第4話 結婚したら死ぬ病

 20××年、政府はついに少子化及び非婚化の原因を突き止めて発表した。

 それは、一定の条件を満たすと突然死するウィルスに感染しており、感染者は無意識に死の条件を回避しているとのことであった。

 その条件とは「結婚する」という衝撃的なものであり、既婚者が感染しても発病しないためワクチンの研究開発が進められているとのことであった。


「いやあ、あのニュース驚きだね」

「ああ、あれで結婚しない奴が多いのも納得いったよ」

「知ってるか? 事務のアイリちゃん、煮え切らない彼氏に内緒で婚姻届を出したらその日のうちに彼氏が死んでしまったらしいぞ」

「マジかよ。自分が知らなくても死ぬのか!」

「ああ、恐ろしいウィルスだ」


 しかし、研究者の努力も空しく、感染者は増えますます婚姻件数が減っていった。事実婚ならばと婚姻届を出さずに同棲する者もいたが死から免れることはできなかった。

そうしてほとんどの独身者が感染してしまい、世界で非常事態宣言が出されるに至った。


「我々が作製したウィルスは順調に増殖しているようだな。同志Aよ」

「ああ、長期的な目で見ればやがては人類が滅びるな、同志B」

「この地球上に人類はあまりにも増えすぎた。人工抑制が利かない最終手段として我々は血の滲む努力をして開発した、そうだろう?同志B」

「まったくだ」


 しかし、同志Bがウィルス開発をした本当の動機は付き合っている複数の愛人から「いつ奥さんと別れて私と結婚してくれるのよ!」という攻撃から逃れるためだったことは誰も知らない。


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