリプスの現実読者が読む』から、さらに面白いのだ。ポストアポカリプスは、優越感と安心感を与えてくれる。滅亡後の世界で主人公が凍えれば、暖房や空調のありがたみを感じるだろう。主人公が過酷な旅を徒歩で進めれば、多種多様な交通機関の価値を再確認する
ポストアポカリプスのもう一つの魅力、それは『世界は終わらない』という
それは、人類の英知たる文明が、直接的には地球という天体の永続に関係がないということを語っている。人類が滅びようが、文明が壊滅しようが……ハルマゲドンで世界が滅亡しようが、文明や社会が壊れてしまっても地球は存在しつるけるだろう。大気汚染や海洋汚染で死の星となろうとも、地球が砕けて粉々になることはないのだ。
勿論、『かつて地球という星があった』で始まる、地球消滅SFも存在する。
しかし、登場キャラが物語を
――終われないのだ。
例えばロボットアニメだと『戦闘メカザブングル』という作品がある。ガソリンで動くロボットを、ハンドルで操縦する有名な
しかし、ザブングルの世界は終わっていない。
そして、人型兵器の実在以外は、視聴者の世界以下の文明水準でも……続いている。
幸福だった時代、満ち足りた時間が失われたという
その中で、多くを失いながらも存続する世界の
この、一見して
さて、月下ゆずりは先生の『廃惑星地球の歩き方』である。
この物語は、文明崩壊後の世界を謎のアンドロイド少女シルバーを通して体験する、カクヨムポストアポカリプスSFの代表作だ。そして、シルバーは旧世紀の巨大な
まず、ド迫力の歩行戦艦バトル、この問答無用なダイナミズムが素晴らしい。
単純に『デカい奴は強いぜ!』という、明快な圧倒感に
次に、大崩壊のあとの世界観と、そこで生きる人々の描写がとても細やかだ。
農耕や労働といった、生産行為の大半が失われた世界……そこは発掘した武器で居住テリトリーを守りながら、細々と人類が暮らしている。果てなき荒野は大自然の恵みを忘れ、暴力が支配する中で誰もがしたたかに生きている。
その中で、シルバーのポジティブでラジカルなキャラクター性。
快活で
そんな訳で、とても大好きなこの作品の二次創作を書かせて頂きました。
月下ゆずりは先生は
さて、そんな廃惑星外伝の主人公は、謎のアンドロイド少女クロムさん。
当然だがシルバーに対するクローム、銀という意味のネーミングである。
彼女については、実は全く背景や設定を考えていません。シルバーちゃんが本編で歩行戦艦サンダー・チャイルドと一緒に戦ってる、その同一時間軸の物語。クロムさんは同じ滅び終えた地球の何処かで、旅をしている。彼女の旅は一応、後から『自分がかつて所有していた歩行戦艦を探す』という目的が後付されたが、彼女はストーリーテラーに過ぎない。彼女の視点を通して、自分も廃惑星地球を歩いてみたくなったのだ。
これは、廃惑星地球の歩き方を知った今、当然のようにも思える。
またアイディアがあれば、クロムさんの物語を紡いでみたい。
・廃惑星地球の歩き方(月下ゆずりは)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881360426
敬称略
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