第20話 ものぐさは滅亡の調べ

「だから、話してよ!  言えないことなの?」

「説明するの面倒だよ」

「そうやってはぐらかす! あなたのこと、不信感募るばかりよ!」

「そう思いたければ思えばいいよ」

「何よ、それ?! もう、知らない!」


 彼女は怒りながら去っていった。多分、追いかけてほしいのだろうが、面倒だ。

「ったく、面倒くさいなあ。まあ、いい」

 何かと説明や理由が欲しがる彼女だった。対して俺は口下手だ。いちいち説明するくらいなら黙っていた方が楽だ。

 それよりも旅支度だ。これからバックパックで海外を巡る予定だ。多少コミュ障でも異国ならば話せなくてもなんとかなる。


『おい、待て』

 異国へ着いたとたん警官に囲まれた。

『怪しいな、何をしにきた』

 何か職務質問を受けているのはわかるのだが、何分面倒くさい。

「え、と。説明しなきゃならないですか」

 面倒くさいのが顔に現れたのか、警官たちはますますヒートアップしたようだ。

『その態度はなんだ、ちょっと来い』


『だから何故あの場所にいた!』

「ナゼ、アノバショニイタノカキイテマス」

 通訳がついたが、答えるのが面倒くさい。俺は黙ることにした。

「……」

『黙るということは、やましいことがあるのだろう』

「ワルイコトヲ、カクシテイルカラダマッテイルノカ、キイテマス」

 面倒くせえ、黙るのにいちいち理由を語らなくてはならないのか。面倒くさいから黙っているのに、その理屈は通用しないのか。

『どうしても口を割らないつもりか、もしやスパイかテロリストか。おい、勾留延長の手続きしとけ』

 よく分からないが、牢屋にぶちこまれた。やれやれ、面倒くさい。

 そうして、俺はひたすら取り調べを受けたが、面倒くさいので黙っていた。


 だが、男は知らなかった。


 この後、黙っていることにキレた警官から暴行を受けて意識不明の重体になり、人種差別に揺れていたこの国でアジア人を殴ったと暴動が起きてしまうこと。その隙をついたようにテロリストが暗躍し、政府が麻痺してしまうこと。さらに日本も国際問題として男の身柄引き渡しを求めて強硬な外交をとったことが原因で、世界が混沌として第三次世界大戦が始まってしまい、核ミサイルの応酬が始まってしまうことに。




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