第17話「ピアニッシモは見た。①」
再び登場、ピアニッシモです。
ええと、早速ですが目の前の真のゴーガ様は、敵地に乗り込んで暴れるといっています。
なんか私の中では、偽物といわれてるゴーガ様の方が印象が強くて、こうやって自ら乗り込んでいって何とかしてやるぜっていうのは魔王様と印象が違う。なんとなく違和感を感じてしまう。
て言っても、ピアニッシモは今のゴリゴリなゴーガ様の方が好き。
昨日なんてそんなことしてる場合じゃないのわかってて、ゴーガ様を一日中離さなかったし。
あぁ、ピアニッシモはいけない子。
「あのゴーガ様、ゴーガ様がお強いのであれば何も、こちらから出向かなくても、魔王城で迎え撃てばいいのではないかと思いますが。」
怖いけど一応進言しておこう。
こちらから出向いたらメンフィスの戦力がダウンするだけじゃない?
「だって、ここで暴れたら
あぁ、なんとも魔王様らしい理由。
じつはこれが魔王様らしいのかどうかピアニッシモにはわかんないけど。
まぁイメージ的にはザ魔王よね、うん。
あぁちなみに私、立場上敬語使ってるけどぶっちゃけ凄い敬語嫌いだから。だから私の心の声はこれからずっとこんな感じ。だってずっと『です』とか『ます』とかマジでだるいし。
昨日も魔王に対して最終的にタメ語になってたし。
「あの、せめて、ちょっと今の戦力とか把握しましょうよ。コルドにも敵はいるんですよ。」
昨日一日で今の魔王のことはよくわかったけど、この人は馬鹿じゃないけど、めんどくさがりだから、すぐ突っ込もうとするのよね。……なんか下ネタみたいになっちゃった。まぁ実際、そっちもそういう感じなんだけど、クールとか前が長すぎたから、どっちかっていえばすぐの方が好き。
「うーん、めんどくせぇなぁ。…まぁでも、めんどくさがった結果が今ならば、お前の話位なら聞くだけ聞くぜ。」
よかった。まぁ話を聞くだろうとは思ったけど、この人はほんとめちゃくちゃ女に甘くて弱い。ハイネケンやってた時の話も聞いたけど、行動の原理が全部女がらみ。すごいんだか何なんだか。
「ええとですね、いまメンフィスには戦闘員が20,000人くらいしかいません。そのうち10,000位は農業と兼務しているオークです。あとは魔導部隊が1000人、巨人族が300位ですかね。
あとはバルサバルの敗残兵が何人かと、全員がダンヒルについていったわけじゃないと思うので、コルドから戻ってくるのがもう少し増えるとは思うけど。圧倒的に数が少ないのは違いない。
「ドラゴンは?」
「ドラゴンは一匹も残ってません。ただ、子供のドラゴンが5竜います。あとカプリの長男がそろそろ成人なので、そろそろ戦力としてもいいと思いますけど。」
カプリはこの間私の目の前で死んでしまった。ただその長男がもうすぐ戦える年齢になる、ちなみに二人はとても良く似てる。
「そんなすくねーのか…。もうこれ以上よ、ドラゴン戦わすのはやめような。あいつらは守ってやんなきゃいけねぇ。まぁそのカプリの息子にはせいぜい移動を手伝ってもらおうぜ。」
この人はほんとに優しいなぁ、もう。昔ドラゴンが人間に研究されていたのをヴォーグ様と二人で助けに行ったのが魔族の中でも伝説になってるしね。でもその話を細かく知ってるのは死んでしまったヴォーグ様だけなんだ。
「……わかります。ドラゴンのためにも我々魔族は人間に負けるわけにはいかないですね。」
「あぁ……、で残ったやつのなかになんか使える奴いねぇのか。」
うーんそうは、いっても使えそうな強いのは、大体ゴーガ様が倒しちゃったし、なんかいたっけ。
……あ、そうだひとり強いの残ってた。
「私のお兄ちゃんがいました、左腕を失ってしまったので、今までは戦線に出てませんでしたが、この状況なら少し無理をしてもらいましょう。」
兄貴は、もともとは腕利きの魔導士だったけど、以前アサマ連邦の砦が勇者アサヒに襲撃された時に、腕を失ってしまった。まぁ命があるだけよかったけど。
腕を失ったとはいえ、それでも残されたメンバーで最も魔力が高いのは兄貴かな。
「あぁ、ピアニッシモの兄貴って、ひょっと知ってキャスターか?あいつのことなら知ってるぜ、あいつは結構な威力の水魔法使いだったな。そうか腕をケガしてたんだったなそういえば。」
腕を失っていたおかげで、ゴーガ様と戦わなくてすんだから、その辺は皮肉だと思う。
「ご存じなんですね。」
「ご存じも何も、諜報部にピアニッシモが入ったのは確か、キャスターの推薦だったはず。キャスターはもし腕を失ってなければ、クールの次の魔団長のはずだったはずだからな、うん、いいな。魔王城の管理はキャスターに任せよう。」
あいかわらず判断早いなぁ、紹介したのは私だけどいいのかな兄貴にそんな重い仕事させて。
「とても、兄一人に務まるとは思えないのですが…。」
「大丈夫だろ、あとはほら
「ええと、生き残りの中では5m級のジョーカーが一番強いと思います。ですが、彼は結構臆病なんですよ、リーダー向きじゃないかとおもいます。」
ジョーカーはあまり前線を好まないと聞いたことがある、つーか巨人どもは
みんなでかい図体してるくせにビビり多すぎ。魔導士の方がよっぽどけんかっ早いんだよね。
しかし、こんな私の意見はゴーガ様には関係ないらしい。
「性格っていうのは地位が作って行くもんだしさ、あとビビりっていうなら、あいつにイブサンって巨人がつけてた鎧を全部つければいいんじゃね。そしたら怖くないだろ。」
たしかに、オリオンの指示でイブサンにはドラゴンの炎すら防ぐ最強の装甲が施してあった。それをジョーカーに転用すればイブサンほどじゃなくても相手は相当てこずるはず。こういう思い付きはさすがゴーガ様。
「じゃあ、二人でしばらくはここメンフィスの守りをやらせるんですね。ってそんなことを考えてるってことは、ほんとうに魔王様自らデザスを攻めるつもりですか?」
忘れてた忘れてた、魔王様は単身でデザス王国に乗り込みたいから、その間の城の守りを考えていたんだった。うーん。私は正直やめてほしい、そういうの。
「そりゃ、そうよ。うられたケンカは買うのが流儀よ。それに単身ってわけじゃねぇ。ピアニッシモもつれていく。」
「えぇっ、やっぱりですか!?」
うれしいけど、うれしいけど、うーん私だって別に命かけたくない。
というか私必要?やっぱ連絡役いないとダメってこと?
「お前いないと、俺寂しいじゃん。」
それを聞いて思わず私はゴーガ様に抱きついてしまう。
わぁうれしい、そういう言葉待ってた。偽物の時は絶対言わなかったしなそういうの。ゴーガ様の一番がルーシアなのは知ってるけど……。
あれそういえばルーシアは今どうしてるんだろう。あとで聞いてみよう。
「……ありがとうございます、でも足手まといになりませんか?」
残念だけど私のの戦闘能力は強めのオーク位なのでお役には立てない。
「ま、上空でドラゴンと待機してもらえば大丈夫だろ。それに、もう一人連れていくのにとびっきり強いやつを思い出したよ。」
ん、私の魔王様についていけるくらい強いやつは、もういないはずなんだけど。
誰かいたっけ?
私はきょとんとしてゴーガ様を見つめる。
「アイシーンだよ、アイシーン。千の蛇を持つ女『アイシーン』メデューサ族の長にして最強にエロい女だぜ。」
えぇっ、アイシーンさんってウェイトレスさんじゃなかったんですか!?
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