第15話「魔王のエラー②」
「ゴーガ様っ!もうっ!だ、め。あっ…。」
結局俺とピアニッシモは、魔王城のベッドで一戦交えることとなった。
結局、ピアニッシモとどういう話になったかというと、はっきりいって何を信じたらいいかわからないから、とりあえず抱いてということを言われた。彼女の思考回路は全くよくわからないものだったが、俺にそう言われて
「はぁ、はあ、これでいいのかピアニッシモ。」
なかなかピアニッシモちゃんは激しい子だったので、俺もそれに合わせてたらさすがに息が切れた。
「…えぇ、だってもうピアニッシモには何が真実かわかりません。」
ピアニッシモの立場からすると、いままでずっと本物のゴーガだと思っていたが、ある日突然、勇者ハイネケンが本物の魔王ゴーガらしいという情報を手に入れたので、その時点で得も知れぬ不安に襲われていたのだという。
しかし、それはどうやら偽物らしいので、ファウストにいる情報部たちの連絡を切って、魔王ゴーガを信じてみたのだが、結局いま目の前にいる魔王は『さっきまでは勇者ハイネケン』だったと言い出してきた。
そりゃあよくわからないだろうな、もし全く経緯を知らず、今の説明ですべてを察する人間がいたらあってみたいものである。
しかもピアニッシモはもともとの俺の性格をろくに知らない。知っている情報は、俺という男は周りのいい女をとりあえず抱いてみるということくらいらしい。
なんて失礼な奴だ、俺はそれが礼儀だと思ってるだけなのに。
「それで、とりあえずすぐ抱くようなら本物と考えたんか。」
「それもありますけど、この状況じゃ何を信じたらいいかわからないので、子宮で考えることにしました。」
「どういうことだよ?」
「ピアニッシモにもわかりません、でもとりあえず今はあなたについていくことにします。」
こいつはそういえば、魔族で一番のアイドルと聞いたことがあるが、いいのか、アイドルの行動原理が子宮で動くで…。まぁ、いいか、正直クールが死んだということもあるし、少しでも俺で悲しみが軽減されるならな。
って、クールの死の話をしたときそんな悲しそうじゃなかったが、強がっただけだよな?
「とにかく俺についてきてくれるならありがてぇ。さっそく、ファウストに連絡を取ってほしい。今から来るだろう勇者ハイネケンは魔王などではなく、本物のハイネケンだから撃退せよといっておかないとな。」
「……ゴーガ様、ごめんなさい。いまシトラスとか、ファウストの仲間とはテレパシー切っちゃってるんで通じないんです。直接会わないと…。あとそれと…。」
「それとなんだよ?」
ピアニッシモはなかなか続きを言い出さないが、ようやく口にした。
「……あの、もう一度したいです…。」
……。
…な、なんてかわいいやつなんだ。
いいねぇいいねぇ、なんだよクールのやつこんないい女を自分の嫁にしてたのか。仕方ない……クール亡き今、クールの分までしっかりピアニッシモちゃんのことは俺が面倒見てやるからな。成仏しろよクール!
「よし、何発でも相手にしてやるぞ、ピアニッシモ!さっそく二回戦だ!」
「…きゃっ、うれしい!あ、すごいゴーガ様もう元気!」
そういってこの日、目いっぱいピアニッシモと楽しんでしまった。気のせいだろうか、俺は以前もこうやって女と羽目を外し過ぎたせいで作戦が手間取って大失敗したことがあるような気がするのだが。
しかも、確かいま、魔族とデザス、シュタントは戦争状態でこんなことをしてる場合じゃないような気もするのだが、どうも俺というやつは目の前にごちそうがあると、頭が真っ白になってしまう性格らしかった。
そしてたっぷり楽しんだ次の日、ピアニッシモはコルド帝国に派遣しているダークエルフから情報を得たらしく、とんでもないことを口にした。
「ゴーガ様、大変です。ミネ様とダンヒル様がファウスト要塞を乗っ取りました。」
ミネとダンヒルが!?
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