殺人法が施行されて数ヵ月。街の至るところで殺人が行われ、日本は無法地帯となった。ということはなく、以前と何も変わらない平穏な日常が基本的には続いていた。

 故に、街中では学校帰りの女子高生でさえ、こんな会話をするほどだった。


「あの殺人法とか最初びびったけど、何も変わんないよね。てか、むしろ平和になったんじゃない?殺人事件のニュース、見なくなったし」

「あ、そうかも。でもさ、殺し合え、って言われたって殺せるわけないじゃんね」

「だよねぇ。でも、現国のエロ田とかだったら殺してもよくない?」

「あ、それ、分かる分かる」

「もうさ、あいつ、本当、ウザイ。知ってる?今日も『何だ、そのスカートは。短すぎるだろ』って言って裾を持ち上げたんだよ?」

「え?何それ?ヤバくない?」

「あれ、絶対下着見ようとしてたって!」

「うわぁ、最悪。あ、そう言えば、昨日、階段の下でニヤニヤしてるの見た気がする」

「それって、上に誰かいたんじゃない?それで、スカートの中を……」

「止めて。想像しただけで吐き気してきた」

「あぁ、あいつ、誰か殺してくれないかなぁ」

「本当、それ」


 晴れ渡る空の下、彼女らは笑いながら以前と何一つ変わらない日常を過ごしていた。

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